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王の後悔

「では手短に、簡潔に、お前が欲しい情報をやろう」


ゴーストが話したのは王族たちの人間関係である、クロムが本当の兄弟ではない事、とある侍女とアレスの中が良かったこと、などである。

ゴーストは一つだけ断りを入れた、全ては話さない、と。

別にそれは構わなかった、当日になれば自ずと明らかになるからだ。そしてその日はもうすぐだ。


「ではこれで失礼する」


ゴーストは余計な事は何一つ言うことはなく、幽霊のようにパッと消えてしまった。



当日、アリアは会場には入らず外に待機していた。罠が仕掛けられていないかの確認と自らが仕掛けた罠の整備のためだ、結果特に異変はなく王が来るのを待つのみとなった。


「ん?」

おっともう夜のようだ、つい集中してしまった。

ふふん我ながら完璧な術式だ、こういう凝ったことができる作業は楽しい、最も使ったら全部消えてしまうけど。でも良いのです、美しいものは儚く脆いと言いますし、仕方のないことです

...

おや?会場が静かになった。ついに王が来るということだろう

私もそろそろ会場に入ろう、でも話している途中で入ったら不敬かな...

いやそんな事を気にするとは私らしくない、ここは堂々と入ってやろう。





廊下を歩く、今回もまた腐った貴族共に俺の無事を知らしめないと行けない

正直、面倒だ。

所詮俺は裏方の作業ばかりしているお飾りの王だというのに、何を心配しているのやら

ああでもわかっているさ、俺は王なのだから、そういう立場になってしまったからには責務を果たそう、そしてそれは贖罪でもある。

俺が愚かだったから、俺が彼女達を信じられなかった臆病者だったから

今でも思い出す、夢に見る。俺が殺したんだ、強く聡明であったあの二人を

一人目は侍女、彼女の主人同様強く優しく厳しい女性であったが罪を犯したであろう主人を逃がしたことで当時の俺が処刑の判決を下した。...そういえば一番上の息子が世話になったのだったな、なら息子は俺を恨んでいるのだろうな。殺されても文句は言えまい

二人目は俺が愛した女性アリス、腐りきった貴族が多い中彼女だけが俺の外面ではなく内面を見てくれた。俺は誓った、彼女を愛すると、彼女を守ると、でも結局俺は信じられなかった。

アリスは俺を愛してくれた、だがアリスは俺の子ではない子を宿した。あの時の俺は何も考えられなかった、何も考えたくなかった、やがて憎しみが生まれアリスを殺そうと思った。

だがアリスは逃げた、逃げ切ってくれた。

憎んでいた俺だが時間が経ち、冷静に考えた結果アリスが、俺が何年も愛した女がそんな事するはずがないと、だから俺は裏方にまわりアリスの行方をずっと追った、しかしアリスは森に入ったという情報以外何も情報が無い、生きているのか死んでいるのか、それすらもわからない

未だ諦めてはない、だがもう死んでいると思っている。

ただの女が魔獣や竜がいる森を生きて出られるとは思えない、でもそれでも俺は諦めることはできないのだ


...ふぅ、会場についたようだ、俺は中に入り上から会場を見下ろす、そして宣言する


「俺の安否を案じてくれたことにまずは感謝を送る、心配は無用だ!俺はこの通り息災である!さあ!同士諸君、この俺アルス・プロキオンと共に!この国を豊かに...」  


王が言葉を続けようとしたその時、ガチャリと音がして誰かが入ってきた、アリアである。

アルスはその白い髪に少し動揺したが流石にそれだけでは宣言は止めなかった。

その顔を見るまでは


「は?」

思わずそんな声を出す、あの顔は...そんなはずが!?片時も忘れたことはないその顔、アリス...?

いや同じではない!だが面影がある...


王が動揺した瞬間、アレスが動いた。まるで全てわかっていたように全速力でアルスに近づいた

アレスが王に多大な魔力をぶつける、するとアルスが身につけているブローチから音が鳴った。

防御の魔術が壊れた音である、そしてアレスは懐にしまっていたナイフでアルスを刺そうとして...

(いや、その展開は読んでいました!)

アリアはアレスが動いた瞬間、動揺することもなく一直線に止めようと動く。

予測は正しかった、しかしもう一人いたことを除けばであるが。


(!?)


グワンとアリアの体が横に動き壁を突き抜け、外に放り出される

チッ、これはアレスの能力ではないですね。何故なら意識がこっちに向いていなかったから、ならばこれは...

「もう一人の...」

「大正解、君の成績を上げてあげよう。」

そう言って目の前にいたのは、最下位クラスの先生ローレンスであった

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