表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/41

少年と英雄譚

「というのが顛末です」


語り終えたエピックはいつの間にか持っていた紅茶を音を立てて飲む。


「いや、なんでそんな大事な事を今まで言わなかったんですか!?」


先程の話は約二年前の話。いつでも話せるタイミングはあったはず。


「いやァ、それなんだけど。僕、その時分裂してたんだけど」

「サラッと知らない能力言わないでくださいよ」

「あれ言ってなかったっけ?まあいいや「良くないですよ!」、それでこの情報を持っていた個体がステラの馬鹿に目をつけられてしまってね。振り切るのに二年ぐらい掛かった!メンゴ!☆」


顔が見えていれば片目を閉じて舌ペロしているであろう場面が頭によぎり、騎士はちょっとイラッとした。とは言っても素顔を知っている身からすれば、これも愛嬌というやつだろう。...余計イラッとしてきたな。


「はぁ、まあこの件はもういいです。それよりも、良いんですか?」

「ん?何が?」

「アナタの愛娘ですよ。連れて行かれましたけど。下手したら死にますよ?」


それはこの人も十分わかっているはずだ。かの地の処刑人(エグゼキューショナー)は概念的な攻撃力だけなら世界最強だ。

私も戦いはそれなりに...いやかなり強いのだが、火力に関しては奴に劣る。もっとも、負けるつもりは毛頭ないのだが


「まー大丈夫でしょ。」

「軽ッ」

「いやいや、考えてみなよ。あの娘は主人公補正持ってんだぜ?死ぬことなんか、同じ主人公か権能持ちぐらいでしょ」

「そうですけど、心配だなあ」

「珍しいね、君がそんなに気に掛けるなんて」


騎士こと少年は世間では寡黙で冷徹で通っているのだが実情は普通の青年といったもの。しかし本質はかなりの固さなので、やっぱり冷徹なことには変わりがない。

そんな男がここまで心配するなんて希少も希少。


「それはあの娘が......」

「待った、気まずいからその話題は禁止カードで」


止めたのはいいが間が空いてしまった。お互いがその話を避けるために頭の中で何か話題を探す。困った事にそんな時こそ思いつかない雑談のネタ。

更に気まずくなる二人。

とそんな時に助け舟、無線から声がした。


『あー、こちら情報屋。例の《忘却》が動いた。今は古都プロトに居るぜ』

「街の様子は?」


助かったと言わんばかりにエピックはすぐにその情報に食いつく。騎士も何も言わずに黙ってその報告を聞いている。


『まだ初期段階だが、既に世界忘却(ワールドエレース)は始まっている』

「了解、対処する。」

『へへ、報酬は弾んでもらうぜ』


無線を切り、すぐさまプロトに向かう準備をする。アリアの事は心配だがこちらの仕事もとても重要な案件なのでそちらを優先する。

だがアリアを放置するわけにもいかない。

なので癪ではあるが...


「少年、任せたよ」


強さに関しては信頼している少年に任せることとする。


「...そう睨まないでくださいって。変な事はしませんよ」

「いやぁ信用ならんね」

「アンタは何年師匠していると思っているんですか?弟子ぐらい信用してください」


む、それは確かにそうだ。

全く、少年も言うようになったよ。


「わかったよ。じゃ、娘を頼んだよ」


エピックはそこらにあった空き家の扉を開く。すると不思議なことに別の景色が扉の奥に見えた。エピックは中に入り、そして閉じる。

そこに残されたのは少年ただ一人だけ。

彼は一度深呼吸をする、それはスイッチを切り替える合図だ。自身の仕事を完遂させるべく、彼は普段の無口に戻るのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ