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朝起きて家族と朝食をとりながら会話をする。
学校に行って友達と話をして授業を受けて、たまーに寄り道しながら家に帰る。
晩御飯食べて、お風呂入って、携帯弄りながら寝る。
そんな何気ない日々が私は好き。
でもその日はいつもと少し違った。
「おっはよー!みっちゃん!」
「おはよ〜…」
学校に着き、親友に声をかけると眠そうな返答が返ってきた。
「おや?お疲れかな?」
「そうなんだ〜…寝不足で…乙女ゲームって一度やり出したら止まらないんだよね〜」
親友は今とても人気の乙女ゲームにハマっている。
なんでも攻略対象者が多くて楽しいらしい。
そんな親友が目を輝かせて詰め寄ってきた。
「そうだ!みーちゃんにも貸してあげるよ!私もうクリアしたし…」
「え!?まだ買って2日のはずだよね?早くない…?」
乙女ゲーム好きなのは知ってはいたけど、まさか2日でやり終えてしまうほど大好きだったとは…。
「それに私乙女ゲームやったことないんだけど…」
と言い返すも有無を言わさずカバンに入れてくる。
これはやらないといつまでも催促して来るやつだな。
「みーちゃん、明日感想楽しみにしてるから乙女ゲームについてたくさん話そうね!ではでは私これからバイトなので!」
またね、とニコニコといい笑顔で走っていく親友を見送りながら乙女ゲーム頑張ろうと意気込み家に帰る。
家族と晩御飯を食べ、お風呂に入り一息ついたところで親友に借りた乙女ゲームをカバンから取り出す。
机からゲーム機を取り出すと電源を入れ早速始めてみる。
「すごい…本当にイケメンばっかりなんだ…」
画面に出てくるイケメンは多種多様で見ていて飽きない。
どんどんと物語を進めていき、ふと時計を見ると結構な時間が経っていた。
「え!?もうこんな時間!?時間が過ぎるのは早いなぁ…」
あれ?なんか忘れてる気がする…
「あ!!!!!今日ふわふわマシュマロパウンドケーキの発売日!!!!」
そう、コンビニで期間限定のパウンドケーキが発売される日なのだ。
私は三度の飯より好きスイーツが好きというほど甘いものに目がない。
出来ることならば一日中ずっとスイーツを食していたい。スイーツだけあればいい!!!!
早く買いに行かなければ…もう夜遅いしこの時間にはないか…?
少しの望みを持ち急いでコンビニへと向かう。
コンビニへ入ると急いでスイーツの店へと急ぐ。
あるか!?あるか!?!?
…あったーーーーーーーーー!!!
残りひとつ!!!よかったぁぁぁ〜…
コンビニの店員は可笑しそうに笑っているのに気付き恥ずかしくなった私は急いでレジに向かう。
店員さんから袋を受け取り店を出る。
希少な一つ…家に帰って堪能しよう!
そう思い、自宅へと帰ろうとした時一台のトラックが来た。その目の前には白い猫。
危ない…よね。でも猫だったら逃げるだろうし大丈夫かな…それにしても動かないな…
車が来ているにもかかわらず微動だにせず座っている猫。
まだ…動かない。トラックはもうそこまで来ている。
「…〜っ危ない!!!」
白猫を抱え反対側の歩道へと行こうとすると何かに足を掴まれた。
黒い手。
私はその手から逃れることができずトラックに跳ねられた…。