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「ユギ!」



 私はユギを見かけて駆け寄る。

 街中なのに大きな声で呼んだから、周りがこちらを見ている。



「ヤージュか」

「今日も会えたねー。ユギは何をしているの?」




 私はユギに会えたことが嬉しくて、思わず頬が緩む。つい先ほど。不快な人達と会話を交わした後だからこそ余計にユギと会えたことが嬉しいなと思う。

 やっぱり一緒に居て楽しい人と一緒にいるのが一番いいよね。




「……武器屋にいく」

「そうなんだー。じゃあ、一緒に行きたい!!」



 私がそう口にすると、ユギは私の顔をじっと見た後、頷いてくれた。




「お前の武器はどこで仕入れているんだ?」

「私のはね、実家から持ってきたものだよー。私の家の倉庫には沢山あるの」

「……倉庫にそんなにあるのか?」

「うん」




 お母さんとお父さんに使ってほしいと鍛冶師が持ってくるものとかも多いし、それこそ高価なものもあったりする。とはいえ、お母さんもお父さんも武器にそこまで関心はなさそうで、使えればどれでもいいと思ってそうだけどね。

 私も敵を無事に倒せればいいかなーってそう思っているよ。




「ユギが使っている武器は何処で買ったの?」

「故郷の鍛冶師から買った」

「そうなんだね。ユギの故郷ってこのあたり?」

「……ああ。少し離れた場所にある村が出身なんだ」

「そっかー。今回、武器屋に行くのは手入れのため? 新しい武器でも買うの?」

「両方だな。出来れば長く使いたいが……、流石にずっと使っているとガタが来るから悩んでいる」

「そっかー。私、武器を見る目あるよ? だからいいのあったら教えるね」




 私がそう告げると、ユギは信じてなさそうな様子。私にそういう武器を見る目があるって思えないのかな。



 私は昔から、武器は散々見てきたの。それこそ良い武器にも沢山触れてきた。



 それに私自身も、武器を扱う身として良いものと悪いものは区別できる。あと私自身が両親の娘としてそういうのを間違えたくないなとそう思っているから。

 両親はそんなものを全く気にしないだろうけれど、私が嫌だし。






 私はそんなことを考えながら、ユギと一緒に武器屋へと向かった。この街の武器屋に私が訪れるのは初めてなのだけど、ドワーフの人がやっているみたいだね。





 私のお父さんもエルフの血を継いでいるけれど、ドワーフの人とはそこまで会うことはないから会えて嬉しいなとそう思っている。

 英雄であるお母さんがね、ハーフエルフのお父さんと結婚したからというのもあって異種族に対する偏見も大分なくなったらしいんだよね。そういう周りへの影響力があるのが、お母さんの凄いところだと思う。

 そういうお母さんの凄さを実感すると、私は何者になれるだろうかなんて考えたりもする。




 自分探しのために私は此処にいるけれども、どういう私に私はなりたいんだろう?

 両親に、姉や兄たち。私にとっては眩しい人たち。

 私はお母さんやお父さんたち、家族への憧れはある。だけどそのものになりたいわけではなくて、誰かに将来のことを決められたくもないなとも思っている。

 だからどうありたいかなってずっとそれを考えている。






「ねぇねぇ、ユギはさ。将来、どうしたいかとか決めてる?」

「……いや」

「んー? なんか考えている感じだね。やりたいことはあるの?」

「まぁ、やりたいことはあるけれど」

「そっかー。それが出来るといいね」




 武器屋の中で、ユギが長剣を手入れしてもらっている間にそういう会話を交わす。



 ちなみに会話しながらも、武器屋に並んでいる武器を見たりもしているよ。ドワーフってね、基本的に鍛冶が得意な種族だけあって良い武器が沢山並んでいるわ。

 会話を交わしながら、見て回って一つの武器を見かける。




「ユギ、あれ、凄くいいものだよ」

「……確かに良さそうだけど、高いだろう?」

「私が買おうか?」

「流石に買ってもらうのは気が引けるからいい」

「んー。でも出世払いでもいいよ? 私はこういう武器を使ったユギを見たいしなぁ」




 私は本心からそう思っていたのだけど、ユギからしてみると私に買ってもらうのは嫌みたい。そういうわけでユギは別の長剣を購入していた。



 あのくらいの剣を買っても特に私は気にならないのになとそう思うけれど、まぁ、他人にそうやって買ってもらいたくないなって人も多いよね。




 この辺境の地での暮らしではあんまり家から渡されたお金は使っていない。

 基本的に自分で稼いだお金で暮らしているけれど、その分、元々持っているお金って結構あるのになぁ。でもまぁ、ユギが気にしない形でお金を使おうかな? なんてそんな風に思った。



 ちなみにドワーフの職人は私の見た目で侮ったりなんてしなかった。ちゃんと戦いを嗜んでいると分かってくれているみたい。

 あとこの職人さん、お母さんにいつか剣を使ってほしいと思っているみたいだから名前とかをちゃんと覚えておくことにした。



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