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こんにちは世界、さようなら英雄

アイヨョ!パスタ一丁!

「次どこいくよ?」

「えーそうだなぁ。あ、見てよ、あそこに店がある」

「お?丁度腹減ってたよ、早く行くぞ!」


金に関しては国から貰ったので問題は無い。言語の方は読めはしないが、これも自動的に言葉を日本語に変換してくれる魔術をかけてもらったので特に問題は無い。なんでも神からの賜り物らしい、神様って便利だね。おっと不敬かな?


「らっしゃい!三人で?」

「はい、三人で」


そういえば言葉も伝わるはずがないのだけど、これも神様の加護なのだろうか。まあ、深く考える必要は無いか。異世界というのはそういうものだろう。

料理名が書いてある紙を取り、何を頼むか頭を悩ませる。紙は高級品、というのが異世界物ではテンプレだがこの世界はそうでもないらしく、皆気軽に紙を使っていた。


「おいマジかよ!『弱獣のステーキ』『ワイバーンの尻尾焼き』『大蠍の眼』、いかにも異世界って感じだなあ!」


友人の一人が興奮気味に言った。彼の名前は一木、もう一人の友人は中宮。二人は中学時代からの付き合いで僕は親友だと思っている。

二人共僕と同種のオタクで、一木に関しては趣味が僕と同じようなものなので特に仲が良いと勝手に思っている。


「大蠍の眼ってやつを食ってみれば?」

「馬鹿、流石に勇気ないわぁー」

「頼んで見ろって(笑)」


こんな風に三人で冗談を言い合って、最終的には間をとって尻尾焼きを頼む事にした。

味の方は店に出るだけあって結構美味かった、でももう少し塩味が欲しいなぁ

腹を満たして店を出る、お金は銅貨や銀貨みたいなわかりやすい仕組みだったのですぐに慣れることが出来た、助かるね。

店を出て街を歩く、そして異変に気付く。

店に入るまでは人が沢山居たのに、今は一人も居ない。


「なんか...雰囲気やばくね...?」


三人が静寂に気圧されていると、いつの間にか正面に人が立っていた。いや、あれを人と言っていいのだろうか?紫の外套を着ていて顔や体は闇に覆われていて姿を見ることが出来ない。


「お初にお目にかかります」

「は、はぁ。どうも?」


急に挨拶をされて困惑しながらも挨拶しかえす。

声は三十代ぐらいの()()()()だった。身長は170ほどだろうか、しかしそれに見合わない存在感があった。


「じゃあ...」


そういうと、紫の男は懐から何かを取り出すと...


「死ね」


男がそう言った直後、大きな音が響き。隣に居た一木と中宮の首が跡形もなく吹き飛んでいた。


「は?」


突然の事すぎて放心してしまう、そして次第に感情が追いついてきて、恐怖が生まれてきた。尻込みをし涙を浮かべる。神に力を与えられようと、所詮はただの高校生。目の前の惨状に対して何も出来ない。


「な、なんで...どうして、こ...んな事を...!?」


近づいてくる紫に向かって思わず問いかける。恐ろしくてたまらないが、これから来る死に納得を求めてしまう。


「君達に恨みは無いよ?でも仕事の邪魔になるから、全員死んでもらうよ。あ、ちなみに君で最後ね」


どうやら今残っている転移者は高垣壮吾唯一人のようで、物語の主人公のような冒険を始めるはずだった皆はもうどこにも居ない。


「心配は必要ない。痛みは一瞬さ」


そして銃が、壮吾の頭に標準を合わせ...


「ごめんね。さようなら、英雄」


銃弾が迫りくる。きっとコレに当たったら自分も二人と同じように死ぬのだろう。これは確定事項で覆すことの出来ない物。諦めるしかない

...いやだ

そんな理不尽があってたまるか。

僕はまだ諦めない、最後の最後まで抗ってみせる。こんな運命なんてクソ喰らえ、だ。

だがそれでも主人公のような展開は無い。怒りで力が覚醒するわけでも無いし、ヒロインがどうにかしてくれる展開も無い。でもこれだけは、生きたいという願いは変わらず抱き続ける。無意味であっても、それでも決意を抱くのだ。

これからやってくる痛みを覚悟して、目を瞑る。

そして...


「おい?壮吾?何ボケっとしてんだよ!」


気づけば料理を注文する前に戻っていた。

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