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狂戦士と破壊神の戦い

 それは空の彼方から男の戦いを眺めていた。


 漆黒の黒い身体を持ち、ハンマー状の尖端を持つ尾に一対の黒い翼。そして、頭部には二本の鋭く尖ったトリケラトプスの様な角。


 その姿は紀元後の人間が見たなら悪魔を連想したであろう。


 それは青白い炎を口から漏らしながら男を見下ろす。


 不意にプテラノドンがそれを襲う。


 パン!


 それの右拳の一撃でプテラノドンの頭部が吹き飛ぶ。


 頭を失ったプテラノドンの身体は自由落下を始め、まっ逆さまに落ちて行く。


 そんなプテラノドンに目もくれず、それは男の戦い振りを眺め続けた。


 それは太古の人間達からこう呼ばれていた。


 "破壊神"と……。


 紀元前、恐竜達の時代が終わりを迎えようとしている中、それは突然、現れて地上へと真っ逆さまに落ちて行くと轟音と地鳴りを響かせて着地し、天高く吼えた。


 突然の雄叫びに男が振り返る。そして、それと対峙する。


 次の瞬間、男も雄叫びを上げて、それに迫って行った。


 ーー勝てない。殺される。


 そんな理性が男に少しでも残っていたなら、それに立ち向かおうとはしなかっただろう。


 だか、男を支配する闘争本能が強敵の出現に男を歓喜させた。


 それと男の拳がぶつかる。ぐしゃりと音がして男の手が二の腕の辺りまで潰れた。


 男は激痛に呻いたが、直ぐに立ち直り、無事な左手でそれを殴った。


 それの強固な肉体に男の手が再び、ひしゃげた。


 痛みに悶える男。それを嘲笑うかの様にそれは佇むと男に向かって吼えた。


 鼓膜が破れ、男の耳から血が吹き出す。


 ここでようやく、男の中に恐怖心が芽生えた。


 ーーだが、既に遅い。


 それは男の額に頭突きを喰らわせるとパキャリと言う音を立てて男の頭部をかち割る。地面にゆっくりと倒れ込む男。


 しかし、男は雄叫びを上げて、たたらを踏んで耐える。

 そして、それに向かって最期の一撃を振り絞った蹴りを見舞う。


 予期せぬ反撃にそれはモロに顔面に喰らうと僅かにーー本当にほんの僅かによろけ、驚いた様子で男を見る。


 ーーだが、それで終わりだった。


 男は立ったまま絶命していたのだ。


 そんな男を見て、それは笑った。


 そして、自らの指を切るとその血を男の口へと運ぶ。


 【マダ死ヌナ】と言う言葉を紡いで……。



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