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時間の矢 重なり

思考が一瞬フリーズする。それもそうだろう、死んだ人間から声を掛けられたのだから。目の前には一木と中宮の姿、首は繋がっており生きている。

そのことが、何よりも嬉しかった。


「おい?お前ほんとにどうした?」


中宮から困惑の声が掛かる、一木も壮吾の様子に戸惑っていた。


「あぁ、そのすまんけど。トイレ...行っても良いかな?」


トイレという単語を聞いた二人は心配の表情から一転して笑みを浮かべた。


「なんだぁ、我慢してただけかよ。はよ行ってこい」

「全く、君はいつもオロオロと優柔不断だね」


店を出て、近くの路地に入る。ここは暗いから泣くにはぴったりだ。


「うっ......ぐぅ...ぅ...」


我慢していた大粒の涙が溢れ落ちる。死ぬ恐怖を味わった、友人を失う喪失感を味わった。普通の学生がそれを一度に味わえばこうもなる。

だがいつまでもこうしているわけにもいかない、何か対策方法を考えないと。だがその前に今起こった現象は何なのか分析する必要がある。

食事をする前に戻ってきたので考えられるのは、死に戻り、巻き戻し、時間軸移動だ。

この中で有力なのは死に戻りだろうか。多分、僕は死んだだろうから。でも痛みは無かったので本当に死んだのかは少し怪しい。

そして、このやり直せる能力は無限に使える訳では無いと思う。何故なら僕の中にあった何かがごっそりと抜けていく感覚がしたからだ。これは魔力なのだろうか?きっとそうだろう

まあそれは重要じゃない。問題は何回使えるかだ、正確に消費量がわかるわけではないので憶測だが、残りは四回ほどだろうか。しかも発動条件がわからないときた。

...今はとりあえず、二人を避難させよう。城内ならアイツも手出しは難しいはずだから。能力の実験は安全な日々を取り戻してからだ。

壮吾は店の扉を開けて、二人を呼ぼうとした


「あ」


目の前にはナイフを持った紫のアイツ、ナイフは血塗れで友達二人は喉を貫かれて死んでいた。抵抗した様子がないので即死だろう。

店には人が居たはずなのだが誰も居なくなっていた。だからこの事に気づけなかった。


「やあ英雄君」

「なんで...?」


出てきたのは純粋な疑問。能力の詳細はわからないが、少なくとも時間は遡っているはず。なのにコイツは今ここにいる。

壮吾は混乱して思考が上手く回せない。

お前がいるのは、まだ後のはずだろ!?なんだ、何かが狂っている。こんなこと、起こるはずが無いのに!?


「ガハッ!」


紫の男は持っていたナイフを投げて、壮吾の腹に刺した。深く刺さっているのでもう助からないだろう。膝から倒れ込む、そして紫を恨みがましく見上げる。

その様子を気にした素振りも無い紫はもう一本持っていたナイフを弄りながら近づいてくる。


「お前は...一体何なんだ...!?」

「君が知る必要は無いよ。あぁでも目的はちょっと教えてあげるよ。君たちは創造神によって...まあ正確には眷属だけど、呼び出されてしまった。よって君達転移者はステ...創造神の手先と同じ、だから殺す。罪が無くてもね」

「なんだよそれ...」


クソッ!意味が分からない!そんなのおかしいだろ、ただ呼び出されたから手先?だから殺すなんて、理不尽極まりない!どうして僕がこんな苦しまなきゃいけないんだよ...僕が何をしたっていうんだよ。クソッタレな世界が!

...でも嘆いている場合じゃない。生きるために、これからどうするのか。どうしたらこの状況を打開出来る!?

創造神の手先だから殺す...だったらそうじゃなくなれば?今いる陣営を変えることができれば...

でも問題はどの立場に鞍替えするか、だ。そもそもとして僕はどんな組織があって何があるのかを全く知らない。

情報が必要だ。


「じゃ殺すね、苦しませるのも忍びない」


銃を出し手慣れた手つきで壮吾の頭を狙う。その狙いは正確で、外す確率はゼロである。すなわち絶対の死である。


()()()()()()()()


こいつ!僕の能力をわかっているのか!?だとすれば、戦っても無駄だし逃げることも出来ない。

だったら、やはり僕が出来ることは一つしかない。

壮吾は今にも死にそうという状況で、必死に頭を回転させる。

まずは次の時間では、一旦友達二人には死んでもらう。死に戻り(仮称)はあと二回使えるはずなので、無情かもしれないが一度は見殺しにしよう。そして僕は城の中に逃げる。...分かっている、見殺しにすれば僕はその選択肢を常に頭に残り続ける。それは最低で軽蔑すべき思考だ。まともな精神は歪み、僕はいつか化物になるかもしれない。でも今だけは倫理を捨て、合理に考える。そうしないとこの盤面には勝てない。

ともかく、僕がやるべきことは城の図書室に行って情報を集める。創造神の事を、もしかしたら紫の事について記されているかもしれないから。

次に教団の人に助けを求めてみる、けどこれは無意味だろう。どうあがいてもアレに勝てる未来が見えない。

そして三回目も殺されよう。その次の時間が勝負だ。

弾丸が発射される。覚悟は出来たがやっぱり怖いので目を瞑る。

次はもっと時間を遡れるように願って。

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