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英雄が見た星空

これは、私が英雄と呼ばれるまでの話。とはいえ全部は書ききれないので友との出会いの部分だけ日記に書いておこうと思う。

出会いは私が新人冒険者の時だった



「よお落ちこぼれ!」

酒を飲んでいる俺を毎日のように馬鹿にする発言をしているのは俺と同期の冒険者だ、別に昔からの知り合いという訳ではなく、俺が「鎖を操る」という能力だったため目をつけられてしまったのである。

「どうも」

特に反論はしない。自分でもこれは弱い能力だとわかっているから。俺は魔術の才能も無ければ剣の技術も人並み、凡才というやつだろう

なんで新人にもかかわらず、早々に自分に期待することをやめてしまった。

「おいおい、そんな奴に構うなって。可哀想だろ?」

同期の仲間が言った。こいつも俺の事を馬鹿にしているのだろう、ニタニタと笑いながら言っていた

...はぁ、情けない。自分が嫌になってくる、毎日毎日こんな調子だからもういっそのこと鳥になってどこか遠くに行ってしまいたい。

冒険者協会の建物を出て街を歩く。俺は危険度や難易度の高い依頼は受けない、失敗するとわかっているから。だから薬草取りや弱い魔物の討伐依頼なんかを受けてなんとか暮らしている、でもやっぱり何かでっかいことがしたい。目立ちたい訳では無い、ただ達成感を感じたい。こんな風に腐ったままは嫌なんだ

駄目だな、今日は一層自己嫌悪が多い。だから俺は街のはずれ、静かな場所に行き、落ち着こうとした

「...?」

なんだこの匂い、火?いや少し違うような?煙臭くも感じる

火事にだったらいけないので急いで様子を見に行く、匂いのもとは火ではなく白い棒状の物から出ていた

「何だそれは」

それを持っていた人物に話かける。そいつは顔が見えず紫が特徴的だった



どうやら棒状の物は煙草というものらしい、「一本吸ってみる?」と言われたので試しに吸ってみるがむせて咳き込んでしまった、すると俺に吸わせたこいつはゲラゲラと笑い転げた。でも不思議と悪い気分ではない。エピック、そう名乗った人物は話してみると中々に愉快だった

二人でどうでもいいような話をしていて駄弁る、話していてこんなに楽しいと思えたのは初めてだった、だから思わず愚痴を吐く。毎日のように馬鹿にされていること、自分が弱いこと、これからに希望が持てないことを。初対面の奴に言うことじゃないが元々気分転換で来ているのだから許して欲しい

「なるほど、自分が嫌になると」

エピックは少し考えた仕草をしたあとに提案をする

「じゃあ夜、ちょっと付き合ってよ」

訝しむ、がどうせやることもないので了承する

夜になり、街を出る。エピックと合流してそのままついて行く

どこに行くのかは教えてくれなかった、あれもしかして騙されている俺?

「騙してないよ。よし、ここらでいいか」

連れて来られたのは近くの草原だ、何もないので見通しが良い。エピックはどこからともなく木の椅子を出して座るように言ってきた

困惑しながらも言われたとおりに座る

「ほらほら、いつまでも下を向いてないで上を見なよ」

下を向いていた俺は上を見る。すると見えてきたのはどこまでも広がる澄んだ空、輝き続ける星々、それらが瞳から脳へと入り込んできて、生まれた感情が『美しい』だった

「......」

思わず魅入ってしまう。この時間この瞬間はただ純粋な少年のように真っ白だった。

俺は下を見すぎていた、自分を世界を何もかも見落としていた。世界はこんなにも綺麗なのに俺は、汚いところだけを見て自らを可哀想と慰めていたんだ。

「あぁ本当に、俺は大馬鹿者だよな」

隣で煙草を吸っていたエピックはその言葉に反応する

「あまり自分を卑下することはない、生きていればそんな事は多々ある。これも人生ってね」

人生か、そうだな。綺麗な部分も、汚い部分も、全部ひっくるめて人生、というものか



これが私と友との出会い。停滞していた私の人生は、あの星空から始まったのだ。

日記はこれで終いとしよう、これから映像を撮るのでね。

エピックから貰ったこの機械は実に不思議な物だ、過去の出来事を映し出すことが出来るのだから

内容は、そうだな。友に罪は無く、私が望んだことである。そして私を慕う民たちに対する謝罪にしよう。

ああ、本当に友には感謝してもしきれない。私にあの空を見せてくれたのだから

保存してなかったから1500字無くなった...

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