瞬殺
「白氷!貴様には俺達と勝負してもらう!」
開口一番、そんなことを三人の王子の一人に言われた。名前がわからないので特徴である赤髪と呼ぼう、その他二人は金髪、金髪2と呼ぼう。
「...なんですかいきなり、それに白氷ってなんなんです?私にはアリアという名前があるんですけど」
「ふん、それに関しては悪かったではあr「白氷でいいです」
名前は呼ばせはしない。なぜならこんな失礼な奴に名前なんて呼ばれたくないので。ただでさえ時間を無駄にしているのにさらに不快になるような事をさせるのは許せない。
「......お前、俺を舐めているのか!?もういい!表出ろ!!ぶっ殺す」
そういって赤髪は激昂しながら部屋を出る。怒りたいのはこちらの方なのだけれど、つくづく失礼な人だと思った。
「どうするこれ?」
「いやこれは天才と呼ばれている白氷の実力を知るいい機会だよ兄さん」
「...さっきから白氷って言ってますけど結局なんなんです?」
金髪に聞く。白氷か、白い髪でそう呼んでいるのであろうか、いや氷はどこから来たのか疑問だが。しかし意外にも嫌いではない。
「ああ失礼、白氷というのは『騎士団』につけられる二つ名みたいなものだよ。白い髪に常に氷のような態度だから白氷とつけられたんだよ。そうだ過去にも君のようなあだ名、白氷と呼ばれた人物が居たそうだからそこから付けられたんじゃないかな」
「誤解されそうですけどね、別に氷を使うわけでもないですし」
「おや?白氷は周りの目を気にするタイプだったとは意外だね。可愛いとこあるんじゃないかい?」
「消しますよ」
「...悪かった」
学園内訓練場に移動をした四人
赤髪は定位置につくなり交戦的な笑みを浮かべる、その様子はまるで捕食対象を見つけたかのようで恐ろし...くはない、私より弱いので。
「さあさあ白氷!お前を初めて見たときずっと戦ってみたかったんだ!!」
赤髪、クロムは地を蹴りアリアに急接近する。彼の能力は炎、そしてさらに魔術を使って炎を出し能力で出した炎と組み合わせ火力を増やしアリアに近づきゼロ距離で炎を放とうとする。
しかしアリアは表情をピクリとも動かさずクロムの全身を氷漬けにした。
勝負は一瞬でついた。いやそもそも勝負にすらなってはいない。
「話になりませんね」
王子と言うのだから多少は強いかと思ったが、これではそこらの一般人となんら変わりないではないか。
「...氷は使えないんじゃなかったのかい?」
「私は使えないとは言ってないですよ。」
何を勘違いしているのやら、複数属性ぐらい当たり前だと言うのに。
「待てその口振りからして氷の属性以外にももう一つ使えると?いやまさか全属性使えるのか?」
「そうですけど...え、全部使えるのが常識じゃないんですか?魔術での戦いは後出しジャンケンって教わったんですけど」
「...あ、やべ」
双眼鏡で全て見ていたエピックはついそんな言葉を出してしまった。完全に忘れてた、この世界の強さの常識教えるの。
まあいいや、このままアリアには天才として目立ってもらおうか。アリアが目立つほど僕が動きやすくなるからね。でもアリアちゃんが俺TEEEEみたいになるのはやっぱりいやだなぁ。
それにしてもあの娘の噂は学園内だけでなく既に国にまで広がった、それは当然の流れというものだろう。この世界が生み出した白い髪はあの娘ぐらいだからね。だから色々知っている奴らはあの娘を手に入れようともしくは始末するだろう。あークソ面倒くせえという気持ちでいっぱいだが、これもあの頭お花畑のお嬢様との約束。面倒をみると決めたら責任を持ってやる。
それに、僕もあの娘のことは好きだからね。
さてと色々動くとしようか。まずは少年に会いに行こうかな。
決闘から1日経過
「何なんだアイツ!!」
そう言って赤髪の彼、クロムは物に当たっていた。しかしそれでも怒りが収まることはなくアリアに負けたあの日からずっと苛ついていた。
それが恐怖を紛らわせるためだと自覚せずに。
「まあまあ落ち着いてクロム兄さん」
彼を宥めたのは三王子の中の一人、末っ子の金髪2もといマルスである。
落ち着いてと言ったマルスだが実は彼も予想外の出来事に動揺していた、彼は基本属性全て使える人なんて歴史上でも一人も居ないと知っていたからだ。どんな大英雄でもそこまでは出来ない、属性は人によって扱えるものが違うはずだ、真っ白な紙に色を付けるとそれはもう取れない、しかし彼女は違う。
博識なマルスはそれゆえにクロム以上に混乱していた。
「...お前の方こそ落ち着いていないだろうマルス、その気持ちは分かるが今はそんな状況じゃない。なにせまた、失踪事件が起こったからな」
「「!!」」
「アレス兄さん、今度はどこのクラスで起こったんだい?」
深刻な表情で聞くマルス、ただでさえ特大の驚きが来たのにまた何かくるのかと、という顔だった。
「最下位のクラスだ」
「...またかい、やはりあのクラスには何かあるね。うん、また起こったということだから僕達も本格的に調査しよう、それで良いね?クロム兄さん」
マルスはクロムがイラつく理由を察していた、それは未知なるものへの恐怖を紛らわせるためだと、そんなクロムを気遣って気分転換をかねて調査に誘ったのである。
「....分かった、行こう。すまなかったな見苦しい姿を見せて」
さっきまでの怒りはどこにいったのか、クロムはとても落ち着いた表情でそう答えた
彼は親しい人間には怒ることは滅多にしない、荒い王子だと言われてはいるが、強がっているだけだと家族は知っている。
「いやいいんだ、白氷に関してはあんなの予想できっこない、いや戦力としては頼もしいけどね」
こうして王子達は調査に身を乗り出す、だが動き出した憎悪はもう止まらない




