流刑地2 邂逅
屋敷はとても薄暗く不気味だ、しかも広いので音が反響しとても響く。
外からの光を頼りにせざるおえないので中々に進みにくい。
とそんな時
「ーー♪」
音楽が聞こえ始めた、奴が近くにいるのだろう。しかしもう外に出ることは叶わない、何故ならアリアは屋敷の奥の方へと進んで行ってしまっている、そして広すぎて道に迷ってしまった。おまけに音楽が聞こえた方向は先程通って道の先だ、つまり玄関付近に奴はいることになる。
アリアは急いで隠れれる場所を探す。そしてふと思った、どうして自分は逃げようとしているのか
腰には剣が鞘に収まっている、これで倒すことは出来ないのか。
(隠れる時間は終わり)
アリアは廊下に立ち、剣を抜き身にして構える。その間ずっと音楽が聞こえるのだが、途端に音楽が消えた
奴は遠くに行った、ということだろうか
「ー♪」
すぐ近くの後ろから音楽が聞こえ、振り向くと蓄音機頭が斧を振り上げてアリアに狙いをつけていた
だがアリアも無抵抗ではない、剣で斧を防いだが蓄音機頭の想像以上の力で吹き飛ばされてしまう。しかし倒せない事は無いはず、近くにあった瓦礫などを投げてなんとか隙を作り出す。そして剣で斬りつけるが...透けてしまい、逆にこちらが隙を晒すことになってしまった。
(不味い)
避けきれない...!?
「ー♪=♪?」
ドンッ!と音がしたと思ったら音楽が歪み始めて蓄音機頭の体がぐらつきだした。そしてアリアの後ろからスーツを着た散弾銃を持った男がアリアに声をかける。
「こっちだ!」
スーツの男はアリアの腕を引っ張って逃げる、そして蓄音機頭が見えなくなると近くの部屋に入り鍵をかける。
手慣れた手つきなのでおそらくこういう事を何度か繰り返しているとわかる。
「...礼は、言っておきます」
「おいおい、随分と上から目線じゃないか。まあ良い。俺は鍵山ってもんだ、そちらは?」
名前を聞かれる。アリアは少し躊躇う、果たして初対面の人物に自分の情報を渡していいのだろうか。とも思ったが命の恩人であるし名前だけなのでまあ良いか。
「...アリアです」
アリアが名乗ると鍵山は一瞬納得したが、またすぐに困惑する表情を浮かべる
「ここは日本だぜ?外国人とはいえそんな格好するなんて、ハッ!中々、イカしてるじゃないか」
鍵山は小馬鹿にするように両手を広げた。アリアの格好は鍵山からすればコスプレしている人にしか見えなかった、それにしてはやけにクオリティが高い、と考えながらズレた眼鏡をかけなおす。
「は?にほん?...あぁ貴方も異世界から来たと言うことですか」
アリアは正影の事を思い浮かべる、彼の言っていた日本語という単語からおそらく同郷なのだろう。格好が全く違うので本当に同郷なのかは疑わしいが...
鍵山は困惑していた、なんか勝手に一人で納得しているアリアに。いやそれは良いとして、アリアから聞こえた単語の方が注目すべきだ。
『異世界』、いつもの鍵山ならその言葉を冗談だと笑い飛ばしていただろう、しかしこの不可解な場所、現実とは思えない造形をしている化け物ども。
これらを鑑みるとその話が現実味を帯びる。
「異世界っていうと...あの異世界?」
「何が言いたいのですか」
鍵山は混乱しながらも言葉を絞り出す。
「あー、つまりだな。俺は異世界に飛ばされちまった...ってことか?」
問いかける鍵山の目は、頼む!違うって言ってくれ!、と訴えていたがここで嘘をついても面倒なことになりそうだし、何よりこの男を調子に乗らせるのは癪なので無慈悲に正直に言う。
「そういうことになりますね」
「うっそマジかよ!?クビ確定だぁーー!!うわぁぁぁ!」
悲痛な叫びが部屋の中に木霊する。四つん這いになって叫ぶ、ひたすら泣き叫ぶ。そんな事をしていたら化け物は来てしまう、だからアリアは仕方なく剣を使い鍵山を気絶させる。正義の鉄槌!
「ーー♪ーー♪」
案の定、奴が来た。音を消して気配を消す、音楽は扉の前まで迫ってきて...通り過ぎた。
だが警戒は解かない、蓄音機頭は瞬間移動が出来るのだから。
「...」
静寂が流れる、後ろに気配はせずどうやら本当に行ったらしい。
安心してどっと疲れが来る、鍵山が目覚めるのを待つついでにアリアは休憩をすることにした。




