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客室に入ると、有架里は胸が高鳴ってることに気付いた。
チケットが本物かどうか調べるためだけではないことは、わかっていた。
でも、見たくない現実だった。
瑛太を追って、船旅を選んででも、アメリカへ行きたかった。
その船旅で、まさか耕平に心揺れるとは思わなかった。
あの日、あの時、瑛太に自分の心をもっと、押してほしかった。
心を押し倒されたかった願望が、耕平の振る舞いと二重になっていく。
……私はどうしたいのだろう……。なんてことを、思ってるのだろう……。
……こんな気持ちで瑛太を追うことなんて、もう、できない。
……優しくしてくれるから? 耕平は優しくしてくれるから、心揺らぐくらいなら、初めから瑛太を追わなければ良かったんだ。
机の椅子に腰かけ、机に突っ伏した。
自分を追ってくれない瑛太を諦めきれずに、こうして船にまで乗ってる自分を、そして、耕平に出会ったことで心揺れる自分を、どうすることもできなかった。
今日はもう、食事もいらない……。
いつまで経っても着替える気になれなかった。
間もなく、耕平が客室に来た。




