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レイヤー4 後編

 彼女は外れていた。

 優しく誠実で公正。正々堂々を地でいく女の子。卑怯なことは諌め、正しいことは真正面から褒めてくれる。他人に厳しいが、自分には親の仇のように厳しい鉄の委員長。揺るぎない意志とそれを実現させる実行力を併せ持つ超人。

 けどさ、それっておかしいだろ。僕らは高校生なんだ。世間一般で言われる思春期真っ只中で、多感なお年頃で、大人の階段を上っている最中で。ダブルスタンダードな行動をとってしまっても仕方がない年齢であるはずだ。なのに。

 彼女は真っ直ぐに走っていた。綺麗なフォームで前だけを見つめて。自分が正しいと決めたレーンをひた走る。その姿は———。

 そりゃモテるだろ。その姿は劇薬すぎる。誰だってそうなりたいと思ってる。そういう風に生きるのが理想だって憧れてしまう。

 彼女のゴールとかスタート地点なんて考えもせずに。



 アラームが鳴る。アラームが鳴る。アラームが鳴る。アラームが鳴る。アラームが———

「うる、さい」

 枕に顔を埋めながらスマホを探す。指先に何かがぶつかった。一定のリズムで振動している。対象を発見。手に取ってテキトーにタップ連打。アラーム解除。耳障りな音がピタッと止まる。これで朝の平和は守られた!

「……くっそ。なんで最近は朝早くに起きなきゃいけないことが多いんだ。こっちは寝不足だってのに」

 平和は守られ日常が戻ってきたのだから、二度寝をする言い訳はできない。

 僕は悪態を吐きながらベッドから起き上がりかけて、項垂れた姿勢で止まってしまった。肉体はまだ休息を欲しがっているようだ。

 ああ、だめだ。これ以上動けそうにない。食欲が薄い代わりに睡眠欲が濃いのかな、僕って。

「……でも、嫌な予感しかしないから、起きる!」

 ガバッと勢いよくベッドから転げ落ちた。


 七月十二日 七時二十分

「よし!」

「いや何でだよ」

 学校のゴミ置き場前で軍手を()めて意気込んでいる一条さんに、僕は思わずつっこんでしまった。彼女は「あれ? 可児くん?」なんて、とぼけ顔である。

「はあ……。一条さんは、えっと何? 何をしてるん?」

「え? 私はただ雲母ちゃんの落とし物がこの中にあるかもなって思ったから。九時前にはゴミ収集車が来ちゃうし」

 どうやら嫌な予感は的中したらしい。ホント外れて欲しかった。

「昨日も言ったけど、あれはあくまで本音(仮)ってだけで本当に捨てられてるか怪しいだろ。そもそもいつの話かもわからないんだし、そこには無いと思うよ」

「どうして? 確かに無いかもしれないけど有るかもしれないでしょ。じゃあ探した方がいいじゃない」

「だから———」

「あっれぇ! こんなところで何してるんですか?」

 僕の発言を遮る高い音。

 元気すぎるほど元気な、まるで男子小学生を思わせるような活力に富んだ声が寝不足の脳にキンキン響いた。朝から少しキツイな、と軽い目眩を覚えつつ僕は振り返った。

 視線の先。そこには自転車に跨がる女の子がいた。学校指定の紺色リボン。規定通りの長さのスカート。リボンと同じく紺色のスクールソックス。特に変わったところのない通常の鳥高制服を身に纏っている。一条さん好みの模範的な格好だろう。面白味に欠けるとも言える。まあ上着として、(とぐろ)を巻く金色龍の刺繍が入れられた光沢ある(みどり)色のスカジャンを羽織っていなければ、だが。

 雲母だった。案の定、雲母だった。違ったらどれほど良かったか、と思うが何度瞬きしても雲母だった。

 翠色のスカジャンは自転車を猛スピードで走らせながらこちらへと向かってきた。ぐんぐんと近づいてくる。髪が乱れることも厭わない。どころか考えにも及んでいない女の子。残り二、三メートルの距離となっても速度を落とすことはない。奴は減速という言葉を知らないのだ。勢いに気圧されて一歩足を引いた僕の隣を翠色の風がかすめて行った。その風は一条さんが履いているスカートをはためかせる。

 だが、しかし。校則通りに膝下までの長さがあるスカートはゆらゆらと揺れるだけ。まさに鉄壁であった———。

 ……視線を、もとい話を戻そう。雲母はそのまま僕らの横を駆け抜けると思われた瞬間に、ハンドルを切りながら急ブレーキをかけた。自転車の前輪がロックされその勢いは殺される。慣性の力によって前進しようとする後輪が宙へと浮かぶ。

 こ、これはまさか———

 雲母はそのまま自転車を百八十度回転させて僕たちの方へ向き直った。後輪が地面へと静かに落ちる。体操選手を想像させるような鮮やかで整えられた着地。

「じ、ジャックナイフターン!」

 思わず唸ってしまった。

 それはマウンテンバイク競技における基礎的トリック、ではあるのだが、雲母はケツ上げに失敗しケツを失くしてしまったママチャリで、そんな技をしてのけたのだ。

「こら、雲母ちゃん! 危ないから校内では自転車に乗っちゃダメでしょ」

 ところが委員長にとってはその凄技よりも校則の方が重要だったらしい。何事もなかったかのように注意する姿を見て、あれ? もしかしてそんなに凄くないのか? と迷ってしまった。拍手しそうになっていた僕の両手が音を奏でる寸前で止まる。

「あ、まこ先輩だ。おはようございまーす!」

「うん。おはようございます。それと降りなさい」

 ヤツは「ちぇっ」と言いながら渋々自転車から降りた。

 その光景になんだか二人が知り合いの理由を見た気がする。きっと中学生の頃からこんなやり取りをしていたのだろう。

「でも何でこんな朝から二人で一緒にいるんですか?」

 僕と一条さんの顔を交互にまじまじと見つめた後、何かに気づいたように雲母は言い放った。

「はっ! もしや、これは逢引きとか言うヤツでは!」

 ……なんで古風な言い方をするのか。素直にデートと言えばいいものを。

 雲母は両手それぞれでキツネの形を作り、「きゃっ」なんて小さな嬌声をあげながらキツネの口先同士をチュッとくっつけた。

「ううん、全然違うよ」

 そしてにべもなく否定する一条さん。

 いやまあ違うのだが。そんな淡々と言われると、やっぱりくるものがあるな。

「えーつまらなーい。そりゃ、まこ先輩と可児先輩だったら月とスッポン、雲泥万里、提灯に釣鐘ってもんですけど、たまにはジャイアントキリングを観たい私なのです」

 酷い言われようだ。

 しかし、隣では一条さんが「すっぽん、すっぽんかぁ……」なんて少し凹んでいたりする。これを天然でやってのけるのだからタチが悪い。今まで何度も告白されているはずなのに、自分がモテるのだという自覚がないお月様は放っておく事にした。

「というか雲母、流石に学校にその格好はどうなんだ?」

「え? よくないですか? このスカジャン、おろしたてで気に入ってるんです。金の龍ってイカしてますよね」

「なに、ヤンキーにでも憧れてるわけ?」

「むっ! すぐそう悪い方に結びつけようとする。今どき流行りませんよ、そういうの。私は単純に龍が好きなんです! 中学の修学旅行でもちゃんと剣に巻きつく龍のキーホルダーを買ったくらいです。もちろん家庭科の裁縫箱のカバーイラストも龍ですから」

 ドヤ顔で男子中学生趣味全開の宣言をする女子高生がここにいた。

「それに色合いは落ち着いていていいでしょう? すごく、大人っぽくてシックな———」

「うーん? シックって言うにはちょっと鮮やか過ぎやしないか? そのカワセミ色」

「……翡翠色、に見えますか?」

「え? うん」

「……そうですね。ごめんなさい。何でもないです」

「……」

 違和感はある。

 まあでも、本人が何でもないと言うのだから言及するのはやめておくべきだろう。

 それよりも、だ。念の為に確認だけしておく。

「そういえば雲母、何かのカードを落としたりしてないか?」

「カード? カードって?」

「いやよくわからないけど、なんか凄い? カード」

 雲母は一休さんの如く頭の上で指を回していた。

 ぽくぽくぽく、ちーん。

「むむ! 昨日、ツバキちゃんが拾ってくれたやつかな……。あ、いや違う! 自分で!自分で見つけたの。だから今のなしね。他の人に言わないでって頼まれてるから」

 コイツは本当に隠し事ができない人間らしい。

 雲母はポケットからキラキラと光るカードを取り出した。そこには笑顔でマイクを握っている女の子のキャラクターが描かれていたが、カードの端っこが滲んでしまっていた。

「ね! 凄く可愛いでしょう? 歌って踊れる珍しいアイドルなんだよ。デザインも完璧!」

 アイドルとは歌って踊れるもんだと思うのだが、それは気に留めないでおくことにした。そんな事よりもずっと引っかかってしまった単語があった。

「完璧な絵は嫌いなんじゃないのか?」

 僕は淡々と質問した。

 すると、雲母の顔から向日葵のような笑顔が消え去った。キュッ、と虹彩がレンズの絞りを開き、黒目が少しだけ大きくなった気がした。

 僕と視線が交わされる。

「……完璧ってのは周囲が勝手に決める事ですよ。当の本人は完璧なんて思っちゃいけないし、創ってもいけない。ましてや完璧なんて作れるものじゃないんです。あるのは純粋な理想だけ」

 いけないな、と感じた。迂闊な言葉を口走ってしまった。雲母好みの表現をするならば逆鱗に触れてしまったというやつで、このままでは確実に喧嘩になる。それも縁を切るほどの大喧嘩だろう。だから、この後は軽く謝ってすぐさま違う話題に切り替える。それが正解のはずだ。スマートで、理性的で、お互いが傷つかなくて……。大丈夫。わかってる。ちゃんとわかってる。

「何故?」

 それでも僕は止まらなかった。

 ———最近の僕は少しおかしくなっているみたいだ。

「……私、前に言いましたよね。そんなに完璧を求めるなら写真部に入ったらって。あれ、別にカメラや写真をどうのこうの言っているわけじゃないんです。

 写真は一瞬の事象をそのまま切り取る行為です。誰もが見落としてしまう瞬間。自分にしか許されなかった時間。神様すら忘れてしまったかのような事象を切り取る行為。そこには撮り手によるアングル、光、時間、更には自然の動きに至るまでの細心の考慮があり、何よりも執念がある。そして、そんな最高の事象を色褪せず、完璧のまま全ての人に提供できるコンテンツ。……無理です。勝てません、人間じゃ。私たち人間は、私たち人間が作った科学に勝つことは不可能です。

 ———じゃあ、なんで絵を描いているんだろう?

 それは、えっと、たぶん私の妄想だけど。この妄想は、きっと私の信念で、そうだったらいいなぁって思っていて」

 雲母は急に歯切れが悪くなった。恥ずかしそうに、まごつきながら紡いでいた。

「……事象を完璧に切り取って、あとは観た人の感性に委ねるのが写真なら、絵を描く私たちは————事象を観測した瞬間の私たちの心を切り取りたい。絵を描くとか何かを創るっていうのは、自分たちの感性で相手の感性を塗り潰す行為だと思っているから。だから、自分の心をノイズだなんて言いたくない!」

 雲母は真っ直ぐに睨んでくる。強い口調で、怒りを露わにした雰囲気なのに、その目は何だか泣きそうだった。

「……そっか。そうかも」

 僕は相槌を返した。

「何ですか! そのやる気のない———」

「うん、雲母はやっぱり凄いよ」

 瞬間、鋭くなっていた雲母の目は毒気が抜けたように丸くなった。口をぽかんと開けて呆けている。

 数秒の後、雲母は大きな溜息を吐いて話をすり替えた。

「それよりもお二人は何でこんなところにいるんですか?」

 僕は答えに窮してしまった。一条さんも「えーと……」と困った様子。

 なんて言ったものかな、と悩んでいると

「あ! そう言えば可児先輩! 昨日、中庭で私たちのことをニヤけながら見てたでしょう。いくら私たちが可愛いからって……」

 雲母は途中で喋るのをやめた。僕の顔と一条さんの手に嵌めてある軍手、後ろに積まれたゴミの山を見てから「あぁ……そういうこと」と冷めた表情で呟いた。

「ご心配なさらずとも、落としてしまったカードは親切な友達のおかげで戻ってきました。なので、ありがとうございます。あと、この話は他言無用でお願いします」

 雲母は一条さんにぺこりと頭を下げた後、自転車を押しながら去っていった。なんだか先程よりも落ち着いているように見えるその後ろ姿を僕たちは見送った。

 ゴミ置き場は嵐が過ぎ去った後の静けさとなっていた。

「……昨日、雲母ちゃんと会ってたんだ?」

「会ったんじゃなくて、見かけただけだよ」

 一条さんはそれ以上訊いてこなかった。

 僕はそれ以上喋らなかった。

 僕たちは別れてそれぞれの教室へと戻っていった。


    ◆


 七月十一日 十三時十分

 僕は自販機を求めて北校舎と体育館をつなぐ渡り廊下へとやってきていた。北校舎と体育館の間は中庭となっておりベンチがいくつか置かれている。日中でも建物の影があって、風の通りもよく、この時期にしては涼しく感じた。そのためか、生徒達に人気のお昼ご飯スポットとなっており、毎日熾烈な場所取りが行われているのだ。とは言え現在は十三時十分。予鈴の十分前とあってちらほらと空きが出ていたり、お弁当の片付けをしていたりと落ち着いた空気が流れていた。

 そんな、現在の僕にとって居心地の良い楽園に、耳にこびりついて離れないような声が聞こえてきた。

「ねえ! そう言えば昨日の二話みた? すごかったよね! 特にライブのシーンがかっこよくて。ぬるぬる動いて神作画だった〜」

 言わずもがな雲母の声であった。

 中庭のベンチで弁当を片付けながら、女子グループ四人で喋っていた。雲母以外に見た目が派手な子が二人、おとなしそうな子が一人。

「あーごめん。アタシそれ見てないんだ。あと雲母ちょっと声でかい」

 一緒にいた派手な子の一人が煩わしそうに答える。もう一人が「私もー」と従った。派手な子たちのメイクは随分と濃かった。すっぴんの方が可愛いだろうと思う。特に真っ赤な紅が気に入らない。でも一年生ならしょうがないか、とも思った。高校に入学してオシャレしたい盛りなのだ。化粧も勉強中だろう。もちろん鳥高は華美な化粧はNGだ。

「えーツバキちゃんも?」

 雲母がおとなしい黒髪の子に話を振った。おっかなそうに答える。

「う、うん。ごめん、私もみてない」

「絶対に観た方がいいよ! 凄い面白いから。とにかく作画! 作画がいい! 私もあんな風に描きたいなー」

 派手な子が、ハイハイ、と空返事。おとなしそうな子はオドオドと様子を伺っている。

 雲母はそんな空気にも気づかずに「あ、そうだ」とポケットから何やらカードを数枚取り出して、三人に見せつけた。

「実はそのアニメ、もうカードゲームにもなってるんだよ。しかも昨日パックを剥いたら凄いレアなのが当たって。ほら凄いキラキラ! 凄い可愛い!」

 雲母は凄いを連呼していた。あいつの中の語彙力はどうなっているのやら。あれで成績が良い訳がない。

「はいはい、わかったから。それより次の授業って何?」

「私らは英語じゃね」

「うわ、だるー。ツバキのとこは?」

「えっ、えと、私と雲母ちゃんは化学だから、次は移動教室」

 騒いでいる雲母を放置して次の授業の話をしていると、

「ええ! 次、化学なの? 教科書持って来てないよ。取りに戻らなきゃ」

 ツバキと呼ばれる女子の返答に驚き、雲母は慌ててカードを仕舞おうとした。その時、中庭に風が吹いた。

「あっ!」

 風が手に持っていたカードをさらっていく。

 雲母は中庭に散ってしまったカードを追いかけて素早く拾い集めた後に「ツバキちゃん、先行ってて」と残して北校舎に走り去っていった。

「ホント騒がしいやつ」

 そんな呟きが聞こえる。真っ赤な唇が歪んだような気がした。

「てかさぁ、雲母ってなんか、ちょっと変だよね———」

 その先の言葉は、まあ、よくある内容だった。ありふれた女子高生の会話だ。ダサいだのウザいだのと品性のない言葉が飛び交うだけ。特筆すべき点もなかった。僕にできることは陰口が陰口のまま陽の当たる場所に出てこないことを願うだけだ。

 しかし、そんな気持ちよく喋っていたケバい女子がベンチの下に落ちていたキラキラ光るカードに気づいてしまった。

「……これ雲母のじゃね。アイツ拾い忘れてるじゃん」

 彼女はカードを拾い上げ、しげしげと見つめる。ふーん、なんて口にしながら近くに置いてあるゴミ箱まで歩いていく。ほとんどの生徒に分別なんていう概念がなく、ゴミ箱の中にはお昼の残りカスや屑、ペットボトル、空き缶、紙パックジュースなどのありとあらゆる不要物が捨てられている。彼女はそれを一瞥すると口元を吊り上げながら、カードを捨てた。

「えっ?」

 誰かの小さな悲鳴が漏れる。

「ん? ……どうかした、ツバキ?」

 問われた黒髪の女子は、逡巡した後にゆっくりと首を横に振った。

「そ! じゃあアタシらも戻ろ。遅刻するわ」

 三人は北校舎へと向かって去っていった。

 自販機の横で一部始終を見ていた僕はゆっくりと中庭のゴミ箱へと足を運ぶ。中庭にはもう誰も居なくなっていた。

「はぁ、女子ってこえー」

 そんな独り言を溢すのも仕方がないだろう。

 ゴミ箱に辿り着きその中へと手を突っ込む。

 断っておくと、あれだけ凄いを連呼されたらどんなものか興味が湧いたからという理由だ。それ以外にあるわけがない。

「うわ! ジュースでべちょべちょじゃん」

 カードを拾い上げた瞬間、

「あ、あの!」

 か弱い声が僕の鼓膜を震わせる。

 振り向くとそこにはツバキと呼ばれていた、おとなしそうな女子がいた。胸の前で化学の教科書を抱えて息を切らしている。走って来たのだろうか。

「そ、それ!」

「……これ?」

 手に持っていた汚いカードを見せる。

「と、とも……わ、私のなので返してください!」

 一際大きな声で叫ぶと、彼女は僕が持っていたカードを奪い取り、走り去っていった。

 呆然としている僕の耳には厳かに鳴る予鈴の音だけが聞こえていた。


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