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その時代の英雄

時は少し遡り

アリア達を観察中の二人、日常的な光景で退屈していたが...

「師匠」

何かに気付いた様子の騎士はとある方角を見つめる。

「分かっているよ、ということで君に任せた!」

もし顔が見えていたらジトーっとした顔をしているであろう騎士。

「サボる気ですね?」

一瞬その言葉に固まったエピックだがすぐにやれやれといった手振りをした。

「人聞きが悪いなぁ、僕はとても重要な仕事をしているんだ、雑用は弟子である君の仕事おっと雑用より動いてないなんて反論は受け付けないぞいいかい世界に祝福されし者達(主人公)の行動を観察しておかないと世界にどんな影響があるかある程度の予想がつかなくなりこれからの戦いに余計な変数を頭に残しておかなくなって結果負けるなんてことがあり得るかもしれないからこの観察する仕事はある意味で最重要なことだと言えるはずだ、理解した?」

「あーはいはい、結局は心配なんすねアリアちゃんが」

「気安くちゃん付けするんじゃあねぇ!!!」

急に叫ばれたので騎士は手を耳に置く、耳は兜によって出ていないのでただのポーズに過ぎないが。

「わかりましたから耳元で叫ばないでください」

騎士は任された仕事を果たす為その場を離れようとし、とその前に聞きたいことがあった。

「あっ、そういえば師匠。祝福の強度は、どれくらいなんすか?」

エピックはクククと笑ってこう言った。

「最高レベルさ」




「おやおや?強い気配...ああ、君か」

街から離れた草原、天使のような羽の生えた『白い髪』の男と騎士が相対していた。

「......」

「全く君は、無口は損だぜ?」

「御託はいい」

そう言って背中に背負っていた剣を抜く、その剣は形はどこにでもあるような普通のものだが剣身が黒く明らかに普通な物ではないとわかる。

「今回は斧を持ってきてなかったのか、それは残念だなあ」

白髪の男もどこからか槍を持ち出す。こちらは騎士とは対照的に豪華な装飾が施されていた、この男は相当身分が高いことを示しているのだろうか。

「じゃあ、はじめようか」

双方構えて名乗る。

「騎士団第一席『騎士』」

「第四天将マルシアス」

二人の騎士の決闘が始まった。



おや戦いが始まったようだ、双眼鏡を遠くの草原へと向ける。すると派手に大地をぶっ壊しながら戦闘をしている二人がかすかに見えた、だがお互いあまり目立たないようにあれでも手加減をしているのであろう。

(まあ『今』の僕では何も見えんがね)

もう話すことは無いので視線をアリアに戻す、がそれは叶わなかった。

何故なら鎖が腕に巻き付いてきてそのまま屋根から路地に落とされてしまったからだ。

「ぐえー」

「なんとも間抜けな声だな、我が友よ」

コツコツと靴を鳴らしながら影から現れたのは高齢の老人だった。

帽子を被り、纏っている橙色のマントはボロボロで色褪せていた。しかし下には上等な生地を使った服を着ていた。男の佇まいは綺麗なものだった、背筋は伸び細かい所作から老紳士という印象を受ける。

「やあ我が親愛なるご友人、僕になんの用かな?」

二人は面識があるようでとてもフレンドリーな空気が漂う。

老紳士はフッと微笑み答える。

「いや何、大したことはないよ。ただ君に死んでもらうだけさ」

老紳士は瞬時に腰に巻いていたナイフを投げた、しかしエピックはそれを予想していたのか懐からナイフを取り出し弾く。

老紳士は驚くこともなく左手に巻いていた鎖をまるで手足のように動かし攻撃する、しかもここは狭い路地だ、避けるのは困難しかしエピックは逆にそれを利用し壁を蹴って避ける。そして徐々に距離を詰めていった。

(君の能力は鎖を自在に操れる、地味だがしかし使い手によっては化ける)

化けたからこそここまで生き残った。だが今の君はもうキレが無くなっていた。...悲しいな

ナイフの間合いまで入った。

老紳士は腰に掛けていたショートソードを抜く、それと同時に鎖をエピックの足に巻き付け引っ張る。エピックの体が背中から倒れる

()った)

そう思ったのもつかの間、ドンッ!と鈍い音がした。

老紳士は自分の身体を見下ろす、すると心臓のあたりに穴が空いていた。エピックを見ると何をされたかが分かった、自分がくらうとこうも痛いものなのだな。

口から血を流し老紳士は倒れた、そしてすぐに死ぬだろうとも悟った。

「何故だ」

顔は見えないが悲しんでいると老紳士は分かった。

初めて見る友の姿に申し訳なさを感じつつも答える。

「死に場所を探していたんだ、戦いでは死ねない癖に老いていくばかり」

「...勝手に何処かで死ねばよかっただろうに」

ギュッと拳を固める。

「ハハッすまないな、だが殺されるなら君が良かった。それだけだ」

そして老紳士は笑って息絶えた。とても撃たれて死んだとは思えない程に穏やかな顔だった。

「......馬鹿野郎が」

しんみりとした空気を壊すようにドカドカと足音がする、複数人が何処かに急いでいるようだ

(いやここか)

音と気配からしてここに向かっていることが察知出来た。

「通報があった場所はここか。ッ誰だ貴様!?いやその倒れている人は...そうかお前が殺人鬼か!」

チッ、舌打ちをする。この出来すぎた状況から見るに誰かに嵌められたらしい。まあ友を動かせるだけの力を持つ者なんて限られているから大方の目星はつく。

それはともかく、どうやってこの衛兵の包囲を突破するか。

そんな事を考えている内に遅れてやって来た三人組が見えた。

「エピックさん?」

おっと不味い。

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