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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

彼女たちに裏切られて心が壊れる話

作者: 金木 城

俺、加山秋彦(かやまあきひこ)には彼女がいる。


その名は松本絵梨香(まつもとえりか)

学校1の美少女と呼ばれている彼女は黒髪のロングヘアで、

まさに漫画に出てくる清楚系美少女という印象がとても当てはまることで有名だ。


その温和な笑顔は周囲の人たちみんなの顔を緩ませ、

告白する人が俺という彼氏ができるまで絶えなかったそうだ。


そんな彼女と付き合えているのは何故か。

それは彼女と俺は幼馴染だったからという要因が大きいだろう。


小さい頃から通う学校も一緒で、

家も近所となればどんなヤツでも自然と仲が良くなってくるというものだ。


小学校高学年には恋心を意識し始め、

中学生になると、気になる異性であるということを

意識しすぎてまともに目を合わせられなくなってしまった。


彼女は中学生になってから身長も伸び、

子供の頃から見せていた美少女の素質が遺憾なく発揮される体型へ

変化しようとしていた。


そんな彼女をみて、俺は告白することに気後れしていたのだ。

だけど、それじゃいけないって、そう思った。


覚悟を決めた俺は高校に進学するまでの間にイメチェンをすることにした。

ボサボサだった髪型も整え、美容には気を使い、

勉強だって苦手だったけど必死に克服した。


部活はサッカー部に入り、死ぬほど努力して高校一年生にしてレギュラーを勝ち取れる様になった。


そこまでしてやっと自分に彼女と並ぶ自信を持てた俺は高二の春、彼女に告白した。そして、その結果は了承。


長かった努力の末、俺は彼女を作ることができたのだった。


これからはずっと彼女と楽しい時間を過ごせる



そう思っていた。








「コイツ、痴漢です」

「え?」


ある日、いつも通り学校に登校しようと、電車に乗って手すりに捕まっていると

隣にいたギャルっぽい金髪の女子生徒が俺に向かって指をさしてそう言った。

ざわざわと周囲の乗客たちが騒ぎ出す。


「アンタ、今私のお尻触ったでしょ」

「そっそんな!誤解です!」


何が起こっているのか分からなかったが、俺が言われていることなのだと気づき、俺は必死で訴える。


「いや、うちもミカっちがお尻触られているところ見たし〜」

「そうそう、マジでキモって思ったわw」


と、ギャル生徒の取り巻きっぽい女子生徒二人が彼女を援護し始めた。

そこまでされて、やっと俺はこの女子生徒たちに嵌められかけているのだと気づいた。


「ちがっ!俺は何もやって!!!」

「痴漢する人はみんなそう言うんだよ」


と優しそうなおじさんに言われ、俺は複数人の大人に囲まれ拘束された


次の駅に着いて俺は駅員さんに引き渡され、警察を呼ばれる羽目になった。


「俺は本当に何もやってないんです!信じてください!!!」


警察に任意同行されて、取調室に連れて行かれた俺は刑事さんに訴える。


「って言われてもねぇ、実際被害者と多数の目撃者がいるわけだし状況証拠が君がしたということを暗に示しているんだよねぇ」


と、俺の言葉をまともに取り合ってくれない。

その刑事さんの目は気だるげに俺を犯人と信じて疑わないものだった。


結局俺は女子生徒にお金と謝罪を強要され、親に迎えに来てもらい、家へようやく帰ることになったのだ。







学校から停学を言い渡され、三日後。

俺はようやく学校へ通うことを許され、普段通り向かうことになった。


そして学校に着いた時、周りの生徒が向けた来たのは侮辱する様な目であった。


「おい、あいつ他校の女子生徒を痴漢したって...」

「聞いた聞いた、彼女もいるのによくやるなー」

「サイッテー」

「なんで学校に来たのよ...」


ヤツらの目は俺が犯罪を犯したことを本気で信じてる目だった。


「違うんだ...俺は何も...」

「加山くん」


あまりもの苦痛に顔を歪め下を向いていると前から彼女である、絵梨香の声がした。


「えりか...絵梨香は信じてくれるよな?お、俺は本当に何もしてないんだ!」

「..............」


一縷の希望を持って俺は顔を勢いよく上げた。

しかし、そこにあったのは俺は嫌悪するような目で見つめる彼女の姿だった。


「...ごめん、女の人にそんなことをする様な人とは付き合えません」

「え、絵梨香?」


「ラインもブロックしたから、もう私に話しかけてこないで」

「まっ」

「さよなら」


そういうと彼女は後者の方に体をむけ、俺に背を向けて走り去っていった。

俺はあまりもの衝撃に地面に膝から崩れ落ちた。


「プププ、振られてやがんの」

「当然よね」

「犯罪者がなんで学校にいるんだよ」

「ほんと気持ち悪いわ」

「家に帰れよ」

「そうよ!帰りなさいよ」

「帰れ!」

「帰れ!」


「「「「「「「「かーえれ!かーえれ!かーえれ!」」」」」」」」


「お...レは...」


あまりもの惨めさに俺は俯いて家へ帰るしかなかった。







家に帰り、俺は母の驚きに声を無視し、自分の部屋に閉じ籠り、ベットに倒れ込んだ。


「なんだよ...なんなんだよ...ッ!!」


あまりもの悲しさに涙が込み上げてくる。

あんな憎悪を向けられたのは生まれて初めてのことだった。


「ずっと...ずっと一緒にいたのに少しも信じてくれないのかよ」


子供の頃からずっと一緒だった絵梨香。

なのに俺のことを信じるそぶりすら見せず俺が犯罪者であることを信じきっていた。


「俺の...努力は、17年間はなんだったんだよ」


帰れと俺に叫んだヤツの中には俺を憧れに先輩と崇めてくれていたサッカー部の後輩もいた。

学校には俺を信じてくれる奴は誰もいない。


「ははっ...もう...いやだ...」


泣き叫んで泣き叫んで、泣き叫んで。

自分の中で何かが壊れる様な音がした。


「もう、誰も信じない」


そういった彼の瞳は薄黒く濁りきっていて、枕は涙でびしょ濡れになっていた。





次の日も、オレは学校へ向かった。

その日も着くなり憎悪の感情を向けられるがオレは気にせずにスタスタと歩いていった。


教室に入ると、自分の席だったところに机や椅子は無くなっていた。


「お前の座る席ねーから」


ぷぷぷと幾人かの生徒が笑いを堪えきれずに声を出す。


「よーし、ホームルームを始めるぞ...って加山!

何突っ立っているんだ早く座りなさい」

「...席がないんです」


クラスの担任の先生が入ってきて尋ねて来たのでオレはそう答えた。


「む?本当だな...しょうがない!加山はそこで立って授業を聞いていなさい!」

「え?」


何を言っているんだ...?まさか先生まで()()なのか?


「え?じゃない!早く後ろに行きなさい!」

「は、はい...」


オレは指示に従い大人しく後ろへ向かう。


「全く...これだから犯罪者というのは...やはりウチの生徒にふさわしくないのだよ...」


ブツブツと先生はそう呟く。

ああ、やっぱり先生も()()()()なんだね。


「じゃあ..もう気にしない」


オレは小声でそう呟いた









そんな生活が続き、3ヶ月後。


ピンポーン、家のドアのチャイムが鳴る。


「なんですか?」


オレは扉を開け、要件を尋ねる。

そこにいたのは警察官だった。


「加山秋彦くん…で合ってるかな?」

「はい、そうですが?」

「すまないが…署まで一緒に同行してくれませんか?痴漢の件についてです」

「…わかりました」


俺は車に乗せられ、ほぼ強制に近い形で警察署まで連れてこられた。





「この度は誠に申し訳ございませんでした!!!!!!!」


着くなりいきなり警察署長という人に通され、頭を下げられた。


彼がいうには彼女たちは痴漢を装いお金をせびることを地域を移り変りながら行っていた様で、今回うまく行きすぎたせいか、同じ地区で俺にしたことと同じことをしたんだそうだ。


流石に何かおかしいと勘づいた警察が調べたところその女子生徒は幾つもの地域でその様な痴漢の被害にあっているというではないか。そして詳しく調べるとその者たちの自作自演が判明し、これまで被害に遭った誤認逮捕者たちに謝って回っているのだと言うのだ。


「謝って済む話ではないのは分かっている…もちろん賠償金は用意させてもらった!しかし、まずは謝罪を受け取って貰えないだろうか」

「……もう、いいです」


署長は恐る恐る顔を上げる。そして恐怖した。


「謝られたところで、何も変わらない」


無表情でそう呟いた彼の目は全てを吸い込む様な真っ黒な目だったと、後に署長はそう言った。








【絵梨香視点】


その日もいつも通りだった。

いつも通りご飯を食べて、テレビを見ながら家族と他愛もない話をして学校に向かう。

そして学校にて待つのだ。自分の最愛の恋人、加山秋彦くんを。


「まだかなー」


結局その日、彼が学校に来ることはなかった。




次の日、学校に行くとまたもや彼は学校に来ておらず、その理由はホームルームで説明された


「加山は登校中他校の女子生徒に痴漢をして逮捕された。そして停学が言い渡されたので三日間は学校に来ないと思っておけ」

「………え?」


信じられなかった。

彼がそんなことをしたなんて信じられなかった。

でも、先生が言うことだし、彼は実際に逮捕されている。

そしてその罪状は痴漢。


「キモっ」


素直にそう思った。


だから彼がまた学校に来た時、別れを告げた。

彼は必死に叫ぶ様なことをしていたけど、それが普段とは全く違う態度でやっぱり、

彼は痴漢したんだと、そう思った


そんな人のそばになんて居られない。

言うことだけ言って私はその場を去った。

出来るだけ長く一緒にいたくなかったからだ。



その後、彼はみんなにいじめられているみたいだけど、わたしには関係ない。

だって…


「自業自得、なんだから」








『痴漢されたと嘘をついてお金を騙し取っていた女性詐欺グループが逮捕されました。とても悪質なチームで既に被害は30件に及ぶということです。動機は…………』


カチャ


箸が地面に落ちる音がした。


「これって…加山くんの…」


俺は無実だ!そう叫ぶ加山秋彦の姿が目に浮かび上がる


「そ、そんな……まさか!!」


私は食べかけのご飯をほったらかしにして走って学校へ向かった。


「早く…早く行かないと……l




学校に着き、教室の扉を勢いよく開ける。

彼はもう来ていた。

その隣には彼をいじめていた男子生徒が一人いる。


「な、なぁ加山、今までほんとうに、本当にごめん!!!」


今まで一方的に無視を貫いて来た彼はチラッと横を見ると


「気にしてない、どうせもう関わらなくなる」

「そ、そうか」


じ、じゃあまたな


そんな言葉を残し、男子生徒は逃げる様に去っていった。


「加山くん!」


思わず私は声をかけた。

彼はチラッとこちらを見ると


「なに」


と促して来た。


「ごめん!私信じられなかった!君の事を本当に犯罪者だと思って…」

「謝罪はいらない」


ギョッとして私は彼を見る。

そして彼の瞳が私に向く。

私は…………絶望した。


「どうせ、もう関わることはない」

「で、でも!何かしないと!」

「ひとつお願いがあるなら‥‥早くどこかへ行ってくれ」

「あ…あ…あ……」


彼が私に向けたのは憎悪や、嫌悪感ではなく、

完全なる無関心であった。













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― 新着の感想 ―
[気になる点] 既存の作品の冒頭部分だけパクッてその後も小分けして書くようなことほのめかしておきながら結局断筆。 [一言] 胸糞悪くさせられただけならまだいいバットエンドで絞める作品もあるから。続き…
[一言] この世界の警察無能すぎだろw 同じ被害者が30回も被害訴えておいて捜査しない訳ないだろw不審すぎるからw
[気になる点] その後を書かない作者 [一言] で?何が言いたかったの?主人公は壊れて終わりましたって結末にしかなってないよ?
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