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夢の果てにあるもの・・・ 第一章 〜三話〜

 

 猫を追いかけてどれぐらい経っただろう。二人が通った事のない道。

 

 細い路地を通った先に、一つの小さな建物があった。二人は建物の看板を見る。


〈星の記憶・未来、過去、なんでも占います〉


 二人が建物に気を取られている間に猫は姿を消していた。辺りを見渡しても見つからない。


「あれ?猫ちゃん何処行ったんだろう?さっきまでアタシ達の前を歩いてたのに……」


 永遠トワが猫を探している間、美穂はジッと建物を見つめていた。


「占いだって。ちょっと怪しいけど、入ってみない?」


「美穂ってば、ほんと占いとか好きだね」


「だって将来の自分とか知れたらよくない?。永遠は気にならない?」


「気にならないって言ったら嘘になるけど……」


「じゃあ決まり!入っちゃおう!」


 美穂は永遠の手を掴むと店のドアを開けて中に入っていった。中は意外と広かったが、あるのは真ん中に置かれてあるテーブルと椅子だけだった。二人が部屋を見渡していると、突然後ろから声を掛けられた。


「あら、お客さん?」


「えっ?あっ、はい。(いつの間に後ろに?部屋には誰もいなかったのに……)」


 永遠は部屋の中を見渡すが、人が隠れれるような場所や、他の部屋へと続くドアもなかった。永遠は突然現れた女性に目をやる……腰まで伸びた綺麗な紫色の髪に、薄い灰色の瞳。


「(すっごく綺麗な人)」


 永遠が女性に見惚れていると、隣にいた美穂が口を開いた。


「お姉さん、ここのお店の人?」


「そうよ、ここで占い師をしているの。何か占いたい事でもあるのかしら?」


「はい!」


 美穂がそう返事をしたと同時に、お店の中に携帯音が鳴り響いた。


 美穂の携帯だった。


「お母さんからだ。ごめん!ちょっと外で話してくるね」


 そう言い残し、美穂は店の外へと出て行った。


 店の中には永遠と占い師の二人だけとなった。永遠が占い師の方を見ると目が合った。占い師はにっこりと微笑むと言った。


「どうぞ、椅子に座って」


「はい」


 永遠が椅子に座ると、占い師は向かえの席に座り、服の中から水晶玉を取り出し、テーブルの上に置いた。綺麗に磨かれた水晶玉には一本の亀裂が入っていた。


「傷は気にしないでね。ちゃんと占いはできるから……あっ、占いの前に一つだけいいかしら?」


「占い料の事ですか?」


 永遠はバッグから財布を取り出すと中身を確認する。占い師はクスリと笑うと、そうじゃないわ、と言った。


「占いは私の趣味でやっているものだから、お金は取らないわ。私が言いたかったのはね、占いの結果はその人の行動によっては変わる事もあるの。悪い結果が出てもその人自身の力で変える事もできるし、逆に良い結果が出ても悪い方向にいく事もある。あくまで占いは助言に過ぎないの。だからどんな結果が出ても、結局はあなた次第って事ね」


 占い師はそういうと、少し間をあけて……。


「話が長くなってしまってごめんなさいね。それでは始めましょうか」


 永遠は少し悩んでから、話を切り出した。


「お姉さんは夢占いとかもできますか?」


「夢占い?」


「はい、夢なんですがちょっと気になってて……」


「じゃあ、あなたが・・・」


「え?」


 占い師の顔からは一瞬笑みが消えた。でもすぐにまた笑顔に戻る。


「何でもないわ。あなたの夢の話を詳しく聞かせてもらえるかしら?」


 永遠は夢の中の出来事を話しだした。


 夢に出てくる知らない街や、人々。毎夜、夢の中で繰り返される場面。バスの中で見た、街が炎で包まれていた事。


 占い師は何も言わず、ただ黙って永遠の話を聞いている。


「昨夜の夢から少し怖くなってきたんです……どうしてワタシはあんな夢を見るのか、夢に何か意味があるのか……。もう夢を見るのが嫌なんです、さっき見た夢の続きを見たくないんです」

 

 占い師は水晶玉を手に取り瞳を閉じる。


「あなたはこの先、運命を変えるような出来事に遭遇するわ」


「え?」


「あなたが見た夢はその序章にすぎない」


「運命を変えるってどういう事ですか?それにあの夢が序章って?」


 永遠には占い師の言っている事が理解できずにいた。


「ごめんなさい。もうこれ以上私に言える事はないの」


「分かりました。今日は有難うございました」


 永遠はそう言い、占い師から目を逸らすと椅子から立ち上がった。そして永遠が店を出て行こうとした瞬間、占い師は口を開いた。


「これから先、辛い事があるかもしれない。だけど永遠さん、あなたならきっと大丈夫だから……」


 永遠は占い師にお辞儀をすると、店を後にした。店の外に美穂の姿はなかった。永遠はバッグから携帯を取り出しメールをチェックした。美穂からのメールがきていた。


『ごめん!急用ができちゃって。今度埋め合わせするから許して』


 永遠は美穂に、大丈夫だよ、気にしないで。と返信すると、バス停に向かって歩き出した。

 歩いている間ずっとさっきの占い師の言葉が頭の中をぐるぐると回っていた。


『あなたはこの先、運命を変えるような出来事に遭遇するわ』


『あなたが見た夢はその序章にすぎない』


「(全然分からない。あの夢が正夢になるってこと?)」


『これから先、辛い事があるかもしれない。だけど永遠さん、あなたならきっと大丈夫だから……』


「(大丈夫って何が?それに……あの人、どうしてワタシの名前を知ってたの?)


読んで頂き本当に有難うございます!

少しでも良い文章が書けるよう、頑張りたいと思います。

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