18/35
18
アメリカへ行きたかった。
家へ帰ると、鞄から手紙を取り出した。
ミルク色の封筒の裏には、理系男子よろしく達筆ではないものの、一字一字丁寧に書かれた文字で名前と住所も書かれている。
住所を地図アプリに入力してみた。
チャールズ川の見える範囲内に、赤いピンポイントマークの立つその立地は、瑛太の通う大学をすぐイメージできた。
日本で言えば、学園都市だったり、文教地区といったところだろうか。治安のほうは、治安の良さベスト3には入っていない。
どこの大学かも知らない。何も知りたくなかったのだ、あの時は。
大学へ通ってるのか、卒業したのか、退学したのか、瑛太の情報は何も知らない。
ただ、会いたかった。
瑛太に会いたかった。
あの日、裏切られた気持ちもした。関係を切られた気持ちもした。
瑛太を忘れたと思い込んで、付き合った人もいる。
でも、瑛太を忘れることは、本当は出来ないでいた。
胸の痛みから、瞼に熱いものを感じた。
有架里はアプリを閉じた。
……このまま、飛行機のチケットなんて来なくても、瑛太に会いに行こう……。




