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ダンジョン製作士という仕事

現在、人間と魔族の戦いの中心はダンジョンにある。

生まれながらに魔力を持った魔人、魔力を自身で生み出すことができない人間、両者の見た目の違いは頭に角が生えているかいないかくらいだが、その対立ははるか昔から続いていた。

今から90年前、人間たちを恐れ慄かせた偉大な魔王が殺された。8代目の魔王であるその『偉大な魔王』は、桁外れた魔力と優れた頭脳から、人間との対立において常に劣勢であった魔族を勢いづけ、人間の領土を次々に侵略したが、伝説の勇者トール一行により殺されたのだという。


人間たちは歓喜に沸いたが、大予言者ファビンの『100年後にまた魔王は復活する』という予言から、まだ戦いは終わっていないと考えられた。魔王を復活するためには依り代となる6つの魔導石が必要となり、そして魔族はその魔導石を各地のダンジョンに隠し守っているのだということが判明してから、勇者たちは各地のダンジョンに攻め入るようになる。それに対抗して魔族たちは魔導石を守るために各地にダンジョンを作り、攻め入る勇者たちを返り討ちにして有望な戦士の数を削ろうと難関な仕掛けを施した。


まあ、ざっというとこんな感じで人間と魔族の間で大規模な戦争が起きることはなくなり、今はダンジョンが戦いの中心となっているのだ。


さて、私は、一級ダンジョン製作士を目指して先月マニエラ魔術総合学院を卒業したばかりの見習いだ。うちはお父さんが男手1つで私と妹を育ててくれた裕福とは言えない、いや、貧乏とはっきり言うべきか、貧乏な家庭で育ったのだが、勉強だけが取り柄の私はなんとか奨学金をもらって魔都にある名門マニエラ魔術総合学院に入学することができ、先月無事卒業して学位を取得し、一級ダンジョン製作士の筆記試験もパスすることができた。


ダンジョン製作士の仕事は、ダンジョンの構造を作るだけではない。各階層に魔物を配置し、罠を仕掛け、勇者が攻め入ってきたときにはダンジョン内部の指揮を執る。故に一級ダンジョン建築士の資格を得るには膨大な知識が必要とされ、ダンジョンは今や魔族の存亡がかかる極めて重要なものであることも重なり、この資格は超難関資格となっている。自分で言うのもなんだが、筆記試験にパスするだけでも難関で難関でダンジョン製作士にはなれるのは一部のエリートだけである。


ペーパー試験に受かった後は、1年の見習い期間として少なくとも5つの異なるダンジョンに出向き、そのダンジョン運営の手伝いをしなければならない。5つのダンジョンのうち一つ目のダンジョンは学院から紹介されて、そこからはそのダンジョンの製作者に数珠つなぎ方式でダンジョンを紹介してもらうという形式だ。

ダンジョンは、地下型、地上型、水中型、天空型の4種類に大別されるがその内部は製作者の個性が色濃く反映される。そのため私は色々なダンジョンを見て回れるこの見習い期間をとても楽しみにしていた。最初に私が紹介されたダンジョンは魔都からはかなり離れた僻地にあるダンジョンであり、製作者の名前はルビ・コーン。


『罠の魔術師』と呼ばれる男である。

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