エピローグ
4/28 三話目
「ユギ! 私と付き合おうー。結婚しよー」
あれからの話をしよう。
ユギは領主を継ぐことが決まり、お母さんがさっさと王家に許可をもらって領主になった。展開が早すぎるがそこはお母さんだからね。
ユギのお父さんは今回の件でボロボロで、まだ回復しきっていないのだ。
ユギは領主としての教育を受けることになったんだよ。あとね、フロネア伯爵家から人もよこしてもらったの!
お母さんが頼めば、人材が育つまでは何人か滞在してくれるようにしたの。お母さんってば、まだユギが私と付き合うかさえも分からないのに、もう既に義理の息子判定しているんだよね。
ちょっと気が早くない?
私はユギに毎日のように告白をしているんだ。だってさ、こういうのは押せ押せの方がよくない?
私はそう思っているの。あとは兄や姉達にも手紙でどうしたらユギに意識してもらえるかなって色々聞いているんだよ。
それでアドバイスされたことを実行したりしているの。
私がこうやってユギに対して愛を囁くのは日常茶飯事になっていて誰一人驚いていなかったりする。
私がユギを好きなのはもう公然の秘密みたいになっているんだよ。
「ユギ、私と一緒になるといいこと尽くしだよ? 私はとっても一途だし、愛が重い方なんだよ! ユギに好きな人が出来てもずっと諦めないかもって思うもん。もちろん、ユギが嫌がったら離れるけれどね」
でも多分、ユギのことがずっと好きかもしれない。
私って恋をしたのははじめてだし、それだけユギのことが特別なんだもん。
「だから、浮気とかそういう心配は一切なしだよ! それにね、私はフロネア伯爵家の娘だから、それだけでも領主としてやっていきやすいんだよー。コネとか使い放題! 私は一応貴族としての教育を受けているから、ユギの為に色々出来るしねー。あとは魔物が現れても領民を守るためにって退治出来るよ! どこかの貴族に狙われるとかがあっても私ならば対応出来るしさー。あとは」
私はひたすらに、自分のアピールポイントを口にする。
私は姉達みたいに綺麗な見た目はしてない。お母さん似だからね! 見た目的に言えばかなり平凡よりで目立たないからアピール出来ない! でも他の部分は幾らでも語れるよ。
私と付き合うといい事ばかりだと思うんだけどなぁ。
「ヤージュ、一旦とまれ」
「はーい」
あまりにも私がマシンガントークをしているからか、ユギに止められてしまった。
呆れた様子だけど、でも本気で嫌がっていないのは分かるからいいかなって思っているの。
私が返事をしたあと大人しく口を押えていると、ユギが笑う。
「お前は本当に極端だな……。全く喋るなとは言ってない」
「なら、喋るよー。ユギのことが私は好きだよー」
喋っていいと言われたのでまた告白しておく。
ユギはその言葉に一瞬黙り込む。
「……あーっと、ヤージュ、俺と結婚するか?」
そして言われた言葉が予想外で、私は固まった。だけど、その言葉の意味を理解して私は声をあげる。
「え!! ユギ、私と結婚してくれるの?」
「そう言ってる」
「私のこと、好きになってくれた!?」
「これだけ毎日、好き好き言われたら心が動かされるのも当たり前だろ。ヤージュが居なくなったら嫌だって思ったんだよ」
ユギは少し照れた様子でそういう。
私の気分は最高潮に高まった。だってユギが私の気持ち受け入れてくれるって!!
「やったー!!」
私は嬉しくなってユギへと抱き着いた。
ユギは「ちょ、お前……」と呆れた様子だ。だけど私を拒絶しない。私は嬉しくなった。
「ねぇ、ユギ。好きって言ってみてー」
ユギは私の好意を受け入れて好きなんだろうなと思うけれど、ちゃんと聞きたかった。
抱き着いたまま私よりも背の高いユギを見上げれば、顔が赤い。うん、いいなぁ、こんなユギの表情見れるのも嬉しい。
「……好きだ」
そしてユギは顔を真っ赤にしてそう言って、私は笑みを浮かべて「私もー」と元気よく答えるのであった。
私はそうしてユギの奥さんになることになった。
この先もずっと、何が起こっても私はユギの隣に居続ける。それはずっと変わりない事実だ。
少し駆け足気味ですがこちらで完結になります!
時系列的に『女騎士が~』、『冤罪をかけられ~』、『伯爵令嬢は~』、『出戻り令嬢は~』、『私の小さな~』、『両親から~』の後になります。
マリアージュとグランの末っ子の物語でした。
一番最初に出てきた時(おそらく冤罪を~の中で居たかと思います)は小さかったヤージュがすっかり大きくなっております。
あともう一人かけてないのでそのうち書くつもりです。
ヤージュはマリアージュに似ており、戦闘の才能がとてもある子です。そのため自由気ままにマイペースです。
辺境の地で自由に自分探し中に出会ったユギと恋をし、そのまま辺境の地に居つくことになります。
姉弟それぞれ違う道に進んでいるのです。個人的には楽しく書いてるので楽しんでもらえたら嬉しいです。
2025年4月28日 池中織奈




