20.
お一人様参加OKのそのツアーは、たしかに、若い世代の者も多かった。
赤道を2回回り、40都市に寄港するクルーズだった。
次の寄港地はロサンゼルスで、ロスから目的地までの国内便の手配もできていた。
客室に入ると、早速テレビをつけた。
オーシャンビューのデッキ付き客室など、予算的に取れる筈もなく、窓の無いシングルの客室を選んでいた。
テレビをつけると、海の様子が映った。ここから、日の出や日の入りも見える。
こうまでして、瑛太に会えなかったら、どうするのだろう……。
テレビ越しに波を見つめながら、不安になった。
客室で一人寂しく過ごしていると、ランチタイムの時間が終わろうとしていることに気付いた。
慌てて客室を出た。
ランチはカフェでサンドイッチランチを頼み、不安と一緒にサンドイッチを飲み込んだ。
「お一人ですか?」
短い髪だけど、手入れの行き届いたサラサラヘアの栗色の男性に声をかけられた。
日本語だったことに、咄嗟に安堵がよぎった。
彼は名前を水谷耕平と名乗った。
ルックスも良く、V系バンドのイケメンボーカルのような雰囲気だった。
耕平は日本では洋服のバイヤーをしていると話した。大学卒業後に、友人と洋服のバイヤーを始め、今回は休暇での旅だと話していた。
「僕、船旅好きなんですよ。クルーズはもう何回も行ってます。一級の船舶も持ってるけど、友達と共同で買った船は大きくて、最低3人は必要だから、なかなか人数揃わなくて……。」
と、船好きなことや、サーフィンをしてる話などを楽しそうに話してきた。
「クルーズは初めてですか?」
「はい。」
年が近いような気もするけど、まだ敬語でお互い話していた。
「だいたい、客って二手に別れるんですよ。なんでも文句言うばかりの人に、それにうんざりする人。ランドリー室なんて、奥様方のゴシップで……。」
と、言いかけて、
「ところで、おいくつですか?」
と、聞かれた。
年齢を伝えると、耕平は1つ年上だった。
「そうなんだ! 僕より年上てことはないと思ったけど。」
耕平は屈託なく笑いながら、
「あらためて、よろしく。と、まだ名前聞いてなかったね。」
と、言われ、有架里も慌てて自己紹介をした。




