ホムンクルス
本日、連続投稿
うーん、むにゃむにゃ……ここはどこだ?
目覚めたのはいいけど目は見えないし声も出せない。しかも水の中にいるような浮遊感もする。けど、そこまで悪い感じじゃない。
でも、体内にある変な感覚だけはなんか嫌だな。正直に言ってうざい。まあ、それが自分の意思で動いてくれるから問題ないけど。
「成功だ!やっとホムンクルスが完成したぞ!しかも複数体!これで実検動物が増えるぞ!」
外からうるさい男の声が聞こえてくる。
……うざい。本当にうざい。正直、殴れる状況なら殴ってた。感謝しろよ。
「でも、こいつら魔力をちゃんと持っているのか?わからないと実験できないし……。」
魔力?この違和感の正体は魔力とか言うファンタジーによく出るあれか?まあ、女神(仮)が異世界に転生させたらしいし地球とは違った法則もあるだろうから当然か。
てか、魔力を操れるのならこの辺りがどうゆう場所か探る事が出来るんじゃないか?なら、話しは早い。まずは魔力を体の外に放出してみよう。
探ってみたけど分かるのは俺の近くにあの男を除く複数体の生命体がある事くらいか。
「まず、右からファイル01『サファイア』、ファイル02『アメジスト』、ファイル03『ラピスラズリ』、ファイル04『オパール』。」
ん?あの男、俺や他のホムンクルスたちに命名しているのか?何で宝石の名前なのかは知らないけど、まあいっか、そっちの方が分かりやすいし。
「ファイル05『アクアマリン』、そしてファイル06『マラカイト』、よし、命名終わったな。」
お、終わったようだな。てか、俺の名前はどれだ?一番声が近かったのは『マラカイト』だったけど、まさかそれが俺の名前か?なんつーか……どんな宝石なんだか俺、わからないのだが。
「サファイアには『大海の巨竜』の因子、アメジストには『猛毒の蛇』の因子、ラピスラズリには『破魔の魔狼』の因子、オパールには『雷轟の聖鳥』の因子。」
男が何か言っているけどよく分からない単語ばかりだな。なんだよ大海の巨竜って中二病でもこじられせてるのか?
「アクアマリンには『湖の精霊』の因子、マラカイトには『緑木の大樹』の因子、それぞれが強力な魔物の因子を埋め込んである。もし、こいつらで実験が成功したら私は英雄になれる……!」
ふーん、緑木の大樹ねぇ、しかも魔物か…、これらは正直に言えば興味が尽きないけど、この男のやっていることは犯罪行為だぞ?英雄になんかなれはしない。そんなことも理解できてないなんてよっぽどの馬鹿かマッドサイエンティストなんだろうな。
「取り敢えず、今日はもう寝よう。実験をしたいのはやまやまだが、どうにも眠い。」
男が独り言を言って外に出て行ったようだな。ま、俺もやることないし寝よっと。