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シンク  作者: かいじゅう
1/1

つづき

イライラするのはゆいが僕のそばに居てくれないから。

彼に僕以外にも、友人が居るのは承知しているけど、あまりにもゆいはその友人たちと一緒にいすぎる。


僕と居る時間の倍以上だ、友人は意外と多いらしかった、ぼくは5人くらいと把握していたけど、実際はもっと居るんだ。僕には10人程度しか話せる人が居ないのに。


ゆいに迷惑をかける ゆいの友人たちに明らかにイラついている僕の月曜日。


少し前の他人たちの話の時には冷静に稼動していた僕の頭はいまふつふつと温度を上げて、僕の考えを鈍らせる。


その他の友人たちとうまくやらなければならないのに、くだらない感情に支配されている、



今僕の横に居る井川は高らかに笑っているがなんでそうしているのか僕は知らない。気に出来ない。ゆいは何時になったら、ゆいの友人たちとの話を止めて、僕に気づくのだろうか、井川とは長くは一緒に居られない、彼の彼に怒られたがるMな友人たちは僕と彼が一緒に居る時間を設定しているかのように、30分程すると彼をどこかに連れて行ってしまう。



僕の一人の時間を邪魔するものは居ても、僕とずっと一緒に居てくれる人は居ない。

イライラで一人の空間に入り込んでいる僕に誰も気づかないのか。


と卑屈に人肌を求めていると僕の肩に誰かの手が掛かる、


井川だ。

「鯉くん。三次元に戻っておいでー。鯉くん、」

井川が僕のかおを覗き込もうとする、

「・・・・・・・なに」

僕のかすれた声に井川は反応しない。話を勝手に続けている。

「あ!あのさあ、僕の下の名前おぼえてる?」

はぁ、・・・・・・・・・・・・・知らない忘れたのかも。

いやいや知ってると思うなぁ、さっき思い出してたし、えっと、

「暢でしょ。」

思いだした名前はどこかのアニメにいた気がする名前。あぁ うる星 かな?

そのうちの主人公は浮気もんだったけ?

「そうそう、暢だよ、」

うん。だから「何。」

「そろそろ、僕の名前下でよばないかな?」

そうか。友だったら下か愛称だな、おれは確か こほくん 否 鯉くん だったかな。

「・・・・・あたるって読んでいい?」

あれ、何であたるなんだろうか、自分で言っといて不明なんておかしいな。

「い・・・いい。けどなんでそんなひねくれた読み方なの?」

うる星 の主人公だからとは、言わないでおこう。なんとなくだが。

「いや?」

井川の顔を今日はじめて見据える。井川はうれしそうに僕の目を見て、

「いいよ。もう井川って呼ばないって約束してくれんなら。」

舞い上がっている井川が若干めんどくさくてシカトしてやったら、けたたましく

「あたるだよーーー。」

って言っていた。明るいのは本当に素なんだろうか。

井川 改め あたると話していると、あたるのお友達がこっちに近づいてきた。

「なあ暢、職員室いかない?」

あたるの友達は あたるの肩に腕を乗せる。

あたるは無表情のまま

「ごめんー。今はいい。」

明るいながら、感情のこもった感じのしない返し。

「仁鯉と何話てんの?」あたるの友人の悪気のないこそこそとした声が僕にも聞こえる。

あたるはこういうタイプをないがしろにする、癖がある。こういうってのは、金魚の糞が好きな、つまりツレション行きたがるようなかんじ。

「関係ないでしょう。」あからさまな、おふざけ口調であたるが突き返す。

ぼくはめんどくさくなって二人を残して歩き出す。

あーあ、あたるはどんな反応してくれるんだろーか。


「鯉くん!!まってよ。」あたるが話していた金魚君をそのままのこっちへ走ってくる。

あまり予想していなかったが、その声に答えるように振り向く。

「待ってよ。」あたるは結構本気で走って来ていた。もし上履き忘れていたら、転びそうだな。

僕は、「待ってるよ。」

振り返って彼が走って僕のところに来ようとするのを待っていたし

「そういうことじゃなくてさぁ。」あたるは投げやりな口調になっている。

あたるはなんで、僕を追いかけてくるんだろうか・・・。




あたるなりの理由はある、媚びない友達がなんとなく欲しかったので、偏屈といわれていた仁鯉ニジムくんに声をかけたのだ。鯉くんはいつも上の空ってか、四次元に生きてる感じがした。僕が話しかけたら、平均より少し多いくらいの応答をしてくれるけど、どんな内容にも鯉くんの喜怒哀楽っていうか、自己みないな、そういう添付物が見つからない。なんか、遠い国の戦争のこと話すみたいに、僕と話をする。熱もなく。厚みが感じられない。だからかな、殴り捨てたくなんない。俺は時に空気を絞めたく感じるし、学校の天井の低さに怒号を飛ばすけど、鯉くんなら、なにもない。彼の言葉の生命のなさに、僕の暴力も吸い取られる。というか、足元に解けて見えなくなる。鯉くんの熱はどこにあるんだろう。と探したら、案外すぐに見つかった。

同じクラスの不良に見えていた人だった。なんか、十代の男の重さのない人だ。好印象というわけでもなければ、とくにキレたおぼえもない、俺からする、範囲外の人だ。話さなくても済む奴らと一緒にいるが、俺はその存在は特に知らなかった。鯉くんを目で追っているうち気づいた、その人の話し方は、鯉くんのそれと、遠いどこかで似ている。寛容だとか、安心感なんて微塵もない、揺れない水面によくにた。無関心さから出る、熱くも冷たくもない。そんな人が鯉くん熱だった。




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