終わりにして始まり
光の先にあったものーーそれは数多の星が輝く宇宙であった。
そして、惑星をも超える程、巨大化したそれーー破壊神の姿があった。
真空の中でありながら、巨大化したそれの声が響き渡る。
そして、手頃な石ーー隕石を掴むと青く輝く星目掛けて投げ付けた。
摩擦熱で赤く染まりながら墜ちていく隕石。
それは太古の昔、恐竜が絶滅した原因とも云われている隕石の落下そのものである。
天を裂き、大地から血飛沫の如くマグマが吹き上がる。
星に墜ちた隕石が砕け、地表に次々と穴を空けて行く。
男は吼えた。本能的に悟ったのだ。
それが破壊している物が自分達の世界だと。
男は再び何もない空間を蹴るーー否、蹴ろうとした。
だが、今度は何の手応えもなく、空を切り、男は倒れそうになる。しかし、倒れる事もなかった。
何故なら男は浮遊ーー魂だけの存在であったからだ。
【我ガ眷族ヨ】
その声は男の頭の中に直接、響いた。
男はまた吼えた。今度は手を突き出したが、やはり届かない。
それでも男はそれに向かって手を掲げ続けた。
それは語る。
【コレヨリ先ハ神ノ世界ダ。我ガ眷族ヨ。魔物ヲ喰ライ、神ヲ倒セ】
【ソノ先デ我ハ待トウ】
【一人ノ人間トナッテ……】
それが語り終えると男はまた光の中に引き込まれる。
男はそれの姿が見えなくなるまで手を突き出し続けた。