解放
あれから数日がたった。
あの男は研究の為か俺や他のホムンクルスたちの魔力や体の細胞の一部を切り取っていた。
まっ、俺自身はすぐに魔力は回復するし体の傷はちょっと眠れば回復できるしそこまで害はないから別にいいのだけどな。
取り敢えず、今日も魔力を広げてみよう。
魔力を広げて数日前よりも広がった索敵範囲で研究所内の地図を頭の中で作る。この際、生命活動している生命体や魔力のこもった物質しか探知できないというデメリットもあるけどまあ、いっか。
魔力的に動いているのは十体前後。これは研究員だろうな。動いていないのは五体。これは俺の隣にいるしホムンクルスたちだろう。地下には魔力の籠った物質が異常に多いな。多分、そこが研究室、かな。
「ファイル7『ルビー』……でも、こいつは魔力がない失敗作だな。どうしてだ……?どうして『火龍』の因子は結びつかないんだ!?」
うっさいなぁ、隣であの男が一体のホムンクルスの入った機械を蹴りつけていやがる。ここ最近この男は火龍と呼ばれる魔物の因子を埋め込んだホムンクルスを作ろうとしているけど失敗しているらしい。それも、最低でも三十体は失敗してるのだろう。
「しかたない……取り敢えず処分し
「所長、大変です、騎士団がこの場所を発見しました!!」
「なに!?」
騎士団?およそ、この世界の治安維持組織か?それにしてもこの驚きようから見て、どうやらこの世界でも人を作りだすとこは違法なんだろう。
「動くな!!」
「ぐっ、ここまでかぁ…!」
おっ、十数人の騎士が所長と呼ばれた男を取り押さえたな。それにしても、こんなに多人数がさっきの魔力の索敵をどうやって抜けたんだ?
「団長、ここにいる赤ん坊はどうしますか?」
「ふむ……、私はこの深い緑色の髪をした赤ん坊を引き取るから、余裕のある者は引き取ってくれ。」
「「「「は、はい!」」」」
ん?深い緑色の髪をした赤ん坊って誰のことだ?
「ふん!」
うわっ!?この団長とか呼ばれた男、俺の入っていた機械を切りやがった!?どんな腕前をしているんだ!?
「よし、大丈夫だな。赤ん坊よ、私が面倒をみよう。」
そのまま、俺を抱き抱えやがった……。