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「ねぇ、そのチケット、見せてくれる?」
不意に耕平に言われて、顔を上げた。
「やっぱり、彼氏絡みのことになると、反応早いね。」
溜息混じりに苦笑された。
有架里は返事に困りながらも、チケットをバッグから取り出し、耕平に見せた。
「本物かどうか調べてあげる。」
「えっ?」
「だって、もし偽物のチケットなら、行くだけ無意味でしょ?」
偽物……。考えてもいないことだった。
「僕の友達に音楽業界で働いてる奴いるから、聞いとくよ?」
「うん……。」
「それも信じられない?」
困ったように笑われて、有架里も困った。
「偽物だとしたら、なんで彼はそんなことしたんだろうね?」
「……。そんなことする人じゃ……。」
「じゃあ、知らずに偽物を掴まされた可能性もある。」
そこまで言われて、意を決して、有架里はチケットを耕平に渡した。
「本物だといいね。じゃ、またあとで。」
耕平はチケットを受け取ると、客室の前から離れた。




