表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/19

第零話

叩きつけるような雨の中、私の意識は次第に薄れつつあった。涙目で必死に蘇生措置を行う彼女の姿を、ただ視界の端にとらせることしかできなかった。


あぁ、私のために泣かないでおくれ。瞼から零れ落ちるその美しい涙を拭ってやりたい。しかし私の腕はもう前後に揺らすことすらできない。無様に口を開け舌を出し涎を垂らすことが今の私の精一杯だ。


―――憎い、憎い。彼女を泣かせた者が憎い。私なんかの為に涙を流してくれる彼女を、ちっぽけな命のためにここまで身を粉にする彼女を、いったい誰が追い詰めた。彼女がこれ以上傷つかなくていいように、私に何ができる。


その答えが出るまもなく、慈愛と悲哀に震える彼女の腕の温もりのなか私は静かに息を引き取った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ