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2度ある角は3度ある

作者: 棚空 萌

元々投稿するつもりはなく、思いのままに書いていた作品です。

 なぜか友達からの評判がよく、投稿しろと言われたので私は反発することもできなかったって訳です。

いやあ、友達の存在ってありがた迷惑だよね☆


食パンを銜えたままこれで三つ目の角を曲がる。

つまり、認めたくはないがこの時点で俺は運命に二回負けている。


 一回目は全力で走らなかったのが悪かった。

 二回目は「遅刻 遅刻―!」と言わなかったのが悪かった。


敗戦の理由は歴然だから、もう失敗することは無いのである。ああ、絶対に。

三回目の『三』と言う数字は何かと使われやすい物だ。例えば「石の上に三年。」

これはまあ良しとして、俺が言いたいものはもっと他にあるのだ。


「三度目の正直」 「二度ある事は三度ある」

……いやこれどっちだよ!


 結局ことわざなんて、占い詐欺と同じようなものじゃないか。

良く有りそうなことを、頭よさそうに、ご利益有りそうに言っておく。

当たればとても凄いと思うし、当たらなければまあそんなものだろうと妥協するのである。



……本当に俺は何の話をしているのだろう。


今そんな話はどうでも良いのだ。 本当に、間違いなく脱線していた。申し訳ない。

 そんなこんなで学校に行く途中の最後の曲がり角。通称「二度ある角は三度目ある」その角は目前に迫っていた。


 俺が出せる最大のスピードで、「遅刻 遅刻―!」と言いながら曲がった。

いや、正式には曲がっている。たった今。


 そこでふと思った。「二度ある角は三度目ある」コレは限りなく「二度ある事は三度ある」に似ている。当然結果は三回目も同じなのは見えているではないか。


 何かを悟った。

でも今更方向転換、静止なんて出来ない。

遅かったのだ。



角を曲がった先にはあろうことか女の子がいた。



「きゃっ!」

その女の子が声を上げる。俺はその女の子を知っていて、名は「三好(みよし) (ねこ)」という。

正直げんなりした。

「またお前か!」

「また貴方なの?」

俺はその子にぶつかり、仰向けになって倒れた。ああ、空はこんなにも青いのに。


 誰が「一回二回、女の子とはぶつかれず、完全に振られた」と言っただろう。

 そもそも、誰が「女の子とぶつかりたい」だなんて言っただろう。


一回目は全力で走れば、ぶつからなかったのに。

二回目は「遅刻 遅刻―!」と声をだし、自分ここに居ますよ、急いでいますよ。

とアピールすれば相手が避けてくれたかもしれないのに。


「ていうか、お前学校に行っているんだよな?」

「そうね、そのつもりなんだけど」


その女の子…いや、一度目の角で教えてもらった名前が有ったのだった。

 三好 猫。三好は俺に手を差し伸べることなく、上から見降ろしてきた。

初対面が10分ほど前。そして不思議なことにすでに三度目の再会。神様はかなりしつこいらしい。


彼女を嫌っているのは、別に三好が可愛くないとか、そう言った理由では無い。

 若干茶髪気味な髪は肩の上までしかないが、それは彼女に似合っていた。

目は少し、ほんの少しだけネコ目で……だけど無表情。

そして言うなら断崖絶壁の体を持っている。(主にどこがとは言わない。ぶつかった時少しだけ感触があった)結論、総合的にみると十分に可愛い女の子だった。

 気になるのは、ぶつかっても倒れるのはいつも俺だけだということくらいだ


「それより貴方早く立ちなさいよ。白い目で見られるわよ」

「俺の事気遣って……!」

「無いわ、無いわね。白い目で見られるのは私。」

「無いよな、そうだよな」

 優しさなんてなかった。

…と思っていたが、「早く」と手が差し伸べられたので有り難くそれに捕まって立ち上がる。


「さて、学校行くぞ。このままだと本当に遅刻するからな」

「そうね、行きましょう」

そして俺はズボンをパンパンとはたくと、そのまま真っ直ぐ走り出した。

すると三好は俺と反対側。つまり俺が今来た方向に走り出した。

「おい、どこ行ってんだよ」

「……え、ええ、ちょっと間違えたわ」

「お前何? 迷子なの」

「迷子…? 誰のことを言っているのかしら」

そう言っているが三好は耳を真っ赤にしていた。…相変わらず分かり易いやつだな


「迷子なら一緒に行かないか?」

「あんたと一緒に歩くなんて御免だわ」

「それ、二つ目の角でも言っていたぞ」

彼女はそういわれて「ぐぬぬ」と葛藤を繰り広げて逸るようだった。

やはり俺が思った通り迷子みたいだ。学校に行くのに迷子になるなんて…そんなことあるか?

「しょうがないわね、遅刻するよりは貴方について行った方がマシだわ」

「一人より二人の方が心強いからな」

彼女が俺の方に戻ってきた。


よしこれでもう彼女にぶつかることは無い。ある意味「三度目の正直」だった。

「じゃあ、行きましょう?」

「うーん」

彼女が俺を窺いつつたずねてきたが、俺は腕を組んで考えた。


そんな俺を見て彼女はまた冷めた目つきに戻った。

「何よ、何で行かないの。」

「いや、行くよ。すぐ行く ……でもな」

「でも…何? 早くしないと遅刻するわよ」

俺は一息ついてから彼女に言った。



「―――実は俺も迷子なんだよ」



学校に行くのに迷子になるなんて…そんなことあるか? 本当ビックリだよな。

 すると彼女はぐっと顔を寄せてこう言い放った。

「……ぽんこつ。」

ぐぅ、何も言い返せない。

「で、でも、一人より二人の方が心強いからな」

そう、あの言葉は彼女に言ったものでは無く俺自身にいったのだ


「警察行くわよ」

「や、それは待ってくれ!」

 俺も多少はふざけ過ぎたと思うよ? でも警察まで行く必要はないだろう

春休み明けたら大工事が終わって道が凄く変わっていたんだ。本当に道が分からないのだ

しかし彼女はきょとんとした様子で俺をさげすんだ。

「は? 道を聞くのよ。ぽんこつ」

「ああ、その手があったか。俺がぽんこつだった」

納得。でもその考えが有るならもっと早く警察行けよ。

…そこでふと思った。

「警察署、どこにあるんだ?」

「知らないわよ」

「ぽんこつ。」





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