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姫様の男(姫様3)  作者: 一本松
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5.栄華物語

『ナタシア、驚いてちょうだい。

 わたくし、絶対に手に入らないものを追ってみる。

 面白い報告ができるといいのだけど』




 カイソク王が王妃を娶った半年後、盛大な同盟の調印式がカイソク国境の町、マベツで行われた。

 同時進行で、カイソク王と、サンリク王の姪カルラの結婚式が行われる。


 久しぶりに会ったカイソク王は少なからず興奮しているようだが、やはり、色のない瞳をしていた。


「あなたのような方が、私に嫁いでくださるなんて、思ってもみませんでした」


「縁談を快諾してくれて、嬉しかったわ」


 カルラは王の手を見る。

 左手の薬指には、この良き日にも、おもちゃのような指輪がはまっていた。

 視線に気づき、王は右手を重ねる。


 ――外してくれと言えば、従ってくれるだろうか――。


 カルラはふふふ、と笑う。


「せっかくのお式ですのに、相変わらず、不幸なお顔をしていますのね」


「姫?」


「わたくしは、陛下の不幸な身の上も含めて、陛下のことが好き。

 指輪を外す必要は、ありませんわ」


「姫は――、私の昔を、ご存じでーー?」


「それが、実は何にも知りませんの。

 今度、その指輪物語を聞かせてくださいね」


 カイソク王はなんとも戸惑っている。


「さあ、微笑みましょう。

 今日はカイソクとサンリクの平和の記念日で、わたくしたちは、その立役者なのですから」



 この式には、もちろん、セツゲンのナタシア王女も招かれている。


「カルラ、あの手紙はなに?

 わたくし、心底、驚いたわ」


「でも、意外でもなかったでしょう?」


「まあね。

 悔しいから、わたくしも、あなたを驚かすの」


「あら、なにかしら?」


「教えてあげない」




 この半年後に、ナタシア王女はセツゲンでの商業権をもって、カイソクに嫁いでくる。

 カイソク王バルロ=リロクの統治は、10年後、最盛期を迎える。



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