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成城の家にバンドグループのファンも押し寄せてきた。
それは有架里とバンドのメンバーの熱愛を週刊誌で噂されたからだ。
有架里の書く詞のセンスは、爽やかでレモンをきゅっと絞ったような、そして全体的には甘く溶けていくような王道ラブソングだった。
そのイメージと、CMに出てくる新人モデル兼タレントのイメージはよく合っていた。
有架里自身は小柄で、濃い栗色の地毛を長く伸ばしている。
どちらかといえば色白で、大きな目と小さな唇、悩みの種は鷲鼻といった顔立ちだ。
決してモデルやタレントのような容姿ではない。
そして、マスコミに出たこともなかった。作詞もペンネームだった。
それがかえって、CMに出ているのは有架里本人ではないか、と憶測を呼んだ。
バンドメンバーとタレントの打ち合わせ場面の写真を、うまく使われた。
話題作りもあってか、格好の週刊誌ネタになった。




