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【推し活】B級だっていいじゃない!

ヒューマンドラマ・妖怪・ほのぼの

第53回 番外:推し女中さんに推し服を着せてみた件



 皆様、いかがお過ごしですか?

 気軽に外食をするのも躊躇われる昨今ですが、おひとり様ならどんどん行っちゃっても構わないんじゃないでしょうか? わいわいシェアして食べるのもいいけれど、春の日差しを背に、本を片手に優雅なティータイムなんていうのも素敵です。


 さて、今回の『B級だっていいじゃない!』はタイトルの通り番外編。以前ご紹介して大変反響の大きかった『カフェ Gen』(紹介記事は こちら)、先日もお邪魔してきました。他のお店も時々行くのですが、こちらにはとても可愛らしいウェイトレスさんがいらっしゃるので、ついつい足が向いちゃいます。お顔はNGとのことなので、お洋服だけでも。

 ジャン!


(写真)


 可愛いでしょう? うふふ。

 いつもいるわけでもないし、お手伝いもきまぐれですが、浴衣が大好きなこの子のおかげで、すっかり和小物に嵌まってしまいました。

 カラフルなトンボ玉のついた帯揚げも簪も、昔ながらの和模様の小物も、螺鈿(らでん)細工のような宝石箱も、目に付くと欲しくなっちゃう。ネイルも桜模様にしてもらったんですよ!


(写真)(写真)(写真)(写真)

 

 写真クリックで、おすすめページに跳びますからね!

 みんなも嵌まるといい。


 ああ。本題から逸れちゃった。

 先ほどのフリフリな浴衣の写真、実は頼み込んで着てもらったものなのです。絶対似合うって思ったんですよね! 髪飾りも豪華に盛ったんですけど、お見せできなくて残念……

 ついでにアイドルみたいな制服風の衣装とか、ゴスロリとか、


(写真)(写真)


 中華ファンタジー風の衣装も着てもらって、大撮影会ですよ!!


(写真)


 やぁーーーん! 私、大満足ぅ!!

 (え? 衣装はどうしたのかって? もちろん手作りですよ。ののさん、衣装づくりのレベルが上がってしまいました)

 ロフト風のお二階を快く貸し切りにしてくれたマスターには、感謝しかありません。

 常識の範囲内であれば、色々ご相談してみて損はありませんから、女子会やお花見(これからの季節、テラス席からは山桜が綺麗に見えますよ!)、小さなウェディングなんかでのご利用もいいんじゃないかな? 皆さんも『Gen』に行ってみてくださいね♡(今月のケーキは桃のアーモンドクリームタルト!)


(写真)


 ※小さなウェイトレスさんは恥ずかしがりなので、見かけてもそっとしておいてあげてくださいね。


 text/のののの


 * * *


「却下」

「えぇーーー!? 顔出してないし、お店の宣伝じゃないですかぁ」


 冷たく頬杖をつきながら半眼で見上げてくる幼女に涙目で訴える。

 赤い浴衣に兵児帯が揺れているけど、実際は私よりもかなりだいぶ年上のお姉さん……(ねぇ)さんだ。


「正体をバラしてるわけでもないですしぃ」

「どう考えても面倒臭いことになる気しかしないじゃないか! あたしゃ客寄せパンダじゃないからね!」

(あね)さぁん……」


 姐さんは、ろくろ首という妖怪だ。『Gen』の店主さんの祖父の味と人柄に惚れこんで通い詰めていて、孫が引き継いだ味についてきたのだ。出会った時は和服の美女だった彼女は、諸事情があって今は幼女姿なのだが、詳しくは知らない。

 私はどちらかというと「妖怪も魅了する味」を推したいのに、マスターも店に通う妖怪たちもあまりそれを望まない。

 お着替えはそれなりに楽しんでたと思ったんだけどなぁ。


「写真は撮らせてやったんだ、それを悪用するんじゃないよ」

「悪用じゃないですよぅ」


 彼らの望まないことを無理にしようとすれば、店に辿り着けなくされてしまう。それは困る。私は店の味と彼女らにすっかり魅了されてしまっているのだ。

 私は泣く泣くその記事を「ロバの耳」フォルダに投げ込んだ。公開されることのない、私の推し記事。そういう記事が溜まっていく。


「推させてくださいよぅ!!」

「普通に推せばいいだろ」


 にやにやしながら、足をぶらつかせる幼女が小憎らしい。

 私は! 普通じゃないところを推したいの!!


 マスターが苦笑しながら「サービス」って、桃のアーモンドクリームタルトを差し出してくれた。絶品ケーキを「要りません!」って断れない自分が哀しいところ。食べるの大好きだもん……

 いつかどこかで絶対同志と分かち合うんだ。

 妙な野望に燃えながら、私はフォークをタルトに突き刺した。

KAC2022参加作品

関連作品「おばけ居酒屋の裏メニュー」

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