夢の果てにあるもの・・・ 第一章 〜四話〜
永遠が家に着く頃には、辺りはすでに暗くなっていた。ふと空を見上げると、雲っているせいか星は見えなかった。だが雲の隙間からチラリと見える月の光が街を照らしている。
永遠は家につくと自分の部屋に行き、ベッドに倒れこんだ。すると突然の睡魔に襲われ、気づかぬうちに永遠は眠りについていた。
目に映る周りの景色は、焼け果てた街。永遠は呆然と街を眺めていた。すると視界に人影のようなものが見え、永遠は恐る恐るその影の方へと足を進めた。
近づくにすれ、影の主が一人の青年である事に気付いた。青年も永遠に気付いたのか、永遠の方へと向かってくる。
青年は傍まで来ると、足を止め、ジッと永遠の顔を見る。全てを見透かせれているような感じにさせる深い漆黒の瞳。だが、永遠はこの青年を怖いとは思わなかった。むしろ懐かしさを感じる……。
「あたしが見えるの?」
永遠の問いに青年は何も答えず、手を永遠の頬へと伸ばした。青年の手が永遠の頬に触れ、永遠の頬に青年の掌の温もりが伝わる。
永遠の瞳からは涙が溢れていた。永遠自身、なぜ泣いているのか分からないでいる。
「あなたは誰?」
青年は悲しそうな笑みを浮かべていた。
青年が答える前に、永遠の意識は途絶えた。
目が覚めると、部屋にドアをノックする音が響いていた。
「永遠。ご飯の用意ができたから下りてらっしゃい」
「はーい」
永遠はそう答えると、居間に足を運んだ。テーブルには三人分の食事が並んであった。父と母と永遠の分。
食事が終わって、永遠は父親とソファに座ってTテレビを見ていた。父はズボンのポケットからタバコの箱を取り出した。中は空っぽだった。
「母さん!タバコの買い置きとかある?」
父親の問いに母親は洗い物をしていた手を止め、戸棚を探りだした。
「あら、切らしてるわね」
「あたし買ってくるよ」
永遠はそう言うと、ソファから立ち上がる。
「こんな時間に危ないんじゃない?」
母親は時計を見ながら言った。時計の針は10時をさしていた。
「大丈夫だよ。自販機近いし」
自販機は家から歩いて5分ぐらいの所にある。
「じゃあ、気をつけて行くのよ」
「何かあったら大声を出すんだぞ」
「あなたったら!縁起でもないこと言わないでよ」
「冗談だよ。冗談」
父親は笑いながらそう言うと財布から千円札を取り出し、永遠に渡した。
永遠は自販機につくと、父がいつも吸っているタバコの銘柄を探す。星のマークが入った箱。 永遠は自販機からタバコを取り出すと、ポケットに入れ、家へ帰ろうとしたその時……。
「何?」
突然、目の前が真っ白になり永遠はその場に倒れこんだ。