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 私は魔法を行使し、剣を振るう。

 私がフロネア伯爵家の娘だとは、既に知ってはいるとは思う。あの時、会話を交わした時に執事は居たからね。でも全員は知っているのかな?



 フロネア伯爵家だって知らなかったら、それはそれでいいけれど。




 それにしても結構魔法をどんどん打ってくるなぁ。

 全てちゃんと対応出来ているけれど。



 私がこんな風に簡単に魔法の対応を出来ることを襲ってきた人は驚いていたりする。私がこんな風に簡単に対応を出来るのを信じられないという目で見る人はそれなりにいるんだよね。



 お母さんやお父さんのことをよく知っている人達はともかくとしてそうじゃなくて、噂しか知らない人たちは特にそう。

 私の見た目は、そこまで特出して目立つとかそういうわけでもなくて、普通の見た目の少女がこんなことを出来るのっておかしいんだって。

 というか私のことをフロネア伯爵家の娘だと知っているのなら、それはそれでこの程度で私を止められると思っているのがおかしいよね?




 なんだか実家が舐められているような気分になってそれは嫌だなと思ったりもする。私はフロネア伯爵家のことが大切で、大好き。私の大切な家族達のことを侮られたりしているのは嫌だよ?

 そんなことを思っているから、余計に襲い掛かってきた人たちのことは徹底的に痛めつけた。

 殺さないように対応を続けて、全員を捕らえることに成功する。




「ねぇ、あなたたちはあの領主の奥さんに雇われているんだよね? 受けた命令は領主を取り戻すこと?」



 私はそう言いながら、捕えた者達に向かって問いかける。



 ――彼らは私のことを怯えたように見ている。私の実力を見て、怖かったみたい。もしかしたら化け物か何かだと思われている可能性もある。




 お母さんも暴れ過ぎた時は、そんな風な視線を向けられることもあったと言っていたなぁ。

 私みたいな小娘がこれだけの力を持っていることはある意味脅威なのだというのは分かっている。フロネア伯爵家はそういう周りから恐れられるような力を持った人材が揃っている。

 お父さんが他の国だったらその脅威から排除しようとする者達も出てきたかもって昔言っていた。



 この国の王族が出来た人たちだから、フロネア伯爵家と上手くやっていっていけるのだって。

 私の家はやろうと思えば、国を乗っ取ることぐらいおそらく出来る。それだけの力を持っているし、英雄として求心力もある。だけどそんなものはお母さんもお父さんも望んでいない。

 それが分かっている王家と上手く付き合っていけているのだ。





 ちなみに私のことを「ば、化け物……」と口にした者はフロネア伯爵家の密偵に睨まれて黙り込んでいた。




 家に仕える人たちはお母さんとお父さんのことが大好きで、本当に心から尊敬というか、崇拝しているというかそんな感じなのだ。だからその娘である私に向けてくる感情も結構重い。





 それから襲撃者たちに話を聞いたのだけど、生死問わずに領主のことを連れてくるようにと言われていたようだ。亡くなったとしても私やユギのせいにするつもりだったらしい。

 ……領民もそれをそのまま信じるほど愚かではないと思うのだけど。

 でもそうか、領主の奥さんが言った言葉をそのまま正直に信じ切ってしまうような人も世の中には居るだろうし、この領地が混乱はするか。




 何が本当かなんてただの領民達には調べられないからって好き勝手するつもりなのだろうか。

 それにしても私やユギ、それにフロネア伯爵家の密偵とかも全員殺す気だったらしいよ? そんなことをしたらフロネア伯爵家が黙ってないのにね。そちらも上手く口裏合わせれば問題がないと思っているみたい。やっぱりフロネア伯爵家のこともかなり侮っている。




 私の実家は、確かに戦うことしか能がないみたいに思われることはあるし、やろうと思えばだますことも出来るなんて愚かなことを考える人はいるよ。でもそんなことない。





 お母さんの強さが目立っているだけで、お父さんはその辺の交渉術もきちんと持ち合わせている。それにお母さんが内政を出来ない分、それをする文官達がフロネア伯爵領にはいるもの。

 私が遠く離れた辺境で不自然な死に方でもしたら、すぐさま調べられるだろう。





 両親は二人とも子供である私達のことを大切に思っているから、そんなことになれば間違いなくこの領地はつぶれるだろう。





 そういうところにまで頭が回らないのも駄目だよね。

 きっと領主を弱らせているのも短慮的に行っているんだろうなとそんなことを思った。



 それから領主をかくまう場所を移動させたりしながら、襲撃者たちに対応しつつ、フロネア伯爵家からの増援を待っていたのだけど……、



「ヤージュ! お疲れ様―」



 まさかの、お母さんが直接来るとは思ってもなかったので私は驚いた。


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