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こんな話がしたかったわけではない。
男女が別れるのに、穏便になんていく筈ない。でも、穏便に話を済ませたかった。
有架里もつい強気で出てしまった。
「こんな話、止めよう? あなたも、今朝、私が疑ったことで、私との仲を解消しようとしたでしょう?」
「それは……。だって、そうだろ? あんな疑われ方されたくないな。その上、君には別れてない彼氏がいた。」
「違うの。彼氏なんかじゃないの。」
耕平にざっと瑛太とのことを話して聞かせた。
「そんな男やめちまえ。君を幸せになんかできるものか。」
「あなたなら、私を幸せに出来る、と?」
「それは……。」
もう話は堂々めぐりの様を呈していた。
「私達、別れましょう。」
「だから!」
耕平は声を荒げた。
「その話は弁護士を通すんだろう? さっきそう言ったじゃないか。」
「……そうよ。さよなら。」
有架里は、カフェを出た。
これ以上、話しても無駄だ。
カフェを出ると客室に戻り、瑛太に電話をかけた。
事の経緯を説明した。
『何もしてこない、とは考えるなよ? 言いにくいが、今のそいつは金目当てになってるから。』
「うん。弁護士さんにも相談しておく。」
『そうだな。』
有架里は電話を切ると、たまたま懇意にしている弁護士にも念のため電話をした。
『大丈夫ですよ。もし向こうが何か言ってきたら、こちらでも対応できますから。』
弁護士に言われて、肩の荷が軽くなった。
あとは、ロスへ向かうだけだった。
予定では明日の到着だ。




