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7行動目 懺悔の時間です。

 勉強会の翌日。

 無機質な目覚まし音と共に起きると、時刻はなんと11:30。完全に寝坊だ。

 昨日は夜遅くまで勉強会、その後は色々あったので、家に着いたのは23時半過ぎだ。今日はこのまま休もうかな……

 ベッドの上で軽く伸びをしつつ、昨晩の態度を振り返る。

 ……完全に、やってしまった。

 今思えば、ユイが俺を見て笑っていたのも、アイツなりの気遣いだったのかもしれない。

 差し出された手を強引に振り払い、ユイが話そうとするのをさえぎり、無言で家を出てきた。

 ───さらに、嫌われただろうな。

 自分がいかに子供っぽいかがわかる。ああいうノリ、普段と変わらないじゃないか。少し笑われたくらいで、あんなに怒ることなかったはずだ。

 学校に行って、ユイに謝ろうか……いや、今はもう、目を合わせてくれるかすら分からない。

 何しろアイツも深く傷ついているはずだ。

 うーん……しかしどうしようか……

 スマホの画面を見ると、新舞さんからの通知が。


 マイマイ:『昨日はありがとう!今日は学校おやすみ?もしかして体調崩しちゃった?』


 シロクマの『大丈夫?』スタンプも送られてきている。シロクマの顔いかついな。

 俺は正直に、自分が寝坊したと伝える。

 また伸びをしていると、すぐに返信がきた。


 マイマイ:『昨日は夜遅くまで付き合っていただき大変ご迷惑をおかけしました。』

 う。自分が遠回しに新舞さんのことを責めたみたいじゃないか……

 『いや全然』

 とだけ返すと、既読が秒で付く。今授業中だろ……?

 

 マイマイ:『今日はユイちゃんも休みだから暇なんだよねえ』

 な!ユイも休みなのか。

 ……あ、なるほど。これ、俺がいるから来づらくて休んだんだ。

 ダメだ、今すぐにでもユイに連絡を───


 マイマイ:『寝坊なんだって』

 俺と同じかよ。だがこれも本当か怪しい……

 しかし、ユイが休みならカイ・新舞さんと話がしやすい。やはり今日は学校に行くべきだ。

 俺はカイも一緒に昼休み集まって欲しいと伝える。

 すると、すぐにシロクマの『OK』スタンプが送られてきた。

 俺は急いで身支度を整え、昼ごはんをいただいて学校に向かった。


──────────────────────────


 昼休みの進路資料室。

 何故か汗だくのカイと、お弁当を食べながら耳を傾ける新舞さんに、昨晩のユイとのことを全て話した。

 「……というわけで、カイと別れたあとはこんなことがありまして……」

 俺は思わず下を向く。

 まあ、悪いのは俺だし。ここで怒られた方が逆にスッキリするぞ。

 すると、新舞さんは唸り声をあげる。

 「……これ、悪いの私じゃない?」

 「へ?」

 「全て新舞さんが悪いって訳ではなさそうだが!確かに、アルコール入りのチョコなんて、パッケージに目立つように書いてあるはずだ!」

 予想外の反応に混乱する。

 「いや、俺ユイに酷い態度とって」

 「それって私がチョコ食べてなければ起こらなかった話じゃん。というかそんな事になってたなんて知らなかったよ」

 あ、そうか。コイツ昨日無意識で……

 「制服着たまま寝ちゃってたのは、そういうことだったのかー」

 「それに、葉山くんが怒るのも無理はないんじゃないかな!『助けて』なんて言われたら、必死になるのも当然だよ!」

 2人はうんうんと頷いている。

 「とりあえず、今日はユイの家に行くよー!」

 新舞さんが高く拳を突き出す。

 「あ、そうだ。新舞さんには言ってなかったね!」

 カイは、自身がサッカー部の助っ人に頼まれたことで勉強会に行けなくなってしまったことを伝える。

 「全然大丈夫だよー」

 マルのポーズを作ってへらへら笑う新舞さんだが、突然真剣な表情になる。

 「話戻すんだけど、正直今回の一件は委員長関係ないよね」

 「僕が帰ったあとの話だからね!何かあったらフォローできるよう、今日は行くつもりさ!」

 それを聞いて「おー」と拍手する新舞さん。

 「いや、ちょっと待って」

 俺は2人を制止する。

 「今日は、俺1人でユイの家に行きたい」

 2人は驚いた表情でこちらを見る。

 「えー!どうして」

 「今日、新舞さんはユイとLINEした?」

 「え、そりゃあ……というか、寝坊ってLINEで言われたし」

 「確かに、言われてみれば今回の一件は新舞さんにも非がある。ただ、問題はその後だ。現場にいたから分かるが、俺のあの態度はひどいものだった。」

 「そ、そんなに……?」

 「2人は今朝LINEしたってことで、昨晩の一件を通して亀裂が入ったようには見えないんだ。でも俺に関しては、今後話していけるのかすら怪しい。」

 真剣な表情で俺の話を聞く2人に目を合わせながら、俺は話を続ける。

 「部員がただでさえ4人しかいないんだ。部員間のしがらみが少しでもあると、活動しにくい。2人に迷惑はかけたくないんだよ」

 2人は納得したように頷いた。

 「それなりに覚悟は決まっているようだね!ここは葉山くんに任せようではないか!」

 「うん、そうだね。怒ってるようには見えなかったけど、私はまた後日謝っとくかな。」

 「ありがとう。」

 すると、新舞さんは突然、椅子から飛ぶように立ち上がった。

 「てか!やっぱ私が悪いじゃん!葉山くんにはまず私が謝らないと」

 そう言って深々と頭を下げる。

 「い、いやまじで大丈夫。というか、アルコール入りのチョコを渡したユイにも問題はある。」

 「本人はそれに気づいてなかったの?」

 「駅で俺に渡そうってところで気づいてた」

 「……元凶、普通にユイちゃんじゃない?」

 俺たち3人は顔を見合わせる。

 「と、とにかく。6限終わったらすぐにユイの家に行くから。家の場所、教えて」

 「おっけー……あっ!!!!!!」

 !?今度はなんだ。

 「私今日、1学年室に呼び出されてたんだ!」

 「災難だね。どうして?」

 「中間テストのこと!ごめんもう行かなきゃ!また後で送るね!」 

 そう言って風のごとく進路資料室から出ていった。忙しないヤツだ……。

 だが、2人に相談に乗ってもらって、だいぶ気が楽になった。

 「ありがとう」

 「? 僕は何もしてないぞ!お礼なら、君もサッカー部に参戦しないかい?」

 「遠慮しときます……」

 流石にそれは無理だ。

 ここで、昼休み終了のチャイムが鳴った。新舞さん、絶対間に合わなかっただろ……

 教室に戻る途中で先生に詰められている新舞さんを見かけたが、何事も無かったかのようにスルーして5限の準備を始めた。 

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