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『婚約者を大好きな自分』を演じてきた侯爵令嬢、自立しろと言われたので、好き勝手に生きていくことにしました  作者: 皇 翼


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23.

夜の談話室から、私の部屋に移動する。

本来であれば、談話室で話したかったのだが、現在の敵は教師だ。誰でも入ってこられる場所で話すわけにはいかない。それに、ここであればある程度の結界術は既に掛けてある。

だからこそ場所を移動した。


そうしてマーカスにシュリンガーに記録した映像を見せる。

最初の方から早送り気味で見せていたが、校長の全裸になって剃毛のシーンを直視してしまったマーカスは勝手に私の部屋で吐きそうになっていた。いい迷惑だ。


「うおぉ、ええ」

「え、吐かないでください。出しそうになったら追い出します」

「人間の心とか持ち合わせていないのですか、貴女は。しっかり目を逸らして……知っていましたよね?」

「そんなことよりも。この後、リューガス=エルバートが入ってきたシーンをちゃんと見てください」


涙目になりながらも、私にそう促されてマーカスは改めて画面を見つめる。

そうして同じように気付いた。


「彼が黒ですね。しかも証拠までしっかりと消している。なるほど、貴女が急いでいた理由は探知されたから……ですね」

「ええ。談話室の前まで魔力を辿ってきていたので。ここに貴方を連れてきました」

「なるほど。まあ、でも……校長じゃなくてリューガスが黒だとほぼ確定かと」


そう。校長が今回の首謀者だったらもっと他にいくらでもやりようがある。だからほぼほぼあり得ないだろう。

なので、今回目をつけるべきはーーリューガス=エルバートである。


******


そしてまた数日後。今度はリューガス=エルバートが持っている彼自身のことをさらに調べるために、まずは職員室に潜入する計画を二人で立て、実行することになる。


リューガスはちょうどよく魔導士学会の予定があり今日は終日いない。職員室扉には鍵がかかっていたが、ここも魔法で管理されているようで、簡単に開いた。この学院のセキュリティが心配である。

そしてリューガス=エルバートの使用しているであろう机へ向かう。場所は簡単にわかった。生徒が訪ねてきた時にもすぐにわかるようにだろう、各教師の机には名前のプレートが置かれていたからだ。


特に違和感がないその机の上には、生徒帳簿やテストの答案用紙、教師用の教科書など普通のものしか置いていなかった。けれどマーカスがとある違和感に気付く。


「この机にある棚……ビンゴかもしれませんね」


マーカスは一段目の棚を2回引いては閉じて、その後に三段目の分厚い棚を半分だけ引いて再び閉じた。そしてその後に二段目の棚を開ける。そうするとそこにはこの職員室のとは別の鍵が入っていた。


そこからは大変だった。

鍵から、鍵穴の位置を割り出す。いくつもの解析魔法と位置特定魔法を組み合わせて、マーカスと一緒に魔法を複数パターン使うこと1時間ほど。やっと鍵穴がある場所を見つけ出した。


そこは本来であれば、学院の用務員が使う備品置き場。しかし、見つけた鍵を使って開けると、一変そこは研究室のような様々な機材が置かれた場所になっていた。ここはきっとリューガスの研究室である。


軽く中を探索していく。

何かの小動物の頭蓋のホルマリン漬けや黒々しい魔力を宿した石、血のようなものが付着したペンチのような実験道具などなど怪しいものだらけだった。そんな中でまがまがしい血みどろの部屋の中で唯一少し掃除されているような場所を見つける。その机には大量の書類が置かれていた。それを分担して、マーカスを目を通していく。

あまり時間はかけられない。長い内容が書かれているものはシュリンガーに即記録、すぐに目を通せるものはそのまま軽く目を通して選別。


――そして調べていくその中には衝撃的なものがあった。

私は震えそうになる手でそれを取り、目を通した。


「……『実験報告書』?」


そこには、明らかに捏造された内容が記されていた。


『クレイヴ=ハットランナーは、危険な魔法実験を生徒に強要し、学院の土地を荒らした』


証拠となる写真やクレイヴ先生の机を開けた時の写真、何人かの生徒やその親からの証言などが出てきた。きっとこれがクレイヴ先生を追い詰めた証拠と屋良なのだろう。しかし……何もかもがでたらめだ。こんなものを信じるだなんて、学院のトップはよほど頭が足りない――と思ったところで、校長を思い出した。彼の強行突破かもしれない。そこまでの権限はないとは思うが、他の部分はそれ以上証拠を集めるのが面倒とかで嘘でも吐いて上を騙したのだろう。そう考えると納得した。

ちなみに私達が破壊しつくした土地は私達以外の生徒がやったことになっていた。


「なるほど……。やはり、リューガスが仕組んでいたんですね」


マーカスが呆れたように言う。


「ええ。でも、彼一人でここまでのことを仕組めるかしら?」


ここまで計画的に動くなら、学院の上層部に協力者がいた可能性が高い。

さらに書類をめくると、一通の手紙が出てきた。


――そこには、こう書かれていた。


『計画通り、――――の排除を完了した。次は"対象"の最終フェイズに移る。そして――を生み出す』

「……対象?何かを生み出そうとしている??字がつぶれていて読めないけれど」


誰かがクレイヴ先生の免職だけでなく、さらに別の目的を持っている。しかし一部の文字が潰れていて読めなくなっていた。意図的なものなのか、何か仕掛けがあるのか。

そして、その対象"とは、一体誰なのか?

私たちは顔を見合わせた。もしかしたらこの件は思っている以上の大事なのかもしれない。


……とは言っても、今の目的はクレイヴ先生の冤罪の証明だ。

ニ兎追うものは一兎も得ず。そう考え直して、この研究室に散らばるリューガスの研究資料集めとそのほか使えそうな証拠を片っ端から集めて主リンガーに記録していくという作業に入って、その日は朝になる直前に自身の寮に戻った。

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