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冒険者アリア

ここは王都にある冒険者協会本部、毎日のように冒険者が出入りし賑わっていた。

とそんな時、扉が開かれる。

皆反射的にそちらを見る、するとさっきまでのにぎわいが消えた、皆その者、アリアに視線が釘付けである

アリアは見られていることには何も反応を示さずスタスタと受付まで歩いていく、すると空気を読まずアリアの前に立つ男が現れる、その男はいかにもな下種者といった風貌だった。

「よお嬢ちゃん、ここはお前のような甘ちゃんが来るところじゃねえぜ?...ふぅん、顔がクソきれいってのと、胸もまあまああるじゃねえか、俺が抱いてやろうか?」

アリアは一瞬その男を一瞥したがまたすぐに歩き始めた

「無視すんじゃ...」

男はアリアに掴みかかろうとしたが、見えない何かに転ばされた。アリアの魔術によるものである。

「はあ」

面倒な者に早速絡まれてため息をつく。そしてアリアは何もなかったかのように再度歩みを始める、そして受付に着いてこう言った。

「冒険者登録がしたいです」

静寂の中でアリアの声は、よく響いた。



「既にご存知かと思いますが規則なので説明をさせてもらいますね、まず冒険者はF、E、D、C、B、Aとランク付けされており、えー...アリアさんはまずFからとなります。そしてこれは聞き流して良いのですが、Sランクも存在しておりますが、正直成れる人なんて一握りなので忘れてくれて構いません」

受付の説明に適当に相槌を返すアリア、既に知っている知識であるし己の目的にランクは関係ないので興味は無い。

「ではこれが冒険者の証となるので無くさないようにしてくださいね、ランクが上がるごとにグレードを上げてそれと交換していくので」

渡された証は木で作られていた、首などに掛けれるように紐が通してある。

「次に魔物についての説明をさせていただきますね。魔物には強さや能力などを総合して評価をつけた等級というものが存在します。等級は第五等級から第一等級までで、伝説級の存在は等級不明と言われることもあります」

アリアはその説明を聞き、自身がどの程度までやれるのか自己分析をする。まず第三等級までは勝てるだろう、しかし第二等級からは厳しいだろうと予測する。アリアはエピックによって魔物の強さについての知識はある程度ついている、しかし実際に見たわけではないから今の自己分析を過信することはない。

「最後に登録手続きのご説明をさせていただきます」




スプーンを動かす、そして甘い匂いを嗅ぎ幸せの未来を想像する、遂にそれが口の中に入った。

「...美味しい」

相変わらず表情は変わっていない、しかし上機嫌とわかる雰囲気を醸し出していた。

長ったらしい説明と登録が終わって精神的に疲れたアリアは自身のお気に入りの店に来ていた、食べていたのはいちごパフェだ、まこと甘美なものである。

「わかります、美味しいですよね〜」

「......」

固まるアリア、隣に音もなく座っていたのはいつぞやに出会った盲目の修道女である。ニコニコしながら頼んだ飲み物を店員から受け取る。

「なんで居るんですか」

「居てはだめなのですか?寂しい事をおっしゃりますねぇ」

そう言いながら黒い飲み物、コーヒーを飲む。

「はぁ、まあ良いですけど、何か用でもあるんですか?」

「いえいえ、特に何も無いですよ。わたくしだってこうやってコーヒーを飲み、人の世をただ眺めることだってあります。ふふ。人は飽きないものですね、常に変化し一歩また一歩と進んでいく、わたくしはそれが楽しくてたまらないのです。」

見ることはできないが、しかし変化は感じるのだと、この女は言った。アリアは前々から思っていた事を投げかける。

「...貴女、人間じゃないですよね?気配は人間のようですけど少々違和感、人外の気配が微弱に伝わってきます。でも化け物にしては理性的で、人間にしては獣に近い...ような気がします。」

薄々感じていた、そして先の発言から確信した。たった百年もしくはそれ以下しか生きない人間が、そんな超越者のような思考に至れるだろうか。人間というのは一瞬一瞬を生き抜く為に考える、考え続ける。人の歩みを趣味として眺める暇人がいるものか。ましてや信仰という霧に思考を妨害されている聖職者が。

「あら?いい感覚をしているようで、ふむ...まあ大方、わたくしの生き方はそうなのかもしれませんね。獣ですか。良いじゃないですか、嫌いではありません」

「.....まあ、貴女が何であろうとそこまで興味はありません、そろそろ依頼(仕事)の時間なので失礼します」

シスターは何かを思い出したようでポンッと手を叩く。

「ああ、そうでした。貴女に警告がある事を忘れていました」

「警告?」

「ええはい『殺人鬼には、お気をつけください』ね?」



初依頼、その内容は森に出る小型の魔獣の討伐である。Fランク冒険者が受ける依頼にしては難しいがアリアには簡単すぎるものだろう。

しかし森に入って数時間、一向にそれらしき魔獣が現れない。

(どうなっているんですか)

もしやいたずらの類の依頼だったのか、そう疑い始めた頃だった。

何かが何かを弾く音がした。おそらく金属どうしが触れる音。

アリアは気になったので音がした方向に行ってみる、するとそこには黒い鎧を着た騎士が三人がかりで一人を襲っていた、その一人は武士の格好をしていた。

武士の格好と言ってもその格好は少し変だ。顔の部分に鉄の物体がついており顔が完全に隠されていた。あれは騎士のヘルムの部位を付け足したものだろうか。

「むう?妙な気配、誰ぞおるんか!?」

「...ばれた」

一応、隠れていたはずなのだけど。どうやら相当な実力者らしい。

「おるではないか!なら早く手伝わんか!ジジイに無理させるもんじゃないぞ!」

最初は面倒くさいから無視しようかと思ったけど、なぜだろうかこの鎧の人からは懐かしさと何故か恐怖を感じる。

何か私と関わりがあるのだろうか?となるともう見て見ぬふりはできなかった。

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