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「ヤージュちゃん、最近、あの男と仲良いのね? 大丈夫? 脅されたりとかではないのよね?」

「ヤージュ、ああいう冷たい男はやめた方がいい」



 私がユギの傍をうろうろするようになってから、そんな不必要な意見を言う人たちが増えてきた。



 それは私を心配しているからこその言葉とはいえるだろう。とはいえ、中には私が落ちぶれるのを望んでいる人たちもいるだろう。おそらく魔物の討伐などで最近活躍している私を面白くないと思っている人もいるだろう。



 世の中には本当に色んな人がいるのだ。

 それでいて自分の言っている言葉が正しいことだとそう思い込んでいるようだ。

 だから私が言うことを聞かないことの方に彼らは憤っているようだ。これだけ自分が思いやって言葉を発しているのに……と怒る人は、自分のことだけもっと考えておけばいいのになぁと思う。



 流されて悪い方向に行っている場合も当然あるので、別に忠告をすることに関してはそっかぁとしか思わない。

 私が何も考えなしに、ユギと一緒に居るとそんな風に思われているようだ。



「私を脅せる人なんていないから大丈夫」



 うん、私に脅して何かをさせようとしている人が居たとしても正直どうにでもする。

 私自身でどうしようもなくなったとしても家族が私のことを助けに来てくれているだろう。



 私は私の自由を誰かが阻害しようするなら全力で暴れる。

 ……私が全力で暴れたら、この辺一帯が凄いことにはなるだろう。いや、まぁ、暴れるっていっても周りの人を巻き込まないようにはする予定だけど。

 こう考えると、本当に私も含めてフロネア伯爵家って下手に手を出したら大変なのだ。



 元々子爵家令嬢で、貴族ではなくなる可能性も高かったお母さんが伯爵位を賜ったのも…、国がお母さんを手放したくないと思ったからだしなぁ。



「……お前、周りから色々言われているようだが、それでも離れないつもりか?」


 そういってくるユギはなんだかんだ私のことを心配しているのかもしれないと思った。



 本当に私のことをどうなってもいいと思っているのならば、こういう言葉は口にしない。ただ何も言わずに酷いことを行えばいいだけの話で、それを行わないだけでも本当の意味で悪人ではないのだと思う。

 世の中には更正の余地がないほどの悪人が居るというのは知っている。お母さんとお父さんからそういう人だっていることは聞いたことがある。でも基本的には何かしら理由があって行動をする人ばかりだって言っていた。人の行動を一つの側面から見ない方がいいって。別の方向から見てみると違うものが見えてくるって。



「離れないよー。周りの意見なんて何も関係がないからね。大事なのは、私が何をしたいか」


 周りに流されたら、私はきっと後悔するもん。



「……後から俺に関わらない方が良かったと思うんじゃないか?」

「その時はその時だよ。ユギに関わろうと思っているのは、私が決めたこと。だから、ユギは何も気にしなくていいんだよ? 私が関わりたくて関わっているだけだから」



 私がそう言って笑いかければ、ユギには呆れたような目をされる。

 私が考えなしにこんなことを言っていると思われているのかもなぁと思う。まぁ、それならそれでいいけどね。


「ユギ、今日は何するの?」

「魔物討伐」

「そっかー。どんな魔物? 強い奴倒しに行こうよ」

「……本当に暇そうだな?」

「うん。暇だよ? 今はね、ユギについていくっていう目的があるけどね?」




 ユギについていったら、きっと面白いことばかりが待っている。

 そんな予感がしているから私はワクワクしている。




「ユギって魔物の討伐ってどのくらいしている? 私はね、結構昔から魔物討伐についていったりしていたんだ」




 私の両親はよく私を連れまわしていた。特にお母さんが。

 お母さんは伯爵だけど、領地の内政なんてしていない。いつも自由気ままに動き回っている。




 私達姉弟の中で、魔物との戦いに興味を一番持っていたのは私だった。だからよく連れて行ってもらっていた。

 今の私でも勝てないような魔物をお母さんは簡単に倒していた。それこそ村や街といった人が多く住まう集落を滅ぼすような恐ろしい魔物もお母さんの前では無力だった。

 ……ああいうぶれなさが私にはまだないんだよなぁと思う。

 将来のことなんてお母さんは悩んだりしなくて、そういう点も含めてお母さんってやっぱり凄いなと思う。




「昔からついていっていた?」

「うん。本当にね、びっくりするぐらい強い魔物とかと遭遇したりもしたことあるの。私自身は戦ってないし、今の私じゃ倒すのは難しいかもっていう魔物ってね、凄いんだよ。私、いつかああいう魔物も倒せるようになりたいんだ。ユギは知ってる? 本当に強い人の戦い方っていうのは鮮やかで、見ていて惚れ惚れするんだよ」



 私がそう言うと、ユギはよく分からないという顔をする。



 ユギはお母さんやお父さんみたいな圧倒的に強い人の戦いは見たことがないのかもしれない。そういう強さに触れた人は、憧れる人が多いんだよね。

 ユギにもお母さんとお父さんの強さ見せたいなぁ。


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