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狂戦士と輪廻

 死した男を待っていたのは、まだ天国や地獄と云った概念のない暗闇だけが広がる空間ーー無だった。


 その中を男はただ漂う。心地の良い安らいだ気持ち。


 そんな気持ちの中、男が見たものはこれまでの記憶ーー走馬灯である。


 優しく接してくれた父と母。淡い恋心を抱いていた幼馴染みの少女。


 そして、それらの命を無惨に奪い、村を襲った赤いドラゴン。


 荒廃した村に住まう野犬。それを石を使って撲殺し、肉を食らって飢えを満たす自分。


 それから先は戦いの日々だった。野盗に蛮族、モンスターなどと男は死闘を演じ続けた。


 男は思う。これで戦いの日々から解放されると……。


【マダ死ヌナ】


 そんな男に誰かが語り掛ける。そうして、蘇る闘争本能。


 虚空を漂う男はその声に引き込まれる様に光の中へと向かって流されて行く。


【ソウダ。マダ終ワリデハナイ】


 安らいだ気持ちが忽然と四散し、本能が告げる。


 生きたい、と……。


 男は光の中へと手を差し伸べる。


 そうだ。まだ終わりではない。


 気が付くと男の目の前に三つ首を持つ巨大な猛犬ーーケルベロスと対峙していた。


 ケルベロスがグルルルと唸り、男を威嚇する。


 男は吼えた。その雄叫びはケルベロスを怯ませ、大気をも震動させた。


【ソウダ。ソレデイイ】


 また何処からか声が聞こえ、笑う。


 男は何もない空間を蹴ってケルベロスに迫るとその腹を勢い良く蹴りつけた。


 血ヘドを吐きながらバウンドするケルベロス。


 そんな痙攣するケルベロスを背に男は光を目指して飛び込む。



【ヨウコソ。我ガ眷族ヨ】


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