表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/41

次元を渡る旅人

「ええと.....これをこうして...」


男は若干うろ覚えな知識で常備していた薬やら道具やらを使って傷を治す。怪我なんてしないが、一応持っておいて良かったと男は思った。目の前の少女は火で無理矢理止血していたので結構苦労した。しかし傷を治しても血が足りないのでまずいことには変わりない。

どうしようか考える。

自分の...却下、他人のを持ってくる...いや無理。

(仕方あるまい)

手で次元の裂け目を作り、彼女の世界の別の時間軸の彼女から拝借をしようとした。

違う彼女には申し訳ないのだが、緊急なので男は自分を正当化する。しかしここで異常発生、感覚を頼りに探ってみたが()()無かったのだ。

「は?」

どういうことだと困惑し、そしてある事に気付く。

彼女の世界には時間軸、世界線といった並行世界が無い。そんなことになる原因は一つしかない、いやそもそもなぜ気配でこの事に気付かなかったのか、今になって不思議でならない。

なんてこった、この娘。とんでもない厄ネタじゃないか。アレと関わりがあるのは剣の中の気配で分かってはいたが、まさかアレの本体と会っていたとは。しかもこの女...うん、やっぱり神性を帯びている。うっわトンズラしてぇ。

だが、関わってしまった以上この子を救えませんでしたなんて依頼主の『騎士』に言ったら.....うん、間違いなくブチギレて戦闘になる。そうなった場合、勝率は三割ってとこか。

負けたら勿論死ぬし、勝っても大損害。

そんなの死ぬ気で頑張るしかないじゃないか!

そんな訳で男は一つの大魔術を使う。


怠惰なる正義(メタトロン)


七つある大魔術の一つである『怠惰なる正義(メタトロン)』、その効果は物体問わず「完全な修復」である。原理としては時間に干渉したもので、習得難度はとてつもなく高い。そして代償として術者の寿命を減らす、しかし男には無限に近い時間があるのでその代価を踏み倒すことが出来る。

(ククク、まさにチートってやつよな。まあ、あんまり使ってねえけど)

そんな事を思っている間に、アリアの腕がニョキニョキと治っていく。

(ニョキニョキって擬音はどうなんだろうな。絵面的にそう表現するしかないけど)

一応は女の子を治しているんだからなにか他に良い表現は無いものか。男はアリアが目覚めるまでそんな冗談混じりの事を思いながら時間を潰した。



目を開き、意識が覚醒する。そして戦闘をしていた事を思い出しバッと飛び起きた。急いで周りの状況を確認する。ひとまずはロマリスはいない事に安堵した。だが近くには謎の男が座って本を読んでいたので咄嗟に身構える。

「あっ起きたのか。おはよう。」

「なんでそんな馴れ馴れしいんですか」

十年友人でしたよねみたいなフランクさで話す怪しい男。男の服装はアリアは実際に見たことは無いが知識として知っている。学生帽に学生服というやつだ。エピックが暇つぶしとしてくれた本に書いてあった。目深に被っているから顔つきはよくわからないが学生なのだろうか。

「ま、そんな警戒しないでよ。俺はアンタの関係者から依頼されて来てんだから」

「関係者?エピックさんが?」

「いんや、それとは別口だな。アンタの味方はまあまあいるってことだ、あと敵もな。俺には関係無いことだが。」

男は帽子を左右に動かし位置を調整する。その際に一瞬顔が見えたが、やはりおよそ大人とは言えない幼い顔をしていた。

「なんだ、俺の顔が気になるか」

「いえ、なんでもないです。そういえば私腕を切断されていたはずですが...アナタが治したんですか?」

男はフッと鼻で笑い、そして抑揚のない無機質な声で言う。

「礼ならいらんぞ、俺は依頼をきっちりと遂行しただけだからな。じゃ、さっさと元の場所に送り返すぞ」

アリアは慌ててそれを止める。愛想がまるで無いアリアでも腕の修復ほどの事をしてくれたのだから感謝の念ぐらいは芽生える。せめて名前を聞きたい。

「そういえば自己紹介してなかったな。でもこれ必要か?まあ良いけどな。...俺の名はイチキ、傭兵兼旅人。様々な次元を歩き渡り、天国の扉を開く者。これでいいか?」

「はい。ありがとうございます。」

アリアも名乗ろうとするもストップをかけられる。必要以上の馴れ合いはしないとのことだ。そしてイチキは空間に裂け目をつくる。

「ここをくぐれば元の場所に帰れるぞ。だがアンタ、流刑地でロマリスと戦おうとしてんだろ。だがそのまま行っても死ぬのがオチだ。これをやるよ、死なれても目覚めが悪いってもんだからな。」

ポイッと投げ渡されたのは緑の宝石が埋め込まれた金の指輪だった。

「それをつけときゃフルで力を使えるようになる、あとは自力で頑張るんだな」

アリアは再び感謝しようとするがいつの間にか後ろに回ったイチキに軽く背中を押されて裂け目に入らされた。押されている最中、イチキの声が聞こえた。

「そっちのオレと会うことがあったら、俺のことは黙っといてくれ。じゃ、幸運を祈る(グットラック)星の娘」

金の指輪

装着した者の周りに空間侵食を起こす効果。既存の効果がある空間に「虚空空間」の空間侵食を起こすことでその効果を打ち消せる。

まあつまり領域展開と領域展開をぶつかり合わせて必中効果を無くす的なやつである。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ