かくて、終焉の時は来たりて、その存在だけが残る
終末を告げるラッパが鳴らされ、死者が蘇り、ユミルの子供である巨人達と神々の戦いが始まる中、男はひたすら戦場を駆け抜けた。
男を縛るオーディンはフェンリルにより食い殺された。
そのフェンリルも男の手により、少年の仇と言わんばかりに内側から吹き飛ばされる。
世界がスルトと呼ばれる巨人の剣によって炎に包まれ、不死身の肉体を持つ男を除く全てが焼き尽くされる。
そんな中、男は焼け野原になった世界を駆け抜け続けた。
生き残った神々を切り裂き、巨人達を歴史から消滅させる男。
そんな男にその時は訪れた。
男は自分によく似た黒い肌を持つ男の存在に気付く。
そして、本能的に悟る。
その自分によく似た男が破壊神の生まれ変わりであると言う事に……。
二人の男が吠え、燃え上がる世界が更に炎を増す。
二人の男は同時に地を砕き、雄叫びを上げながら同時に拳を振るう。
拳同士がぶつかり合い、猛烈な衝撃波が生じる。
二人の男は破壊神の姿へと変貌する。
破壊神となった二人の男が互いを殺さんと暴れる。
その衝撃で天が何度も裂け、大地が何度も抉れた。
お互いの血にまみれながら不死身の肉体を持つ二人の男の拳が、蹴りが、頭が何度もぶつかり合う。
神々が創造したとされる世界を砕く二人は本能のままに破壊し、周囲の生き残ったあらゆる生命を灰塵に滅しながら戦い続けた。
それは何年ーー何十年ーー何百年ーー何千年続いたかは定かではないが、ついには両者のその存在が歴史から抹消されるまでに至る。
やがて、新たな人類が誕生し、新たな神々の世界が構築される。
かくて、狂戦士の伝説は誰にも語られる事なく、その終わりを向かえるのだった。
男がどうなったのか、それを知る者は誰もいない。
ただ解るのは男が狂戦士の始まりであり、狂戦士と呼ばれる由縁である事柄を創った事だけである。
そして、その後の歴史にも狂戦士は生まれては消え、生まれては消えるを繰り返す。
ーー全てはその闘争本能のままに。
男の名は⬛⬛⬛⬛⬛。
原初にして最古の狂戦士である。
【完】




