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伝説の再来

 不死鳥との不思議な体験をした男が自分の住む村へと歩いていると黒い黒煙が空に昇って行くのが見えた。


 男は悪い予感を感じて村へと向かって駆け出す。


 そこで男が目にしたのは惨殺された村人と赤黒く染まった人型の何かであった。


 男はその何かに向かって吠える。


 異質な者への恐怖もあったが、それ以上に曲がりなりにも自分を育ててくれた父と自分を愛してくれた母の惨たらしい姿を見た怒りの方が勝った。


 男が吠えると同時にそれも吠える。


 男が槍を放つのと同時にそれも槍に似た何かを放つ。


 互いに致命傷を避け、肩を軽く掠める。


 男が槍を引いて回し蹴りを放つとそれも槍の様な何かを引いて回し蹴りを放った。


 互いの足がぶつかり合い、男とそれが同時に怯む。


 ここで男の理性がおかしな事に気付く。


 この人型の様な何かは先程から自分を真似ている様な気がするのを。


 男が構えるのを止めるとそれも構えるのを止める。


 男がそれに右手を差し出すとそれも右手の様な何かを差し出す。

 男は思い切って右手を更に前に出し、それに触れる。


 するとそれも同じ様に男に触れるとドロリと熔け、その場に水溜まりを作る。


 その何かから白骨化した遺体が現れたのは次の瞬間である。


 男は悟る。この何かはかつての自分自身だと。


 白骨化したそれは地面に落ちると灰となって消え、代わりに男にある記憶を残して行く。


"マダ死ヌナ"


 かつて聞いたあの破壊神の声が脳内に響き渡り、太古の昔より生きてきた自身の肉体の記憶が鮮明に写し出される。


 溶岩の川を泳いで絶滅して行く恐竜の死肉を食らう記憶。


 名も無き怪物を倒し、その肉を貪る記憶。


 そして、この村に現れ、家族を、仲間を皆殺しにする記憶。


 男は悲鳴に近い絶叫を上げた。この屍の山は自分自身が築いた物だと知って……。


 男の脳裏にあの言葉がよぎる。


"ヨウコソ。我ガ眷族ヨ"と……。


 次の瞬間、男は理性が消えて行き、かつての闘争本能が甦るのを感じた。


 男は恐怖して叫ぶ。理性が……自我が……魂が塗り替えられて行く事に。



 ーーそれからどれ位の時が経ったろうか。



 男は血走った瞳で周囲を見渡すと槍を手に村を後にする。


 その顔には最早、恐怖はなく、闘争本能を剥き出しにした憤怒の表情があった。




 かくて、古の狂戦士は甦らん。



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