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まだ若いせいか、先の心配より、なぜ今この立ち位置にいるかに時折、心動く。
今日の有架里はそのことは全く思いを馳せずに、チョキチョキと封筒を開けていた。
ダイレクトメールのつもりでふっと中を覗くと、見慣れた、よくあるサイズのチケットを目にした。
有架里の指先はミルク色の封筒の中に収まった。
シャーベットピンクがかった爪先は、モノクロ写真の印刷されたチケットを取り出した。
その隙に、髪の毛も、腕の動きに合わせて、デザイナーズ家具の白いテーブルの上に1本落ちた。
あの日、触れられた髪、掴まれた腕の軽い痛みは、心の痛みとシンクロした。
流れ落ちる痛みのように、指先はチケットを持ったまま、テーブルの上に落ちた髪の毛と一緒に、指先はそっと下ろされた。




