狂戦士と巨人と恐竜の戦い
男はラプトルの鋭い爪を木の棒にくくり着けて鎌を作った。
そして、それを腰に差し、次の相手を求め、荒野をさ迷う。
次に男が向かったのは広大な空の見える断崖絶壁であった。
そこには男の数倍はある身長を持つ巨人が存在し、絶滅間近の恐竜を相手に格闘していた。
男は断崖絶壁からラプトルの鎌を手に跳ぶ。
そして、格闘中の恐竜の頭に跳び移ると巨人に対峙し、石槍を投げる。
石槍は巨人に当たるが、その分厚い皮膚に突き刺さった程度に終わった。
しかし、男は諦めない。男は巨人が恐竜の首を締めるのに合わせて跳ぶと巨人の首にラプトルの鎌を引っ掻ける。
だが、これも巨人には通じなかった。
男は引っ掻けた鎌で巨人の頭までよじ登るとその頭部に拳を叩き込む。
今度の一撃は巨人をふらつかせた。突然の痛みに巨人が頭を押さえようとする。その隙を恐竜が突き、巨人の腕に噛み付く。
腕を押さえる巨人。その隙を突くかの様に男はたたらを踏むとーーのちの瓦割りであるーー拳を勢い良く叩き込んだ。
今度はパキャッと言う音と共に巨人が白眼を剥き、口から泡を吹いて倒れ伏す。男がもう一度拳を叩き込み、血飛沫が巨人の頭から噴出する。
崩れ落ちる巨人は腕に噛みつく恐竜と、もつれ合いながら地面を転がる。
そんな中、男は未だ巨人に噛み付く恐竜の頭に跳び移ると巨人の時同様に拳を恐竜の眉間目掛け、勢い良く叩き込む。
突然の痛みに巨人から口を放し、悶える恐竜。
その恐竜の目に男はラプトルの鎌を深々と突き立てた。
悶絶する恐竜。
しかし、ラプトルの爪では恐竜の脳まで達する事はない。
男はグリュリと恐竜の眼を抉り取るとその中に飛び込み、恐竜の脳を力ずくに引き裂いた。
絶叫を上げて地に頭を打ち付けて痙攣する恐竜。
そんな恐竜の抉られた目の奥から現れる男。
男は吠えた。
奇襲とは言え、小さな人間ーーそれもたった一人の男に巨人と恐竜が破れたのだ。
遠くで男の戦いを見ていた人間達も歓喜する。
これが人類初の神殺しとなる事を、この時の誰もが想像もしていなかっただろう。