アリア
活気のある城下町、そこに見るからに不機嫌な少女がいた。その少女の名はアリアといい、注目を集めていた。彼女はこの世界でも類を見ないほどの美少女である。さらに彼女の注目を集めている要因としては髪の色である。基本的にはこの世界の人々は白髪と黒髪は生まれてこない、灰色やそれに近しい色は少々居るが、やはり完全な白と黒は伝説上でしか確認されていない。伝説上のものならば注目されるのは必然であると言えよう。
ひとまず彼女、アリアは人々の注目は気にも止めずひたすら不機嫌にとある場所を目指して城下町の北端に存在する建物を目指して歩いていた。
(学園なんて行きたくない!)
私はそう思いながら道を歩いていた。はぁ...仕方ないこととはいえ私がこんな面倒くさいことに首を突っ込まなければならないなんて。
愚痴を言わないとやってられない。頭の中でだけれども
「着いた」
今私の前にある学園は他国でも評判が良い所だ、そういった場所だから貴族とか王族とかが多い。いや、貴族達がいるから評判が良い、だろう。
はぁ〜、聞いたところによれば貴族でもない平民は見下され嫌がらせを受け精神を病んで辞めてしまうことがほとんどらしい、私は別に病んでしまうことなんてないんだけれども、それでも嫌がらせを受けるのはめんどくさいなぁ。
しかしここは実力主義でもあるらしいから私が弱くないと見せつければその限りでは無いかもしれない、今はあまり力が出せない状況だけど、もしそうならば一応頑張ってみようと思う。
学園に入り広い場所に案内される。新入生達が集まる所のようだ、耳を傾けてみるとそこらじゅうから私に対する話が聞こえる。
皆私が白髪であることに驚いているみたい。やっぱりこの髪は目立つ、だが染めるつもりは無い。
ただ目立つだけで障害は無い、そしてこの髪を綺麗と言ってくれた人がいるからだ。そんな事を考えているうちにやがて一人の女性が入ってきた。
「はじめまして新入生の皆さん、私はここの学園長をやって...え?」
学園長と名乗った女は私を見るなり固まった。私?なにかした覚えは無いのだけれど...
「んんっ!失礼しました、改めてまして私の名はエミーリアと申します」
学園長は話を続ける、内容は挨拶とかこの学園の方針などの至極どうでもいい話だ。
......なんだかさっきからエミーリアと名乗った女性からチラチラと見られている気がする。
いくら私が白い髪だからって驚きすぎなんじゃないのだろうか、いやこの世界での白髪というのは本当に希少らしいからこんなに見られても仕方ないの...かな?
「話は以上です、あとは教師の指示に従ってください」
話が終わった、生徒達は教師について行けば良さそうだ。それにしても新入生だからと言って浮かれている生徒はあまり見かけなかった、皆真剣な顔で学園長の話を聞いていたし、私のように全く関係ない事を考えている様子もなかった。
なんて考えていると学園長がこちらを向いた。何か言いたそうな顔をして...やめて、また何か言おうとしてやめた。
何をそんなに迷っているのだろうか、少し困惑。
そして遂に考えが決まったようで、こちらを向きながら言葉を放った。
「そこの白髪の方、後で私の部屋まで来てください。案内の後で構いませんので」
学園長に呼び出されてしまった。
私は今、学園内の案内を受けているのだが、呼び出しのせいか私を見る目がさっきよりも激しい、やめて欲しいのが、私が何をやっても無駄だろう。
「ではここが貴女の部屋となります」
教師に案内されたのは一人部屋である。
普通、生徒は二人か三人で部屋を共有するらしいのだが私だけ一人だった。
ありがたいことだけど、何故私を特別扱いするのだろうか?私はその確認もかねて学園長室に向かうのだった






