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シュナと余命10年の騎士  作者: ぽこ
1章 赤い数字が意味するもの
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ワイバーン討伐のその後

シュナは談話室で号外新聞を読んでいた。



あれから早くも3日経ったが、騎士達はまだ誰1人として帰ってきておらず、寄宿舎はガランとしてる。

討伐は完了したものの、後処理と現地調査に追われている騎士達はしばらくの間対策本部で寝泊まりするらしい。




『第一騎士団のみならず、第二、第四騎士団及び王立魔法師団が投入されるが非常に厳しい戦闘となり、多くの死傷者を出して辛うじて討伐は完了した。

アルプエール山脈を越えてワイバーンが出現した原因は未だ謎であり、国家対策本部を設置してこれから究明していくこととなったがーーー』





シュナは別紙のの犠牲者名簿を指で辿る。

そこには30名ほどの名前が連なっており、享年を見ればまだ20代前半の若者達が多いことを知り、ぎゅっと胸が締め付けられる。



先に号外新聞に目を通していた管理人夫婦は、声を掛けるのも憚られるくらい憔悴していたので、きっと第一騎士団にも少なくない犠牲者が出ていたのであろう。



第一騎士団の寄宿舎で出会った騎士達の顔が浮かぶ。

声を掛けてくれた背の高い脳筋と呼ばれていたセルムや、父のような顎髭のマシュー、笑って見守ってくれていた優しい騎士達。



「皆無事でいて欲しい…」



シュナは喉に込み上げてくるものをグッと飲み込むと、両頬をバチンと叩いて気合いを入れる。悲しみや寂しさに飲み込まれたら、体が動けなってそのうち心も動かなくなるものだ。

『動けるうちに動きなさい』って父さんも言っていた。



「…こんな毎日毎日グズグズ泣いていたらネネにだって笑われる!」



シュナは新聞を置くと、談話室に備え付けられているペンとメモを借りて『赤い0』について今わかっていることを箇条書きしていった。




命の日数→色

○多ければ長生き

▲ 亡くなる当日→デッドゾーン

× 亡くなる→黒




「今わかっているのはとりあえずこれだけ」



『赤の0』になってからいつ亡くなるかまではわからないが、父さん達は亡くなったのはシュナが数字を見始めた朝から約6時間後だった。ひとまず6時間は猶予があるということか。



数字が見える以外、なにか出来ることは?

何もせずただ黙って2度と会えなくなるなんてもう嫌だ。何か出来る事があればーーー



シュナはハッと思い出す。



「そういえば、緊急警報が発令した3日前に『3()』を浮かべていた騎士さんが1人いた!」



仮定があっていれば、今日ちょうど『赤い0』になるはずだ。シュナはメモをポケットにしまうと、急いで管理人室へと向かった。

窓から一瞬数字を見ただけだったのでその人の名前も顔もわからないけれど、メアリーさんに聞いたら何かわかるかもしれない。



「メアリーさん!聞きたいことがあるんです」



ちょうど管理人室からリネン類を持って出てきたメアリーに出会えた。



「3日前に出動した騎士さんで今重傷な方はいますか?」

「よく知ってるね。ちょうど今彼のところに向かうよ」

「わたしに出来ることがあったら手伝います」

「そうかい。それじゃあ一緒に行こうか」



どうやら、病院が満床のためその人は寄宿舎で療養しているらしい。メアリーさんは新しいリネンに交換しに行くところだったという。

シュナは荷物も半分受け取ると、その人の待つ病室へと向かった。

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