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「違っ……て、言ったら、嘘になる……。」
有架里は事の経緯を、意を決して話した。
瑛太に嘘は通じない。
嘘をつく位なら、初めから正直に話して軽蔑されるほうがまだマシだった。
『なんだー、その男!? 今、一緒にいるのか?』
「今はいない……。」
『目の前にいたら、ぶっ飛ばしてやりてーよ。』
「……。」
『なあ……、別れちまえ?』
「うん。」
『なんでこんなことになるんだろうなあ-。』
瑛太は何か言いかけて止めた。
『まあ、こうしてアメリカまで来てさ、俺も言いたかないけど……』
の前置きのあと、たっぷりと怒られた。
『そいつとのこと、きちんと片付けろよ?』
「うん……。」
『大変だったんだからな、ここに辿り着くの。』
瑛太は送り返された速達を見ると、片っ端から共通の友人に電話をかけた。私の実家の住所を知ってる友人から住所を聞き、電話帳で実家の電話番号がわかった、と、話していた。
『何人にかけたことやら。雅記に繋がった時は、もう船で出ちまったあとだし。』
「うん……。」
『やっと見つけたと思ったら、他の男と……やめよ、俺自身がイライラする。』
「うん……。」
『もっと心を強く持て? わかったな?』
そこまで話して、私達は、一旦、電話を切った。
私は客室を出て、耕平を探した。
耕平はライブラリーにいた。
ちょっと胡散臭そうに、私を見た。
少なくとも、今朝までの耕平とは違う。
何かあれば胡散臭そうに人を見る、それが耕平の本当の姿なのだ。
そして、何かあれば、他の人にふらつくのも、私の本当の姿なのだ。
そんな私達が一緒にいても、最初は良いかもしれない。でも、だんだん破綻するのは分かり切ってること……。
耕平は外に連れ出そうとする私に、最初は嫌がった。
「もう話はついたろう?」
「でも……。」
「……ここだと、皆の迷惑になるから出よう。」
耕平とデッキに出た。
幸い、人影は少なかった。




