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原始の咆哮

 その谷は村から出て何日も掛けた場所にあった。全長1メートルはある小型のワイバーンの巣窟である。


 男が躊躇う事なく、谷へと足を踏み入れるとワイバーン達はその爬虫類独特の眼で男を見据える。


 ーーと群れの中の一匹が男へと向かってバサバサと羽を羽ばたかせて躍り掛かった。


 それを皮切りにワイバーン達が男へと向かって次々と襲い掛かって行く。


 男が吼える。


 大気を震わせ、谷からパラパラと小さな岩が落ち、男に向かって群がっていたワイバーン達が弾け飛ぶ。


 原初の破壊神の血を受け継いだ男。


 それは吼えるだけで地を揺らし、凄まじい衝撃波を生むまでに至った。


 男へと群がっていたワイバーンが肉塊となって地に落ちると男はゆっくりと歩み寄り、その屍を貪り食う。


 かつて教わった火を使う事なく、太古の昔から肉体がそうして来た様に一心不乱に貪る。


 すると男はむせかえり、食らい付いた死肉を吐き出す。


 無理もない。


 男の本能は原始に戻っても、身体は肉を火で通す生活に順応していたのだから。


 それでも男は食べ続けた。


 食べては吐き出し、食べては吐き出し……。


 それを何度も繰り返し、男はようやくゴクリと喉を鳴らし、死肉を呑み込む。


 一度、順応すれば、あとは容易かった。


 男はワイバーンの死肉で腹を満たすと周囲を見渡す。


 あれ程、群がっていたワイバーン達は全て肉塊となり、残りは空高くまで飛んで男が去るのを待っている。


 そんな戦意を失ったワイバーン達から視線を外すと男は再び前を向き、前進を再開する。



 向かうは地獄か、それとも……。


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