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初めての出会い

「これからよろしくね、葵ちゃん」

「は、はいっ!」


 心の中で冷や汗をかきまくる。

 ……なんでこんなことに。

 頭の中ではハテナがぐるぐる回っていて、上手く頭が回らない。


「ははっ、敬語じゃなくていいよ。これから家族になるんだし」

「は、はあ……」


 優しく微笑む男の人は、私のお母さんと仲がいい。

 ……えっと、なんて名前だっけ?

 説明されたはずだが、覚えていない。

 まだ、この状況を理解したくない。


 目の前にいるのは穏やかそうな男の人と、優しそうなイケメンさん、切れ長の目で無表情のイケメン男子、俯いていて大人しい女の子。そして、にこやかに笑う男の子。


 ……いや、顔面偏差値高っ!!

 女の子は俯いていてよく分からないけど、スタイルなどを見ても、ぜったい可愛い。他男子は、目が飛び出るようなイケメンだ。


「ふふっ、緊張しているのね。葵、これから兄妹になる子たちよ。いやー、みんなイケメンね!」

「そうだろう、そうだろう」


 男の人はうんうんと頷いて笑う。

 ……ちゃんと話聞いとけば良かった。

 全く、状況が理解できない。


 〜遡ること1週間前〜


「葵、私ね、再婚することにしたの!」

「は?」


 思わず威嚇のような言葉が漏れる。


「じ、実は、1年前から交際させてもらってて……。いい人だなぁって。1ヶ月前にプロポーズされてね、私、再婚することにしました! それで、一週間後に家族総出で顔を合わせようってことになったの」

「は?」

 

 お母さんから発せられる言葉が理解できない。

 きゃーと騒いでいるお母さんは、私の表情など見えないのだろう。

 ……いや、普通にやだ。

 再婚の方が嫌なわけじゃない。私も高校生になるし、お母さんだけでこの先私を育てるのはかなり苦労極まるだろう。

 再婚はいい。でも、やだ。

 矛盾している。


「あ母さん、それってさ、私の意見も言っていいの?」

 

 いつも通りの笑顔を忘れずに聞く。


「葵は、反対なの?」


 お母さんは心配と困惑を含んだ声で首を傾げる。


「ふふっ、じゃあ、私の意見も言っていいってことだね。……ちょっと考えさせて」

 

 私はやや早足で自分の部屋に向かう。ドアをしっかり閉めてから、ベッドにダイブした。


「はぁ……」


 きっと、悩んでも変わらない。

 ……お母さん、幸せそうだった。

 きっと私が喜ぶと思って花開く笑顔で知らせてくれたのだろう。

 だったら、私の答えは一つしか用意されていない。

 ただ心に残る一つのこと。


『不安』


 不安で、仕方ない。再婚ということは、お父さんができるということだ。

 でも、幼少期から母子家庭で育った私は、父親というものがよく分からなかった。

 ただ父親というのは、無責任で、怖いということ。

 そして、未知で恐ろしいもの。

 ……知らないものは、怖い。

 人間のことだ。当たり前なのかもしれない。

 ……でも、いくらなんでも急すぎない?

 一ヶ月ほどあったら、心の整理もできたかもしれない。でも、いくらなんでも一週間後はない。


「……お母さんの、ばか」


 思わずそんな言葉がでた。

 涙を一滴たらす。

 でもやはり、これまでの十五年のことを考えると。


 ——私はいい子になるしかなかった。


「…………それでね、兄妹は四人できるのよ!」

「そっか」

 

 私の頭の中は既に空白で、でも、満たんで、何も入らなかった。


 

「本当に皆さん綺麗だな〜。憧れちゃう」

「そ、そうかい? いや〜、照れちゃうな」


 男の人は頬を染めて笑う。

 ……いや、まじで誰。

 年齢的に私の父親になる人だと思うが、名前が分からない。

 ……あと、兄妹になるってどういうこと?

 この目の前にいる美男美女が私の兄妹になるのだろうか。信じられない。信じたくない。


「じゃあ、改めて自己紹介といこうか。というか、遅れちゃってごめんね」

 

 ……わお。神? ありがとう、これから父親になる人!

 心の中で手を合わしておきながら、私は一言も漏らさぬよう耳に入れる。


「まず僕。僕は、葵ちゃんの父親になります。和也です。そしてこっち。長男の柊真。大学二年生だ。隣は次男の洸。葵ちゃんと同い年で、この春から高校一年生。そしてその隣が長女の天音。いや、これからは次女だね。中学二年生だよ。最後に三男の祐希。中学一年生だ。あ、みんな春からね。仲良くしてやってほしいな」

「よろしくね、葵ちゃん」

「よろしくぅ〜!!」

「いや、こちらこそ……」


 長男の方と四男の方は笑って挨拶をしてくれた。私もいつも通りの笑顔を浮かべて挨拶をした。


「えっと、よろしくね?」

「……」

「…………」


 二人とも貫く。

 ……どうしよ。


「ちょっと、二人とも。挨拶だよ。ちゃんとやんないと。当たり前でしょ」

「……よろしく」

「……」

 

 長男さんが言ったことで、次男くんはぶっきらぼうに挨拶をしてくれた。しかし次女ちゃんの方は俯いたまま。

 ……初対面だもんね。当たり前だよ。

 私だって、こんな『普通』に挨拶をしたくない。


「よろしくね」

 

 大丈夫だよ、次女ちゃん。

 まだ私は、名前すら覚えていない!


星乃いーふです。

皆様がドキドキしてくださるような物語を作っていきたいと思います(ง •̀_•́)ง

よろしくお願いします(*^^*)

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