君の正体
ローレンスに勝った私は今、絶賛看病中である。
私の仕掛けておいた魔術で保護していたが戦闘中かつ遠隔操作していたので精度は低い、なので死にそうなのは変わらずなのだ。
「君は...」
「喋らないでください、死にたいんですか」
死にそうなのに喋る人ってどういう精神構造しているんだろう、私には理解ができない。
まあそれはいいとして、どうにか助けられそうだ。心臓が壊れてたし毒が塗ってあったから苦労したけど、あの教師抜かりないわね
「すまない、だが君に聞きたいことがあるんだ。」
「聞きたいこと?」
接点は無いはずだが、なにかあったかな?
「君の正体についてだ」
「はあ...?」
「君の顔、面影があるんだ。俺の妻になるはずだった人、アリスに」
「アリス?アリスってまさか...」
私のお母様の名前だ、そんなことが?エピックさんは知っていたのだろうか、いやまさかそのために私をこの学園に?
「...私のお母様の名前です」
「お、おお!やはりそうか!彼女は生きて、ゴフッ」
「ちょ、けが人なんですから動かないでください」
信じられない、こんな人にお母様は惚れていたの?趣味が悪いよお母様...
「...アリスは今どこに?元気にしているか?」
「残念ですがお母様は病気で死にました」
そうだお母様は私が物心ついた頃に病気で死んだ、しかし私を愛してくれていた。それは覚えている
「そうか...彼女は死んでいたか...いやだが彼女の忘れ形見とこうして会えたのは嬉しい限りだ、どうだ?今からでも俺の養子とならないか?」
「いやお断りします」
何を言っているんだこの人、仮にも初対面なのにいきなり養子にって...
「親父...それは俺でも引くぜ...」
クロムが引いたように言い
「父上ってこんなキャラだっけ...」
マルスが混乱しながら言い
「復讐相手がこんなとはな...」
アレスが縛られながら呆れ
「俺は真面目に言ったはずなんだがな、おかしいな」
アルスは天然だった
沈黙が走る、どうしようこの空気。まずい私この空気の中で何か言うことができない
いくら私でもこれは耐えきれない...
なにか話題を変えなければならない
「あーあ、これからどうしようか」
横たわり考える、アリアの要求はもう復讐はしないことだ、それは別に良い仕方のないことだ、負けた以上はその要求は飲まなければならない。
問題はこれからのことだ、復讐に身を捧げていた以上それができないとなればやることがない。全く何も思いつかないまま時間だけが過ぎていった。
...おかしいな、これほど時間が過ぎたのなら衛兵が来てもおかしく無いはずだが...
「こんにちは、ローレンス先生」
その声は...聞き覚えがある
「学園長...いや何者だ、あんた」
声の主は学園長その人であった、しかしローレンスは何かが違うと感じ取っていた、まず気配が異質過ぎる。何が異質なのかはわからないが例えるならば、この世界の者ではないような...
じっくりと見る、灰色の髪が良く映えている
「おや、いい感覚してますね貴方、普通はわからないはずなんですが...ふーむ」
質問に答えずブツブツと独り言を言うそれはよりいっそう異質に感じる
「おっと失礼、聞かれていましたね。では名乗りましょうか、騎士団第四席「魔術王」エミーリアと申します、冥土の土産に覚えていてくださいね」
「騎士団...しかも魔術王だって!?今の魔術体系を作った偉人にして狂人!」
興奮気味に言うローレンス、だがそれは魔術を扱うものならば当然の反応である、魔術とは基礎があって成り立ち、基礎があるからこそ応用が効く。
だがその基礎をいちから造るとなれば?
その難易度は比にならない、そしてそれを人間の身で成し遂げたのだから偉人と呼ばれているのは必然だ
一方狂人と呼ばれているのはとある逸話があるからだ、それは研究の為に何年も食事も取らず寝ることもしなかった、自身の知識欲の為に悍ましい実験をしたとか。
故に別名が研究狂い、魔術師からは恐れと敬意を持たれている
「あんた、人間って話なんだが...なんで今も生きているんだ?いや魔術王は継承制ってことか?」
「いえ、私は私です。8000年前からこの姿のままです、当然でしょう?だって私は研究者です、研究するためなら何でもしますよ」
なんの感情の籠もっていないあるいはただ好奇心でそんなことを言っているとわかった。この女はただ研究したいという欲求だけで恐らく人体実験などもやるのだろう。
「あんたのような奴を外道って言うんだろうな、俺が言えたことでもないが。で、どうするんだ?衛兵が来ないのはあんたの仕込みだろ?本題に入ろうか第四席」
「本題ですか、はいお答えしましょう。私の目的は貴方の完全な抹消です」
「なに?」
どういうことだ?俺は確かに騒ぎを起こしたが騎士団に目をつけられるいわれは無い。
騎士団は世界の崩壊を防ぐいわば世界規模の調停者のはず、いやまさか俺のやろうとしたことが世界の崩壊に?
「貴方の考えていることはわかります、まあそういう訳では...あるかもしれませんが...いえこの件に関しては私の独断です、というわけで消えてください」
歯切れの悪い返答をした後、エミーリアは魔術を発動しローレンスの体は消し飛ぶ...はずだったが
「はいそこまで」
エミーリアの腕を掴まれ魔術が不発に終わる、それをしたのは紫の外套ことエピックである。
「えっ、なんでいるんですか」
思わず口に出てしまったエミーリア、居ること自体には驚きは無いしかし妨害してくることには予想をしていなかった
「そりゃいるでしょう、アリアいる所に僕はいつでも近くに居るよ?あ、それはそうとシリアスな場面ぶち壊しちゃってごめんね?折角の見せ場が無くなっちゃった、今度奢るよ」
「いえそれは良いんですが...なぜ止めたんですか?その男はアリアさんにとっては邪魔者では?」
「いや、もう大丈夫だよ。以前会ったときよりも良い目をしているからね」
そう言いながらエピックはローレンスの方を向く、顔は見えないが何処となく喜んでいるように見える
「それはそうとエミーリアちゃ〜ん?そんなことも気づかないなんてこれは僕も厳しくしないといけないかなー?」
「ヒエッ!?いえこれはそのですね!てっきり始末したほうが喜ばれるかと思いましてねほらその男の復讐心は生半可な物ではありませんアリアさんという抑止力が無くなったと同時に王を殺しますよきっと、今は「騎士」もいませんし私も色々と忙しいですから今の内に消したほうが良いと思ったんですよ!私の考えは理解できますよね?」
早口で自分の考えを述べるエミーリア、さっきまでのシリアスムーブは全く無い。その顔は焦りと恐怖で滲んでいる
(俺は何を見せられているんだ)
困惑するローレンス、無理もない、世界でも屈指の強者と言われている魔術王がなんの力も感じない男?に怯えている
(いや待て)
なんの力も感じない?それはおかしい、どんな者でも何かしらの力が体内から漏れ出るものだ。
魔術王でさえ消すなんてことはできていない、もしくはできるが偽装しているだけかもしれないが。
「エミーリアちゃんの主張はわかるよ?でももっと良い案がある」
そう言うとエピックは近づいてきて
「君、僕の下で働かない?」
「は?」
「...本気ですか?」
「そうだぞ、俺はあんたの娘...で良いんだよな?で、そいつを殺そうとしたんだぜ?」
「大丈夫大丈夫、君は一度もアリアに殺意を向けてなかったからね、それに不安なら監視をつければいいだけでしょ?」
この紫、ずっと見ていたのか。まあ不思議ではないか、俺の結界を通り抜けていたからな、にしても得体がしれないな。
「...はあ、わかった。どうせ拒否権はないんだろう?好き放題こき使ってくれ」
どこか諦めたように言うローレンス、そしてずっと気になっていた質問を繰り出す
「その前に聞きたい、あんたの正体についてだ」
「なるほどね、いいよ聞かせてあげる。取り敢えず移動しようか」
そう言うのと同時にローレンスの体を持ち上げる
「じゃ、アリアちゃんを頼んだよ!」
「あの私の処遇って...」
「...」
エピックは親指を立てた、そして瞬間エピックとローレンスが消える。
「なんか言ってくださいよーーー!?」
絶望の声が城に響いた
エミーリア
力B魔力?技量?神秘?
能力:?
属性:?
武器:?




