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殺人鬼(仮称)VS修道女

「あっちだ!恐らく教会方面に向かうつもりだ!」

「急いで住民を避難させろ!」

衛兵が増え街は大混乱だ、なにせ殺人鬼が街中を逃げているものだから当然だろう。

そんな中三人はそこら辺にあったベンチに腰掛けていた、否、正影は立っていた。

「嬢ちゃん、嬢ちゃん!しっかりせい!」

「...」

「駄目だ完全に呆けておる」

その隣でフレドが何かをブツブツと呟いていた、小さすぎて聞こえづらいが「何故?」という部分は聞き取れた

「こっちも駄目か、おいおいおい動けるのは儂だけかよ」

二人共あの変な紫を見てからおかしくなった、何か信じられない物を見た、という反応だ。

(あの紫もこちらを見て動揺していた...知り合い、ということだろうな)

うーむとこれからどうするか正影は大いに悩む羽目になった。一人で動こうにもこの混乱の中で二人を置いていくわけにもいかない。

待機するしかない、しかし...

「暇じゃな」

不謹慎とは思うが暇だからこの事件に首を突っ込んだのに、待機するなんて本末転倒である。

「...............ちょっとだけじゃから、うむ...ちょっとじゃ」

紫と出逢った場所は広場からそう遠くない、正影は事件現場に向かうことにした。



現場についた正影、死体は衛兵により回収されたようで残っているのは血痕だけだ。

モゾ、何かが蠢いた。

「?なんじゃあ?妙な気配を感じるのう」

振り返ってみる、しかし何もなかった

「はて?」

辺りを見渡してみる、しかし何もなかった

何かが動いている音が聞こえる

「???」

しかし何もなかった

「なんなんじゃ!?」

正影は振り返り、戻ろうとした

ジャラ

上から鎖が垂れ下がっていた、先程まで無かったはずのものが急に出てきたら誰だって驚くだろう。それは正影も例外ではなく

「うおぉぉぉ!?!?」

年甲斐にもなく盛大に驚いてしまった正影。生身なら確実に腰が死んでいただろう。

鎖はジャラジャラと音を鳴らしながら揺れている、そして地面に落ちる。

「な、なんじゃお主?生き物...ではないか。」

鎖はニョキニョキと何処かに向かおうとしている、途中こちらを振り返っているのでどこかに連れて行きたいらしい

「なんじゃどっか連れて行きたいのか、ふむ、少し待ってくれ。仲間を連れてくる」

鎖は蛇が蜷局を巻くように止まった、待つということだろう

「...意外に可愛いヤツよな」

というか言葉を理解できるのか、なんて思いながら仲間を連れて来るのだった。



「ついに追い詰めたぞ!殺人鬼め!」

エピックは街中を逃げ回った末行き止まりに当たってしまい衛兵達に詰められていた。

ジリジリと壁に迫られていくエピック、こうなってしまっては仕方がない、切り札を出すことにした。本当は使いたくなかったが罪無き人を殺す訳にもいかない。

だからエピックは手を地面に置き頭をめり込むぐらい下げて

「すいませんでしたぁぁ!!!」

と見事な土下座をかました。

(先祖代々秘伝・DOGEZAだ!)

「は?え?えぇ?」

困惑する衛兵たち、その瞬間を待っていたエピックは「バカめ!」と叫んで勢い良くジャンプして下に何かを投げる、すると煙幕が立ち上り衛兵達は何も見えなくなる。

煙幕が消えるとエピックはもうどこにも居なかった。


「ぜぇぜぇ、ここまでくれば大丈夫でしょ」

逃げた先は街の端っこにある協会の近くの寂れた墓地である、普段なら誰も来ないこの場所は逃亡者には好都合だろう。

(確かこのまま進めば街を出られるはず)

一旦街を出よう。この事件はあの娘達によって解決してくれるだろう、そういうふうに出来ているから。それにしても、少し目立ちすぎたな。しばらくはアリアから距離を取らねば

エピックは再び歩みを進めようとした。

「あら、わたくしと遊んでくださらないのですか?」

立ち塞がるは盲目のシスターであった。右手に持つは長柄の斧だ、特徴的な得物で全身が黒くさらに、柄と刃との接続部分に何かしらに使うであろう機関があった。

「おいおいおい、シスターがそんな物騒なもん使っていのかなぁ?というかそれ龍武器(ドラゴンウェポン)でしょ?黒いし、創造神に仕えるはずのシスターがそれ使うのは背教行為何じゃないのぉ?」

ビシッと指を斧に向ける、シスターはフフッと笑い答える。

「毒をもって毒を制す、というでしょう?」

「おっと毒扱いなんだね、破滅龍くん泣いちゃう」

軽口を言いながらも懐に手を伸ばしいつでも武器を取り出す準備をする。

「さて、それでは語ろうではありませんか、天から()()くださる主を楽しませれるほど苛烈に残酷に無惨に美しく」

「.....何を語るのかな?あ、僕分かった!きっとアリアちゃんについてだね!」

「緊張感がないですね貴方、なんだか絆されそうです」

「おっ?ほんとぉ?なら見逃して...」

「残念ながら、仕事ですので」

ニッコリと微笑むシスター、その笑顔は美しくそして恐ろしい。

シスターはエピックに近づき斧を振り上げて頭から真っ二つにしようとする、しかしドンッと音が鳴ってシスターは横に避ける、二人の距離が離れた。

「危ないですね」

「なんで至近距離で避けられるのかなぁ、しかも君目が見えないんでしょ?音が鳴ってから避けるって...どういう身体能力してるんだろうね」

などと言いつつも実は避ける事は予想していたエピックが握っていたのは、魔術や剣などが主流のこの世界では存在しないはずの銃だった。

オートマチック式のハンドガンで銃身が長く威力が高く改造されている、老紳士を葬ったのもこれである。

エピックは二発三発とシスターに銃を撃つ、その全てを悉く避けられまた斧で弾かれる。段々と離れた距離を詰め横に斬るがローリングで躱される。

そして絶えず銃弾を撃ちまた距離を離す。

奇妙なことにエピックはリロードをしない、しなくても何故か撃ててしまう。シスターは妙に思いつつもわからないことは考えても仕方ないということで割り切って気にしない。

「君...墓壊しながら戦っているけど良いの?それでもシスターかよ!」

「あら?気にする必要ありますそれ?何故わたくしがそんな些末なことを気にする必要が?」

「あっはい...そうっすか」

二人の戦いに介入の余地は無い。

どちらかが死ぬまで戦い続けるのだ。

老紳士も全盛期なら避けれたけれど老いには勝てなかったよ。

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