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あなただけに見せる顔

「ーーーーーー!!?」

「ん?」

なんか叫び声が聞こえるな...それも学園長の声?

...まあ...いいか、気にしないでおきましょう...

「どうしたのアリアさん」

マルスが心配そうに言う、事件の黒幕はアリアが殺したと伝えられたがそれでも警戒は怠らない

「いえなんでもありません、さて事件が終わったということなので私は帰らせていただきます」

「えっ帰るの?」

まあもう居る理由も無いですし...私は家でゴロゴロしたいのだ

「マルス、アリアも疲れているだろうから好きにさせてあげよう。それよりもすべき事があるだろう」

アルスはそう言いアレスの方を向いた、先程までの失意は消え今は目に光を取り戻した。もちろん、やったことは何をしたって戻ることは無い、しかし『彼女』は厳しい環境だったであろう状況でアリアを育てた。ならばもう下を向くことはできない、為すべきことを為すと決意をしたのである

「では私はこれで」

後ろを向き会場を出る

「ああ、また会う時は君に関して聞かせて欲しい」

「...ええ、いつか」

顔には出ていないが、その声は少し嬉しそうであった




「...あら?」

「お久しぶりです、星の娘」

王城を歩いていると見たことのある修道女に会った

「星の娘?」

聞いたことの無い単語に困惑する

星にだが娘なんてものは居ないはずだ。所詮星は見ているだけ、何かをするというわけでもない。それとも聖職者にだけわかるものだろうか

「ふふ、いえ気にしないでください」

「そうですか」

「...」

「...」

「で、私に何か用ですか?」

「いえ特にはありません、わたくしはただ観察していた...ああいえ厳密には聴いていたですね。貴女がどういう存在なのか、この世界に何をもたらすのか」

威圧感、常人ならば震えて立つこともできないような圧をこのシスターは出していた

「...結論は出ましたか?」

しかしそんなものには怯むこともなく聞き返すアリア

「...あらごめんなさい、つい出てしまったようね。わたくしも未熟ですね」

圧が収まる、無意識に漏れ出てこれなら本気は一体どれほどのものだろう?アリアは少しだけうずいた、それは好奇心であり、彼女の内に秘めた闘争心である

基本的には面倒事を嫌う彼女だが別に戦いが嫌いな訳では無い、むしろ好きの部類に入るだろう。

相手が強ければ強いほどワクワクする、見た目とは裏腹に戦闘民族的性質を持っているのである

「うふふふ、ああ良いわあその闘志。でも今は、残念なのだけど戦うことはできないわ。任務中なので。それじゃあアリアさん、また逢いましょう?」

シスターは闇に消えた、足音もしなく気配もしない。まるで最初から居なかったかのように

間違いなく達人の域にある

(もしかしたら、今の私よりも強い?)

実際の所はわからない、だからこそアリアはシスターに対しての警戒度を上げた。



「ふう」

部屋に戻ったアリアはため息をつく

今日は色んなことがあったので流石のアリアでも疲れるらしい

「お疲れかい?」

アリア以外いないはずの個室に声が響く、窓が開いていて月明かりが入る、恐らくそこから入って来たのであろう

「!エピックさん!」

その姿を見つけたアリアは普段は真顔で感情を感じない顔だったが、満面の笑みを浮かべエピックに抱きつく、その様子はまるでただの少女である

「...ちょ、アリアさん?抱きつきすぎでは?」

「だってずっと会いたかったんですもん、これくらい当然の行いです」

隠しきれない、あるいは隠すつもりのないデレ

もちろん、彼女はエピックにだけこの表情を見せる。アリアにとっては唯一の家族であり、もしくはアリアがエピックのことを...

「...そっか、うん、しょうがないなあ。」

そう言いアリアの頭をわしゃわしゃと撫でるエピック、二人共とても幸せそうだ


「で、エピックさんは私にどんな用があって来たんですか?もしかして私に会いたかっただけですか!?そういうことなら伝えてくださったらこんな場所抜け出して会いに行きましたのに」

アリアはエピックに膝枕されながら頬を少し膨らませて言った、ローレンスがこの光景を見たらあまりの甘々な空気に当てられて気絶することだろう。もっともアリアは人の気配に敏感なので人が来たら即、元の無表情に戻るだろう

「ま、まあそれもあるけど...」

「ほんとですか!?」

話を遮ぎるアリア、久しぶりに会えてテンションが上がっているようだ

「あ...すいません...遮ってしまって」

シュンとするアリアにエピックは頭を撫でつつ言う

「ハハハ、大丈夫気にしてないよ。全く、可愛いねぇ君は」

その言葉にアリアは赤面する

「あぅ、その急に来るのはずるいです...」

「そうだね~、...っていかんいかん、ここに来た目的は渡す物があるからだよ。はいこれ」

エピックがどこからともなく出し、アリアに渡された物は両刃の剣である。よく見ると剣身の部分が少量だが鈍く白い光を放っていた

「剣...ですか?」

「そう!ただの剣と侮るなかれ、これは僕が直々に打ったものだ!かの龍武器(ドラゴンウェポン)にも引けを取らない性能だと思うよ!」

龍武器(ドラゴンウェポン)とは通常の武器とは比べ物にならない性能をした代物である、希少品の中でも特に希少なものであり遺跡や何処かの森などに刺さっている状態で発見されている、現在協会が公式に確認できている龍武器(ドラゴンウェポン)は7種である。特徴として黒い剣身をしているので製作者は同じく漆黒の体を持つ破滅龍なのではと言われている

「えっ、エピックさん鍛冶できたんですか?」

そんな話は聞いたことが無いアリアは驚愕する、時々鉱石を加工している所は見たことがあるがまさか鍛造できるとは思ってもみなかった

「そうそう僕器用だからね、割と何でも出来ちゃうのさ☆」ピースピース

「流石です!やはりエピックさんは世界で一番凄いですね!」

「...そうだね」

目をキラキラ輝かせながら言うアリア、しかし対照的にエピックは微妙な反応をする

その様子にアリアは何か地雷を踏んでしまったのかと不安になる

「あっ、いやごめんね。君が悪いわけじゃないんだ」

謝罪の意味を込めてアリアを抱擁する

まるで本物の親子のようだ



「じゃあ僕は行くよ」

「...すぐに会えますか?」

「...ああ、すぐ会えるさ。その子、大切にしてあげてね」

先程あげた剣を見る、何やら変わった呼び方だ。

「勿論です、あなたがくれた物は全て大切にしていますから」

「...そっか、それじゃあ、おやすみ」

「はい、おやすみなさい」

エピックは窓から飛び出し他の屋根に飛び乗りそのままどこかに去っていった

アリアは微笑を浮かべながらベットに入る、今夜は良い夢が見れると確信して




それからの学園生活は特に面白みのない生活が続いた、いや案外面白かったかもしれない。例えば王様の奇行が度々起こることがあったりした事

アリアをストーカーしたり、生徒に混じって授業を受けたりしていた

鬱陶しくもやはりシュールであるからしてアリアも少し面白がっていた、確かに気持ち悪いと思ったがそれ以上に必ず守護る気持ちを感じられたので怒るに怒れないのである。

他には王子クロムから決闘と称した修行に付き合わされたり、マルスの実験に巻き込まれたりとこちらは比較的常識的な面倒事なのでアリアも楽をできた。

王子といえば、アレスは本来は即死刑であるが王の温情により投獄に留まっている、待遇は罪人にしては良い方である。

ローレンスは事件後一度も見かけることはなかった、何をどうしているのかアリアが知ることはできない、というか興味が無いのでどうでも良いようだ

そうして二年の月日が経ち、卒業の日が近づいてきたのである

エピックは一度も現れることはなかった





ヤッホー少年!見ってるー?

「はいはい見えてますよ」

水晶越しで呆れた声で言う少年と呼ばれた男

二人は水晶を通して遠距離から会話しているようだ

「聞いてよー、実はー」

「アリアが活躍したんでしょ?どうせ」

「ちょっとー?なんで先に言っちゃうのかなー、連れないねぇ本当に」

「いやこのくだり何回やったと思ってるんですか、アリアが活躍する度に言ってくるじゃないですか、茶番は良いので早く終わらせてください、こっちは仕事で忙しいんですから」

「むっすー、後で竜のフン落としてやる。」

「ははは当てれるもんならやってみてくださいよ」

「お?喧嘩売ってんのか?」

「すいませんお客様。ただいま喧嘩は切らしておりまして」

「物質じゃねえんだから切れるわけないだろ、教えはどうなってんだ教えはよぉ!」

「教え...ですか?ああ私厄介客はさっさと追い払えと習いましてー」

「僕のどこが厄介なんだよ!」

「何回も同じようなくだり言ってんだから厄介でしょうが!」

「「.....」」

「はぁ、なんでこんな人とイチャイチャしてんだろ、俺」

「は?喜べよ、この僕とイチャイチャ出来るんだから狂喜乱舞しなよ」

「あーもう、はい喜んでますから早く本題を言ってください」

「ケッ、まあ許してやらんこともない。...教団が何やら儀式の準備をしている」

「儀式?奴らは何をするつもりで?」

「あの感じからすると、他の世界から呼ぶつもりらしい、しかも多分学生だよ対象になるの」

「なるほど、彼等風に言うならば異世界転移という奴ですね」

(何が目的...いやどうせ教団がやることだ、破滅龍の討伐の為だろう)

「いやー困っちゃうね、面倒事の予感しかないよ」

「そうですね、俺も仕事とは別で動かなければならないかもしれないですね」

「そういえば君今何の仕事してんの?」

「えーと、世界を滅ぼそうと企んでる魔竜をぶっ殺す仕事ですね」

「へー、美味そう?」

「いや、ザ邪悪って感じの見た目なので美味くはなさそうです」

「残念、竜の肉は大体美味いけど見た目がアレなら食いたくないね」

「.....そっすね」

「なんだ?その何か言いたげな間と声は」

「いや、うん、まあ、うん、何でも無いです」

「...まあ見逃してやる、自分でもアレだなって思ってるし」

「あ、自覚あったんすね」

「君は僕の事なんだと思ってるのかなー?」

「変態」

「即答すんじゃねえ!全く、礼儀のなってない野郎だよ。そんなだから僕にいつまで経っても少年呼ばわりされるのさ!」

「分かりました、ジジイあるいはババア」

「年寄りを敬え、そしてお前は殺す」

「怖い怖い、あ、時間なので俺はこれで」

「あコラ!待てぇ!...切りやがったアイツ」

静寂が訪れる、エピックはさっきとは打って変わって静かにしている

「...しかしどんなに時が経っても変わんないな、少年は、全く手の掛かるね」

手の掛かると言いつつもその声色は嬉しそうだった

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